ニュースのポイント
経済面に、旅客機で日本初の女性機長になった人が、パリ航空ショーで講演したという記事が出ていました。「男女の能力は変わらない。意志があれば道は開ける」と女性たちにエールを送りました。思わず、「初の女性○○」が切り開いてきた道と苦労を想像してしまいました。(朝日新聞教育コーディネーター・一色清)
経済面に、旅客機で日本初の女性機長になった人が、パリ航空ショーで講演したという記事が出ていました。「男女の能力は変わらない。意志があれば道は開ける」と女性たちにエールを送りました。思わず、「初の女性○○」が切り開いてきた道と苦労を想像してしまいました。(朝日新聞教育コーディネーター・一色清)
今の国会に「女性活躍推進法案」が出ています。大企業に女性の管理職や採用比率の数値目標を義務づけるものです。女性が活躍できる社会づくりはここ30年来、進んできました。1985年に男女雇用機会均等法ができ、女性の総合職が当たり前になりました。1999年には、男女共同参画社会基本法ができ、女性が働きやすく、男性が子育てに参加しやすい社会をつくろうというかけ声がかかりました。それでもまだまだ男性社会だとして、今度は数値目標で女性活躍の実現性を高めようというわけです。
この30年の取り組みで「女性で初めて」といった記事はずいぶん減ったような気がします。国会では女性議長が、霞が関では女性事務次官が、大企業では女性社長が、大学では女性学長が、高校野球では女性監督が生まれ、女性の知事や市長、女性の宇宙飛行士などはもはや珍しくなりました。あと日本で話題になる「女性で初めて」は首相、巨大企業のトップ、最高裁長官、ノーベル賞受賞者あたりでしょうか。
ただ、これまで女性の活躍の場を切り開いてきたパイオニアたちの苦労は並大抵のものではなかったことでしょう。男性以上に仕事をして成果を上げて、やっと男性並みに出世してきた、などという言葉をよく聞きます。さらに、結婚や子育てもするとなると、スーパーウーマンでないとなかなかできることではなかったと思います。
パイオニアたちのおかげで、女性の就活は、ひと昔前に比べるとずいぶんやりやすくなっていると思います。「女性活躍推進法」ができると、企業は一段と女性の採用に力を入れるはずで、さらにやりやすくなると思います。ただ、注意しなければならないのは、そうなればなるほど企業は男性と同等に仕事をしてもらわないと困るというスタンスをとることです。就職したはいいが、残業、残業でへとへとになって、人生のいい時期を仕事に疲れた状態で過ごすなんてことになると、女性が活躍する明るい時代のイメージに反します。
そうした働き方を当たり前のようにしている企業かどうか、よく見る必要があります。いい会社は、女性を男性並みに働かせようとするのではなく、男性の働き方を見直することによって女性を働きやすくしようとします。男性が家事や育児や介護のための休暇を取りやすくなっているかどうか、を見ることで分かります。社内結婚をするかどうかは関係なく、チェックしてみましょう。
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2024/11/21 更新
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