ニュースのポイント
東日本大震災から11日で4年。大手化学メーカーが、震災を教訓にした防災・減災商品を相次いで開発しています。最新技術を駆使して、今後、災害が起きたときに、少しでも被害を減らそう、人の命を救おうという試みです。
今日取り上げるのは、経済面(9面)の「技術力 防災に生かせ/震災データ分析し開発」です。
記事の内容は――化学大手の帝人が2月に発売した「もうたんか」(写真)は、毛布と担架の2役をこなす。毛布のまわりに開けた穴を取っ手として使えば、けが人や病人を運ぶ担架になる。震災の避難所などで毛布と担架が足りなかったという現場の課題を聴き開発した。長期備蓄できるよう、燃えにくく菌などが繁殖しにくい加工も。帝人は震災直後から約20人のチームで防災・減災商品を開発しており、火元にかぶせて消火ができるカーテン「プルシェルター」もその一つだ。三井化学が、清水建設、防衛大学校とともに開発しているのは、建物の外壁に吹き付けて倒壊を防ぐ樹脂「ポリウレア」。もとは防水樹脂だが、これを使った養殖場の水槽が岩や車に衝突しても元の形をとどめていたことが分かり、2016年度発売を目指して開発中。旭化成ホームズは高層ビルで使われる油圧式制震装置を戸建て用に改良した。三菱ケミカルホールディングス傘下のウェルシィは、地下水を飲料水に変える濾過(ろか)システムをつくっているが、震災後、離れた場所からも監視や操作ができるしくみを加えた。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
1年前の3月11日のこのコラムで、「キリン、トヨタ、三菱商事…企業の被災地支援は今」を書きました。被災地での企業支援の中身が「復旧」から「自立」への手助けに移っているという記事を紹介。飲料大手キリングループが食品会社に商品企画、流通、販売のノウハウを提供したり、丸井グループが衣料品を寄付したりと、各社が得意分野を生かして支援。ほかにも石油大手JXホールディングス、トヨタ自動車、三菱自動車、セブン&アイ・ホールディングス、アスクル、三菱商事、楽天、ソフトバンク、東京ガスの支援を紹介しました。子ども向けイベント開催や託児ボランティア、高校生の米国留学プログラム実施など、今も続けている企業もあると思います。熱心な企業はホームページで活動を紹介していますから調べてみてください。こうした企業の取り組みを知ることも大切な企業研究です。
さらに1年が経ち、化学メーカーが防災や減災に取り組んでいるという動きです。防災に取り組んでいるのは、政府や自治体だけではないのです。企業もそれぞれの分野で、災害に強い街、建物をつくり、被災したときに役に立つモノを作ろうとしています。こちらは、ボランティアや寄付ではなくビジネスそのもの。社会に役立つモノをつくろうということですから、より直接的な企業活動と言えます。
東日本大震災は多くの人にとって、記憶に刻まれた体験でしょう。今回の化学メーカーのように、大震災に関連して商品開発をしている企業があれば、自分の震災体験とその企業を結びつけるよい材料になる可能性もあります。企業研究を深めれば、志望動機にも生きるかもしれませんよ。
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