ニュースのポイント
就職先として人気が高いのは都会の大企業ですが、出身地や今通っている大学の地元で就職するという選択肢もあります。大学が多い東京郊外の八王子市は、市内の企業に就職してもらおうと、現金支給、企業見学バスツアー、就職サイトなど、あの手この手で学生にPRしています。あなたの地元ではどうですか?
今日取り上げるのは、東京版(29面)の「『就職は八王子』中小企業に魅力/学生に定住PR、高齢化対策/市、交流促すバスツアー/100社の情報HPに掲載」です。
記事の内容は――東京都八王子市は4月から、卒業後に地元企業に就職すれば10万円を交付する奨励金制度を始める。市の「はちおうじ就職ナビ」に載っている市内の中小企業約100社への就職が条件。背景にあるのは地元就職率の低さ。市内、市周辺の23大学・短大・高専で組織する「大学コンソーシアム八王子」の学生数は約11万人だが、2013年度の卒業生約2万4000人のうち、市内の企業や官公庁に就職したのはわずか1%の240人だった。市内には約1万8000の企業があるが9割超は中小で、学生の目は大企業が集まる都心に向く。2013年度に人口減少に転じたこともあり、市は学生の定住に力を入れることになった。「八王子就活スタイル」は学生と企業の交流会。地元の中小企業を巡るバスツアーも始めた。寝具メーカーや精密機械社を見学した女子大3年生は「大企業と違って社長さんと直接話せる魅力がある。真剣に考えたい」と話した。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
今日の記事は「東京」というページに載っています。都道府県別、あるいはさらに細かい地域ごとのニュースを取り上げる地域面や地域版と呼ぶページです。地域面には、全国的な知名度は低くても地元を代表する企業や地域密着の中小企業に関するニュース、地域の経済情勢や就活の状況なども載ります。地元で就職したい人、出身地へのUターン就職をめざす人は、地域面にも注目してください。さらに各都道府県ごとに発行されている地方紙には、詳しい地元経済や企業の情報が連日載ります。WEB版でもある程度は読めますが、全文を読みたい人は図書館を利用しましょう。東京なら国立国会図書館、都立図書館など大きなところには置いてあります。
八王子市ほど熱心な例は多くないかもしれませんが、人口減少が深刻な地方では学生の地元就職支援に取り組んでいる自治体は少なくありません。出身地や大学がある自治体のホームページなどで探してみましょう。
東京への一極集中を是正しようとしている政府も、地方での就職支援に乗り出します。昨年末に決めた「地方創生戦略」に、地方で就職した学生が在学中に借りていた奨学金の返還の一部か全部を肩代わりする仕組みを盛り込みました。国が作ったモデルをもとに、早ければ2015年中にも県が地元企業と連携して基金をつくり、学生を支援します。各県によって取り組みは違うので、関心がある人は問い合わせてみてください。
今日取り上げたのは東京版の紙面ですが、朝日新聞デジタルの会員になれば「地域面紙面」からその日の全国(沖縄県は除く)の地域面を見ることができます。
※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。ぜひ登録してください。