ニュースのポイント
ソニーが、オーディオ・ビデオ事業や、カメラ、画像センサーなどの主要事業を子会社にします。事業ごとの経営判断を早めて競争力を高めるねらいです。テレビ事業は昨年、子会社にしました。これで主な事業のほとんどを本社から切り離すことになり、会社のかたちが大きく変わりそうです。日本を代表するブランド企業がこの改革でどう再生するのか注目です。平井一夫社長が、子会社化などについて朝日新聞などの取材に答えました。
今日取り上げるのは、経済面(9面)の「『子会社化、競争力高まる』ソニー 平井一夫社長」です。
記事の内容は――ソニーは18日、2015年度から3年間の経営計画で、携帯型音楽プレーヤー「ウォークマン」を扱うオーディオ・ビデオ事業をはじめ、カメラ、画像センサーなど主要事業を子会社にする方針を打ち出した。平井社長は「事業ごとの自立を促して競争力を高め、結果への責任を明確にする」と説明。子会社のトップが買収や他社との事業提携、撤退について決められるようにする。将来ソニーの経営を担う人材を育てる狙いもあるという。不振が続いていたテレビ事業は昨年7月子会社になり、人員を減らしたり、商品を絞り込んだりした結果、今年度は11年ぶりに黒字になる可能性が高い。平井社長は子会社化の利点を強調。親会社は新規事業の立ち上げや子会社間の調整などに仕事を絞る。課題は今後の成長。平井社長はソニーグループとして他社より圧倒的に優位な領域として、カメラに使う画像センサーなどの半導体や、ゲーム、映画、音楽の4分野を挙げ、この分野で投資を増やす。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
テレビ、パソコン、スマホなどで苦戦続きだったソニーが、大きな改革で再生に向けて動き始めました。発表した経営計画では、2015年3月期見通しで200億円の営業利益(本業のもうけ)を、3年後には「5000億円以上を達成」という強気の目標を掲げました。業績評価に加え今後の期待も表れる株価は昨年末から上昇傾向にあり、時価総額は約1年半ぶりにパナソニックを上回りました。「ソニー復活」への期待は高まっているようです。
一般的に子会社にすると会社の規模が小さくなって、組織の階層が減るため、たとえば社長の判断が必要な重要案件での経営判断が早くなり、他社との提携などを機動的に進めやすくなります。親会社にとっても、新規事業を展開するときにリスクが分散されるなどのメリットがあります。平井社長は「(テレビ事業は子会社化で)危機感が高まり、コストも削減できた。ゲームや金融など、これまでも別会社で運営している事業は多く、ソニー本体より利益を出している事業もある」と話しています。
ソニーは昨年、「VAIO」をつくっていたパソコン事業の売却、5000人の人員削減などのリストラを実施し、業績改善への道筋はついたようです。ただ、欠けているのは、「ウォークマン」「プレイステーション」級の新たなヒット商品。平井社長は就任3年で変革の道筋はできたとし「次の3年間は利益を出し、成長への投資をできるチームに育てていく」と意欲を示しました。
ソニーは、オーディオ・ビデオ事業の子会社化は今年10月1日めどとし、カメラ、画像センサーなども準備を進めるとしています。大企業の分社化は新卒採用にも大きく影響し、子会社ごとに採用するケースと、親会社で一括採用して子会社に出向させる場合があります。ソニーはこれまで子会社ごとに採用することが多かったようですが、今後どうなるのか、3月1日の採用情報にも注目してください。
2月6日の業界トピックス「営業黒字の見込み、ソニーの強みは反『選択と集中』?」では、映画から金融までの幅広い事業展開こそが強みだというコラムを書いています。下のリンクから、読んでみてください。
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