2015年02月20日

15年ぶりの株高 なぜ?課題は?まだ上がる?

テーマ:経済

ニュースのポイント

 東京株式市場の日経平均株価が15年ぶりの高値を記録しました。企業の業績が回復したためです。株価は景気のバロメーターの一つですから、日本経済にとって明るい話です。株価がなぜ上がったのか、これからも上がるのか、懸念材料は? わかりやすく解説します。

 今日取り上げるのは、1面トップの「東証 15年ぶり高値/終値1万8264円/ITバブル以来」です。2面には関連記事「時時刻刻・進む株高/輸出伸び 企業業績回復/経済実態反映せぬ懸念も/政権は自信深める」が載っています。
 記事の内容は――19日の東京株式市場は、日経平均株価1万8264円79銭で取引を終え、終値としてはITバブルのころの2000年5月2日以来、約14年9カ月ぶりの高値となった。2007年7月のリーマン・ショック前の終値のピークを更新。企業業績が回復して幅広い銘柄が買われ値上がりにつながった。電機や自動車といった輸出関連企業では、円安を受けて2015年3月期の純利益が過去最高になりそうなところが多く、原油安で恩恵を受ける運送や食品、株高で業績が伸びる金融関連も値上がりした。日経平均はリーマン・ショック後の2009年3月10日にバブル後の最安値7054円98銭まで下がったが、第2次安倍政権になって日本銀行が異例の金融緩和に踏み出し2013~14年は大きく値上がりしていた。今春、賃金水準を上げる企業が増えそうで国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費につながると期待されており、今後さらに株価が上がるとの観測も高まる。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 ある企業が売り上げ増などで業績が良くなると、一般的には企業の評価が高まり株価が上がります。多数の企業の株価を集計して全体の値動きを示すのが株価指数です。代表的なものが日経平均株価で、東京証券取引所(東証)第1部に上場する約1900社のうち主要な225社で算出するため、日本の経済状況を示す指標となっています。日経平均が上がるということは、日本の経済が活発化して景気が上向いていることを示します。これまででもっとも高かったのは1989年末の3万8915円87銭で今はまだ半分にも満たない水準ですが、当時はバブル経済最盛期でした。

 株価は景気を先取りすると言われ、安倍首相も成長戦略アベノミクスの成否について、「株価は一番分かりやすい物差し」と周囲に漏らしています。

 今回の株高の要因と今後の懸念材料を、2面の記事から整理します。
■株高の要因
【円安の定着】自動車や電機などの輸出が増え利益増。1月の日本の輸出額は、前年同期比17%増の6兆1447億円で5カ月連続増
【企業業績の回復】2014年4~12月期決算発表を終えた1399社(全体の99.8%)の純利益が前年同期比5.1増、2015年3月期は純利益過去最高の見通し(SMBC日興証券まとめ)
【原油安】燃料コストが下がり多くの企業に恩恵
【外国人投資家】円高に戻るとの警戒感が弱まり、国際的にみて割安感が強まった日本株を買い戻し
【賃上げ期待】今春、引き上げる企業が増えるとみられ個人消費持ち直しに期待感
【米国の景気】日本や世界の経済に大きな影響をもつ米景気が堅調
【日銀】日経平均と連動する上場投資信託(ETF)を今年5000億円近く購入
【年金積立金の運用】130兆円の運用資金がある年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内株を買い増す方針
【日本郵便】傘下のゆうちょ銀行(資産207兆円)、かんぽ生命保険(同85兆円)が株を買い増すとの期待感

■今後の懸念材料
【GDP伸び悩み】2014年10~12月期の実質国内総生産(GDP)の伸びが年率2.2%増と民間の予測を下回った
【国際情勢】ウクライナ情勢、ギリシャ債務問題、中東情勢など海外の不安要因
【原油安】さらに安くなり資源国の経済が悪化すると輸出企業にも影響

 株価が今後さらに上がるのかどうかについては専門家の見方も分かれていて、2面には「今年後半 2万円超も」「上昇継続考えにくい」という二つの見方が載っています。参考にしてください。さらに日経平均は上がったのですが、中堅企業も含めて東証1部全体の株価の値動きを反映するTOPIX(東証株価指数)は、2000年当時と比べて1割以上低い水準にとどまっており、大企業以外の株価は伸び悩んでいます。日本の経済がさらに明るくなるかどうかは、多くの企業が賃金を上げることで個人消費が拡大するどうかと、中堅・中小企業の業績も回復するかどうかが大きなポイントのようです。

 このように、株価は国内外のさまざまな政治・経済の動きの影響を受けています。みなさんがこれから受ける企業の業績を反映している一方、株価がこれからの企業活動にも影響していきます。まずは志望する企業の株価の動きを調べてみましょう。直近の企業の業績を反映していますから、これ以上新しい企業研究はありません。

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