2014年12月11日

自分たちで居酒屋経営、経験積む学生たち

テーマ:就活

ニュースのポイント

 サラリーマンの街、東京・新橋に大学生たちが経営する小さな居酒屋があります。就職する前に何か経験を積んで成長したい。そんな思いをもった学生たちが始めました。サラリーマンや学生が夢を語る場所でもあります。何人もの学生がここで働き、夢を見つけて就職したり起業したりしています。

 今日取り上げるのは、経済面(6面)の連載記事「けいざい心話/夢先案内酒場②就職氷河期なんかに、負けない」です。
 記事の内容は――新橋の酒場「あるばか」(写真)ができたのは2010年。社会人と交流する学生団体のリーダーで神田外語大4年生だった石塚泰斗(たいと)(27)は、知り合いの会社員に「300万円出資するから居酒屋をしないか」と打診された。就職戦線はリーマン・ショックの後遺症で超氷河期。大学生たちが「世の中が悪い」と嘆く中、学生の可能性を社会に示したいと思ってきた石塚は、約20人の大学生と居酒屋を始めることにした。準備が整ったとき、会社員から出資しないとの連絡が。準備にかけた2カ月の努力をムダにしないため、残った14人が数万~十数万円を出し合って開業。つきあいのあったサラリーマンたちが来てくれて2カ月で単月黒字になった。=敬称略
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 「あるばか」の名の由来は、あるバカな大学生が本気で経営するから。石塚さんたちが卒業したあとも、毎年十数人の大学生が数万~十数万円を出資しあって続けています。店には毎日3~4人が出ますが、もうからなければ報酬はなく、赤字が続けば出資金も戻りません。今年は13人が出資しました。5代目店長の明治大3年・木村幸子(さちこ)さん(20)がこの店に出会い、空間デザイナーになりたいという夢を育んだ物語は、連載第1回で読んでみてください。

 「あるばか」のホームページには、創設の経緯とコンセプトがつづられています。
 2010年9月8日。何か特別な経験を通して少しでも成長し、社会人としてのスタートを切りたい。熱い想いを持った学生たちが集まり、居酒屋あるばかは誕生しました。(中略)そして現在。初代、2代目、3代目、4代目と続いて13人の“あるばかな仲間たち”が5代目として経営を行っています。 メンバー一人一人が心正直に生きること、また「夢」を大切にしながら、日々全力で活動しています。それぞれが自分の夢に向かって歩み続けること、チャレンジし続ける姿こそが、社会で働く先輩方や背中を追ってくれる後輩たちに元気や勇気を与えられると信じています。社会を明るく豊かにするために。今日もあるばかは走り続けます。

 今日の記事に登場した開店当時のメンバーの進路はさまざま。石塚さんは不動産情報の営業マンになりました。IT企業をやめてふるさとの長野で起業準備をする人、料理研究家になった人、情報発信の会社員、シンガー・ソングライター……。この店で夢を見つけ、語り合って社会に出ていきました。

 ここで経営に携わった学生たちは、他ではできないたくさんの貴重な経験をしています。みなさんも、サークル、ゼミ、アルバイトなど、今しかできない体験を重ねていると思います。「あるばか」の学生たちの頑張りに負けないように打ち込んでください。なぜ始め、そこから何を得て成長したのか、考えながら行動すること。そうすれば今の体験が将来の仕事に生き、就活でのESに書くこと、面接で語ることにつながります。

 連載記事はあと2回、土曜日まで続きます。筆者は「中島隆の輝く中小企業を探して」を書いている朝日新聞の中島編集委員です。こちらも読んでくださいね。

※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。ぜひ登録してください。

アーカイブ

テーマ別

月別