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2013年10月01日

「組織の三菱、人の三井」…商社、銀行にも歴史的風土

テーマ:経済

ニュースのポイント

 JR北海道、みずほ銀行などの不祥事で企業風土が問われています。どの会社にも、企業風土、社風がありますが、今日は有名な「組織の三菱、人の三井」、さらに「結束の住友」を深掘りしてみます。

 今日取り上げるのは、1面のコラム「天声人語」です。
 記事の内容は――企業にはそれぞれ社風がある。「組織の三菱、人の三井」、サントリーの「やってみなはれ」などが有名だ。IT企業「はてな」は風通しがいい「まっとうな意見が通る組織」をめざす。不祥事が続くJR北海道の風土、文化はどうか。社内報に出た社員アンケートからは士気の低さが如実にあらわれた。経営理念への共感、経営トップの考えが伝わるか、行動を起こせば会社は変わるか、といった問いへの答えは否定的。悪い情報を上司に報告しにくい傾向も。直ちに風通しをよくし、まっとうな社風に改めるのが新トップの最優先の課題だ。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 週刊朝日の2012年6月22日号に「『3大財閥』研究 三菱vs.三井vs.住友 10年間の『優良・ハッタリ度』で分析」と題した面白い記事が出ていました。この記事には、常に国家を意識する官僚に近い印象の三菱、自由主義で個人の創造性を重視する三井、商人らしく積極的に前に進む住友――専門家の話をもとに各財閥の企業で働く人の特徴を、イラストと記事でまとめています。この記事から、各グループの風土を表すエピソードやコメントをかいつまんで紹介します。

◆複数の旧財閥系企業に勤めた経験を持つ経済評論家の山崎元氏は「三菱は『公家』、三井と住友は民間の『商人』。とくに三井はお金をたくさん持った『豪商』というイメージ」と語る。グループ社員やOBは「入社してまず驚いたのは、研修で三菱の歴史をみっちり教わったこと。明治維新以来、日本を牽引してきた『三菱財閥』のすごみを知る」(三菱)、「あまり『三井財閥』という意識はないですね。いい意味で自由主義ですが、悪く言えば、まとまりがない」(三井)、「住友と言えば、世間では、体育会系というイメージがありますね。それは旧住友銀行ですが……」(住友)と言う。

◆風土の原点は財閥の成り立ちにさかのぼる。三菱は明治初期に土佐藩が設立した海運会社の経営を岩崎弥太郎が引き受けたのが出発点。鉱業や造船業などに手を広げ、官営事業の払い下げで拡大した分野が多い。4代目社長・岩崎小弥太は「われわれは、国から極めて重要な任務を任されているとも言える」と話した。これに対し、三井と住友は江戸時代初期の商店が起源。三井は「越後殿の酒屋」から「三井越後屋呉服店」(現在の三越)に。住友は書物と薬品の店が起源で、銅の鉱山経営や精錬、貿易も手がけていた。「日本の15大財閥」(平凡社新書)の著者・菊地浩之氏は「戦前、三菱は造船や鉱業が中心、住友は素材産業が中心だった。どちらも製造業で、技術と社員教育を重視していた。三菱はスタンドプレーよりも、地道に着実に組織人に徹することを求めた。住友も三菱と同様だが、規模が小さく、少数精鋭にならざるをえなかった。『八人野球、三人麻雀』と言って、少ない人数で大手と伍していく精神論があったようだ」と解説する。三菱では3代目社長・久弥が権限を銀行部、造船部、営業部などに委譲。大きな方向性だけを示して各論は部下に任せる手法を採り、これが「組織の三菱」の基盤となった。住友は、生え抜きは大切に教育し、それに加えて中途採用組も積極的に登用。能力本位で分け隔てなく処遇する平等主義が、「結束の住友」の風土を生んだ。これに対し「三井は商業中心で、教育よりも、いい人材を抜擢することを重視した」(菊地氏)。最近の仕事ぶりにも受け継がれ、「三井は陽気で開放的。個人の裁量が大きく、個人を中心に仕事を組み立てる社風があります」と語る山崎氏は、商社の例を挙げる。取引先が電話をかけてきたとき、担当者不在でも話が通じるのが「組織」の三菱商事で、通じないのが「人」の三井物産なのだとか。

 いかがですか。三菱、三井、住友の風土の違いを少しは感じとってもらえたと思います。さらに今は、風土が対極的ともいえる三井と住友の間で、2001年の銀行をきっかけに、損害保険、建設、信託銀行などで経営統合が進んでいますが、ときに「異文化との衝突」もあるようです。各グループには、銀行から商社、海運、電気、化学など多種多様な業種の企業があります。これから取り組む企業研究では、3大財閥の歴史的な風土の知識をベースに、社員から直接話を聞いて、変化も感じとってください。

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