2024年12月02日

繊維産業、テレビ…… 産業の栄枯盛衰感じるニュース続く【週間ニュースまとめ11月25日~12月1日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 この週は、産業の栄枯盛衰を感じさせるニュースがありました。戦後日本で栄えた産業のひとつに繊維産業があります。上質な化学繊維を生産し、市場は国内だけでなく世界に広がっていました。しかし、多くの工場労働者を必要とする産業であったため、次第に安い労働力が得られる中国や東南アジアの国に市場を奪われるようになりました。日本の大手繊維メーカーの多くは、炭素繊維、フィルム、医薬品などの分野に転換して生き残りをはかりました。しかし、ユニチカは繊維からの転換が遅れて経営が行き詰まり、官民ファンド の傘下に入って再建を目指すことになりました。

 ほかにも読売テレビ放送など、日本テレビ系列で経営体力のある4社が経営統合するという発表もありました。この発表の背後にも産業の栄枯盛衰があります。ネットやSNSの発達により、若者のテレビ離れが進み、これまでのようにテレビが大きな影響力を持ち続けることは難しくなりつつあります。特に民放の地方局の経営には厳しさがみられ、先手を打つ形の経営統合を決めたとみられます。

 志望する業界は、産業として上り坂にあるのか、下り坂にあるのか、また先を見て手を打っているのかいないのか。就活生の皆さんはこうしたことをよく調べてみましょう。(ジャーナリスト・一色清)
(写真・頭を下げるユニチカの上埜修司社長=2024年11月28日、大阪市/朝日新聞社)

【国際】トランプ氏、中国に10%追加関税表明 カナダとメキシコには25%(11/25.Mon)

 トランプ次期米大統領は11月25日、メキシコとカナダへの関税を25%に引き上げ、中国に10%の追加関税をかける考えを明らかにした。米国への合成麻薬や不法移民の流入が止まらないとして、問題が解決するまで関税を課すと宣言。関税を材料に圧力をかける「トランプ外交」が、就任を待たずに始まった。トランプ氏は自身のSNSへの投稿で、数千人の不法移民や「フェンタニル」などの合成麻薬が、カナダとメキシコから長年米国に流入し続けていると主張。両国はこの問題を「簡単に解決できる絶対的な権利と権力」を持っているにもかかわらず、行使していないと非難した。

【経済】アマゾン、出品者に値下げやサービス利用強いた疑い 公取委立ち入り(11/26.Tue)

 ネット通販大手のアマゾンが、出品者に対して販売価格の値下げや自社のサービスの利用を強いた疑いがあるとして、公正取引委員会は11月26日、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで、アマゾンジャパン(東京都目黒区)への立ち入り検査を始めた。関係者への取材でわかった。関係者によると、同社は優先的に表示されるカートボックスを割り当てる出品者を選ぶ条件として、他の通販サイトより「競争力のある価格設定」を求めたり、自社が提供する商品の保管・出荷・配送・返品などの一括サービスの利用を要求したりしていた疑いがあるという。「競争力のある価格設定」は、実質的に値下げの要求にあたると公取委はみている。

【経済】ユニチカが私的整理へ 官民ファンド傘下で再生 祖業・繊維事業売却(11/28.Thu)

 1889年に創業し、かつては日本の繊維産業の中心的な存在だったユニチカは11月28日、200億円の出資を受けて官民ファンド「地域経済活性化支援機構」の傘下に入ると発表した。銀行に債権放棄を求めるなどし、私的整理手続きを進める。祖業の繊維を含めた課題事業を外部に売却して再建を目指す。「赤字事業を続けてきた結果、資金繰りの維持も困難な状況になった」。28日に大阪市で会見した上埜(うえの)修司社長は、会社の窮状をこう説明した。

【社会】時速194キロ死亡事故、危険運転致死罪で懲役8年の判決 大分地裁(11/28.Thu)

 時速194キロで車を運転し死亡事故を起こしたとして、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死)の罪に問われた元少年(23)に、大分地裁の裁判員裁判(辛島靖崇裁判長)は11月28日、懲役8年(求刑懲役12年)を言い渡した。地裁は被告の運転を「危険運転」だったと認定した。判決によると、当時19歳だった被告は2021年2月9日午後11時ごろ、大分市の制限速度60キロの県道交差点を194キロで走行。対向車線から右折しようとしていた小柳憲さん(当時50)運転の乗用車に衝突し死亡させた。危険運転を認定するか否かは各地の裁判で争われている。

【経済】札幌、中京、読売テレビ、福岡放送の日テレ系4社が経営統合へ(11/29.Fri)

 読売テレビ放送(大阪市)などは11月29日、日本テレビ系列の札幌テレビ放送中京テレビ放送、読売テレビ放送、福岡放送の4社が共同で「読売中京FSホールディングス」を来年4月1日付で設立すると発表した。同社は持ち株会社として、4社を子会社とし、経営統合する。テレビ離れが進む中で、経営体力のある4社をまとめることで、日テレ系列の「強靱(きょうじん)化」を図るという。

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