2015年04月07日

介護・健康…広がるコンビニの可能性

テーマ:経済

ニュースのポイント

 コンビニがお年寄り向けに変身中です。介護サービスを紹介してもらえたり、血液検査を受けられたり、電話注文でお弁当が家に届いたり。高齢者や介護する家族には便利になりそうです。全国で5万店を超え、売り上げは頭打ちのコンビニ業界ですが、新たな可能性が広がります。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、経済面(8面)の「コンビニ 介護 健康に商機/相談窓口 血液検査 弁当を宅配」です。(写真は、大人用おむつなど介護関連商品が並ぶ埼玉県川口市の「介護ローソン」)
 記事の内容は――「介護ローソン」の棚には入れ歯安定剤などが並び、無料の相談窓口やお年寄りの交流サロンも。ローソンの玉塚元一社長は「高齢者の生活支援にもつながる重要なモデル」と位置づけ、介護サービス「ウイズネット」(さいたま市)とともに2018年2月末までに30店の出店をめざす。ファミリーマートは調剤薬局やドラッグストア計16社と提携し、薬を扱う「一体型コンビニ」を2019年3月までに1000店つくる計画だ。こうしたサービスはすぐ店の売り上げになるとは限らないが、高齢者や介護をする人など新しい客層の開拓につながる可能性がある。コンビニ最大手のセブン-イレブンをのぞく大手の既存店ベースの売上高は減少傾向。主な客層の15~64歳の人口が減るなか、高齢者層の取り込みが生き残りを左右する。セブンは栄養バランスのとれた弁当を宅配するサービス「セブンミール」の会員が約66万人、60歳以上が6割を占める。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 コンビニといえば、かつては若者向けのイメージがありましたが、これからはお年寄りの憩いの場になっていくのかもしれません。

 人口減少・少子高齢化が進む中、コンビニ業界は生き残りをかけて、高齢者、介護を新たなターゲットに定めました。高齢者や介護する家族にとっては、近所のコンビニが健康管理や買い物の拠点になれば便利ですよね。記事で取り上げている骨密度の無料検査を受けたお年寄りの言葉が、この事業の意味をよく表しています。

 「買い物ついでに健康管理ができて、ありがたい」

 世の中のニーズをくみ取って新たなサービスを生み出していく。このコンビニ業界の変身は、社会の役に立つことこそがビジネスになる典型例になるかもしれません。人口減少・少子高齢化への対応はコンビニに限ったことではなく、今あらゆる業界にとって最大の課題の一つです。志望する業界で何ができるのか、どう変われるのか、などを考えておくと面接などできっと役に立ちます。

 コンビニについては、先週アップした業界トピックス「コンビニの強み、10個言えますか?」でも取り上げています。そこで紹介した経済産業省の「コンビニエンスストアの経済・社会的役割に関する調査報告書」では、コンビニの役割を13項目に分けて整理しています。こちらもチェックしてください。そのうち、「健康産業化」「買物弱者」「高齢者見守り・認知症」の三つは今日の記事に関連する項目です。

 さらにローソンは、佐川急便の持ち株会社SGホールディングスと業務提携して、コンビニ商品を宅配便と一緒に届けるサービスを始めると、今日午後の記者会見で発表します。新会社の名称は「SGローソン」。配達員は電球交換を手伝うなど「御用聞き」のようなサービスをすることも想定しており、高齢者や共働き世帯などの利用を見込んでいます。

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