2015年03月05日

電力自由化でガス、通信、家電、鉄道会社…異業種参入

テーマ:環境・エネルギー

ニュースのポイント

 電気を好きな会社から買える電力の「全面自由化」が2016年4月から始まります。ガス、石油、通信、住宅、家電量販店、鉄道など異業種の会社が続々と「新電力」に名乗りを上げています。みなさんの志望する会社も名を連ねているかもしれません。最新情報を企業研究に役立ててください。

 今日取り上げるのは、総合面(5面)の「教えて⁈電力自由化① 電気料金安くなるの? 競争は進むが、保証はない」です。
 記事の内容は――「新電力」最大手のエネットは、筆頭株主がNTTの子会社という関係をいかし、家庭向けにはNTTグループのインターネットサービスと電力をセットで、大手電力より安く売ることを検討している。工場や百貨店などへの電力販売は2000年から段階的に自由化され、マンション1棟に一括で電気を売り、大手電力より5%安くなった実績もある。自由化される家庭向け電力市場の規模は2013年度で8.1兆円。新電力の登録数はこの2年で7倍に急増し、2月末現在で577社になった。電気料金は液化天然ガス(LNG)など火力発電の燃料価格に大きく左右されるうえ、再生可能エネルギー普及を支えるための「賦課金」増加や消費増税など値上がり要因も多く、競争が進んでも価格が下がる保証はないが、経産省は「自由化しないよりは価格は抑えられる」と強調する。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 電力自由化で家庭向けの電気料金が安くなるかどうか。今日の記事は、こうした消費者に役立つ情報を届けようと書かれています。でも、就活中のみなさんは「消費者目線」だけでなく、どの業界のどんな会社ならどんな新サービスを生み出せるだろうか、といった「ビジネス目線」で記事を読むようにしてください。

 いま電力事業は、大きな転換点にあります。電気は長い間、東京電力、関西電力などの全国大手10社の地域独占事業で、その会社からしか買えませんでした。生活や産業に欠かせないだけに、停電を起こさず安定的に供給することが重視されたからです。安定供給が実現すると、政府は競争で価格やサービスの向上を促そうと徐々に自由化を進めてきました。2000年から産業向けの自由化が始まり、ついに2016年から家庭向けも自由化されるところまできました。

 自由化されると、大手電力によるエリア外進出、ガス会社による電気とガスのセット割引、自然エネルギー事業会社による再生エネルギーだけを使った電気販売、通信会社によるスマホとのセット割引、電機メーカーによる省エネ家電とのセット割引など、さまざまな新サービスが生まれそうです。

 記事には、都市ガス大手の東京ガス、石油元売りの東燃ゼネラル石油、家電量販店のヤマダ電機、私鉄の東京急行電鉄など幅広い業種が登場しています。経済産業省のホームページの新電力企業一覧を見ると、ほかにも、商社、製鉄、製紙、住宅、自動車、電気メーカーなどなど、実に多様な会社が並んでいます。大きなビジネスチャンスがあると見ているからですね。大手電力会社を目指す人だけでなく、他の業界を志望する人も、興味のある会社が新電力に関わっていないか調べ、どんなサービスを提供できるのか考えてみてください。2017年には、ガスの家庭向け販売も自由化される見通し。相互参入が狙いです。

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