人事のホンネ

人事のホンネ

【特別編 Part6】
面接ごとにポイントは違う!最終面接前にやるべきこと

2018年05月29日

 採用の面接は1回だけでなく、多くの企業は3~4回行います。面接を担当する社員は、最初の若手・中堅から部長など幹部クラスになり、最終は役員面接という会社が一般的です。それぞれの面接で聞かれること、確認されるポイントはどう違うのでしょうか。「人事のホンネ」から、最終面接前にやるべきことが見えてきました。(編集長・木之本敬介)

(写真は、面接を待つ学生たち=2017年6月1日)

1次面接は「第一印象」で決まる?

大和ハウス】(1次面接のポイントは)第一印象やコミュニケーション能力です。特に営業系は第一印象が大事です。「人は見た目が9割」という本が話題になりましたが、お客様は少し話しただけで「この人は話を聞いてくれそうだな」などと見定めますから、「お客様から見てどうか」を確認します。
 ですから1次のポイントは、基本的な会話ができるか、身だしなみが整い、清潔感があるかどうか。「学生時代に頑張ったことは?」など普通のことを聞きます。大事なのはレスポンスですね。答え方や顔色を見て、「好印象を持たれる人物か」を見ます。1次では志望理由などはあまり聞きません。

野村證券】身だしなみやあいさつができるかなど、第一印象は大切ですね。複数名同時に面接するときは、聞く姿勢も大事です。お客様からの信頼が第一なので、誠実性とコミュニケーション能力が非常に重要で、受け身ではなく自ら考えて行動できる人を私たちは求めています。

 インターンシップなどに参加していれば別ですが、1次面接は企業がみなさんに直接会う初めての場です。第一印象は極めて重要です。明るく元気な表情や声の張りなどを心がけましょう。

「一緒に働きたいか」

コマツ】事務系の1次では人柄などを見て「一緒に働きたいと思えるかどうか」を見ることが多いです。2次、最終と進むにつれて、考えて行動してきた積極性や思考力、実際に入社したときのイメージが浮かぶかどうか、などを深掘りしていきます。

講談社】1次面接をする現場社員には「一緒に働きたいと思える人物かどうか」で見てもらっています。細かいルールを設けているわけではなく、個々の社員の感性に任せている部分はありますが、多様な人材がいていい会社なので、そのぐらいの基準で丁度よいのではないでしょうか。

ワコール】1次面接は現場の社員で、2次~最終にかけて課長クラスから役員になっていきますが、基本的には、学生がワコールで働く姿を想像できるか、一緒に働く仲間としてどうか、どの部門のどんな仕事で活躍できそうか、を優先して見てほしいとお願いしています。話に論理性があるかどうかも見ています。

博報堂】面接やグループワークのなかで、「一緒に働きたいかどうか」は見ています。私も面接をしますが、「自分の部下に入ってきたらどうか」「自分の上司にこの人がいたらどうか」という観点で見ます。「ちゃんと下が育つかどうか」「リーダーになれそうか」は考えますね。

三井物産】人物を見るときの視点は、お客さんに可愛がられるか、自分の部下として一緒に働きたいかという点ですね。

 初期の面接のポイントを聞くと、多くの会社が「一緒に働きたいか」をあげます。1次面接は若手・中堅の社員が担当します。みなさんの表情、話しぶりを観察しながら、同じ職場にいたらどうか、部下になったら営業の現場でどんな対応をするのだろう、などと想像しながら面接しているわけです。

最終面接ではあらゆる質問が

 多くの企業は最終でも半分ほどしか通りません(落とします)。ここを通過すれば社員になるわけですから、あらゆる側面から確認が行われます。最終面接が「一番厳しい」という会社もあります。

凸版印刷】(1次の)グループディスカッションでは、コミュニケーション能力や論理的に考えられる人か、討論を観察しながら見ます。2次面接は本人にクローズアップして、仕事をやり抜く力があるかを見ていきます。最終面接で見るのは人物の全体像。どんな能力を持っているか、どういう経験をしてきて、何を感じたのか、私はそこを重要視しています。今の学生はいろんな経験はしていますが、そこから何を感じ取ったのかが大事です。

朝日新聞】1次ではコミュニケーション能力、仕事への理解度や志望の強さを見ています。2次では、いろいろなことに関心があるか、使命感や公共心があるかを見ます。いつでも現場に行って、歴史的な瞬間に立ち会えるのが記者の醍醐味なので、それを自らの使命として感じられる人かどうかを見ています。最終面接は総合的な確認です。学生からは「最終面接が一番きつい」と言われています。1次、2次はフレンドリーに楽しく進んで、最終面接でいきなりすごい数の質問が飛んできます。多種多様な質問に食らいついていけるかどうか。

「熱意」はどう確認?

オリエンタルランド】2次面接までに「求める人財像」に当てはまった人かどうかを見て、最終面接ではオリエンタルランドで働きたいという熱意や本気度を確認します。

 最後にものをいうのは「熱意」です。それをどう確認するのでしょう? その会社のことを「誰よりも好きです!」と言えることではありません。

【講談社】3次面接を通るとほぼほぼ内々定なので、志望の度合いが本物か、出版という仕事を正しく理解しているか、働く覚悟や心構えができているかを見ています。憧れだけじゃなくて、自分の職業としての本、雑誌をちゃんと理解しているか。本や雑誌が好きといっても実際はそこに載っている何かが好きなはずで、本や雑誌を通じて伝えたい何か、そういう「好き」を持っているか、それに対する熱量も含め見ています。

ヤマト運輸】1次面接では当社に入りたいという熱意の部分はわからないので、ここで絞り込むというより一人ひとりの性格を見極めます。(2次、最終で)一番大きいのは当社に対する熱意があるのか、企業理念に対する共感性があるのかどうかです。いま提供しているサービスの改善点など学生なりに考えてきたことを話したり、実際に入社した後、どんな仕事をしたいのかをしっかり伝えてくれたりすると、やる気を感じますね。自分の人生の中で、ヤマト運輸というフィールドで何をしたいのかという話を聞くこともあります。

帝国ホテル】(最終面接は)複数の役員との個人面接です。基本的には履歴書に沿って質問し、本当に弊社の総合コースに入りたいのかもあらためて確認します。「この会社で自分を成長させたい」「この会社の成長に貢献したい」と、より強く思っている人に入ってほしいので熱意も大事です。比較的短時間の面接なので、言いたいことを端的に伝える「論理性」が問われます。
 本当に熱意のある人はよく企業研究をしています。役員面接の前、学生に「総合コースに入るなら有価証券報告書くらい読んでおいてね」と伝えます。読んで、この会社の強みや課題を自分なりに考えてくる学生は頼もしい。時間がない中、弊社に時間を割いた学生はわかります。有価証券報告書をパッと見てわからなければ、書物を読むなり人に聞くなりすれば何となくひもとけるはず。総合コースで入る以上は、自分なりに考えた弊社の強みや課題を見ておいてほしいですね。

 わかりましたか? なんとしても入りたいと思えば、その会社のことをもっともっと知ろうとしますよね。「しっかり企業研究している人」=「熱意がある人」「志望度が高い人」と見られるわけです。初期の面接ではさほど重視されなかった志望動機ややりたい仕事についても最終面接では詰められます。最終面接前には、有価証券報告書を読み込んだり、新聞記事データベースで志望企業名を1年分検索したりしてみてください。志望度の高さをアピールできますよ。

みなさんに一言!

 面接は恋愛とも似ています。
双日】1次面接は細かいところより、一緒に働きたいかどうかという観点で見ます。2次は1対1で時間もあるので、いろいろな観点から見ます。最終面接がおそらく一番厳しい。真剣に相思相愛になれる学生を見極めます。
コクヨ】1次面接は基本的な能力、たとえばコミュニケーション能力や論理的な能力を見ています。この段階では、志望動機はそれほど見ていません。選考が進むにつれて志望動機が形成されるのもいいと思っています。2次では、主にコクヨで何をしたいのかを聞きます。そしてマッチングが進み、最終面接を経て「相思相愛」になれれば……という設計をしています。

人事のホンネ

【特別編 Part6】