人事のホンネ

コクヨ株式会社

2018シーズン 【第7回 コクヨ株式会社】
文具やオフィスへのニーズ、愚直に実現 仕事で何得たいか考えて

経営管理本部 人事総務部 採用育成グループ グループマネージャー 佐藤陽介(さとう・ようすけ)さん

2017年03月27日

 企業の採用担当者に木之本敬介編集長が直撃インタビューする人気企画「人事のホンネ」。2018シーズンの第7回は、学生に身近な文房具で有名なコクヨです。
 文房具(ステーショナリー)に、オフィス家具や空間づくりのファニチャー、通販・小売りを加えた三本柱で事業を展開しています。「文具好き」だけでは通用しませんよ。

■採用実績と募集職種
 ――2016年春の新入社員の数を教えてください。
 総合職は男性26人、女性13人の計39人です。うち「事務系」が29人、「技術系」「プロダクトデザイン系」「建築系」 が計10人です。

 ――2017年春入社の内定者は?
 業務拡大のため少し増やして約50人です。市場が盛んなファニチャー(オフィス空間、家具)事業を支えてほしいという思いもあります。しばらく毎年30人前後の採用でしたが、ここ数年増やしています。2018年卒も約50人を予定しています。

 ――技術系、プロダクトデザイン系、建築系について教えてください。
 「技術系」は主にモノづくり、家具や文房具の企画開発から生産に携わっていくイメージですね。想定しているのは、主に機械や電気、化学を学んだ学生ですが、専攻については柔軟に考えています。
 「プロダクトデザイン系」は製品のデザインです。美術大や芸術大でデザインを本格的に専攻した学生が対象で、学校推薦のみです。
 「建築系」はファニチャー事業がメインです。空間デザインや施工管理ですね。建築学部や工学部の出身者を募集します。

■選考スケジュール
 ――2017年卒採用の応募者数は?
 プレエントリーが1万5000人くらい。事務系が大半で1万4000人くらいを占めます。エントリーシート(ES)の提出は5000人弱です。

 ――2018年卒採用のスケジュールを教えてください。
 人数が多い事務系は、3月は学内セミナーに出るなどし、6月の最終面接に向けて、ESによる選考、会社説明会などを実施しました。

 ――説明会はどんな形式ですか。
 まずは、コクヨの三つの事業、ステーショナリー(文房具)、ファニチャー、通販を理解してもらうために事業説明を行っています。事業ごとに若手社員が3~4人出て説明します。学生は1回あたり数十人ですね。東京と大阪で開いています。

「文具好き」だけでなく、他の人にも届けたい?

■エントリーシート
 ――ESを拝見すると「企業や仕事を選択するうえで、あなたが大事にしている価値観や軸」「企業のどんな部分を見て、自分の価値観や軸に合っていると思うかを教えてください」と、「価値観と軸」にこだわった質問があります。狙いは?
 「仕事を通じて何を得たいか」をしっかり考えているか確認したい。もっとも、正解のない問いなのでビシッときれいな回答でなくてもいい。「そこに考えを持っているかどうか」という意味合いです。抽象的でもいいので、「何を大事に思っているか」に立ち戻ってもらいたいと思っています。
結果としてコクヨに入らなくても、より良い就活につなげてもらえればとも思っています。そういう思いも込めて少し抽象的な問いを投げかけています。

 ――学生はどんな風に書いてきますか。
 学生にとっては難しいと思いますが、全然書けていないというケースはあまりないですね。「人の役に立つ」「自分の成長につなげる」といった考えを持つ人が多いでしょうか。突拍子もない言葉はあまりありません。
ただ、日々モノを考えて行動したり、多くの人と接したりしてきた人は、経験に結びつけて書いてくるので説得力があります。

 ――次に、どんな仕事や職種をやりたいのかを聞くんですね。
 少しずつコクヨとの接点を考えてもらうところですね。「自分が大事にすることを、コクヨでどうやって実現したいのか」を書いてもらいます。

 ――文房具は学生にとても身近ですから、ここは書きやすいのでは?
 そうですね。「日常を良くしたい」という感じで文房具に触れる人が多い。ただ、「日常」といっても起きてから寝るまでいろんなシーンがありますからその辺を面接で聞かせてもらうこともあります。

 ――学生は文房具が大好きですよね。
 好きな学生が多いですね。それは嬉しいことです。ただ、自分が「好き」なだけではなく、「文房具が世に送り出されるところまで携わりたい」という思いが大事です。「自分が使うだけではなく、人に使ってもらう」という気持ちですね。

 ――「消費者目線」ではなく、「ビジネス目線」ですね。どういう考え方をしたら身につきますか。
 先ほどの「仕事を通じて何を得たいか」を振り返ってもらえればいいと思います。「文具が好きで、持っているだけでわくわくする」と話す人がいますが、それは自分の気持ちであって、他の人にもその気持ちを届けたいのかどうか。そして届けたい「他の人」はどういう人なのか。学生なのか、ご高齢の方なのか、小さいお子さんなのか、働いている方なのか。それぞれの方が文房具を使うのはどういうシーンなのか。そういう具体的なイメージを、あまり持っていない学生もいます。
ただ、最初の面接ではイメージを持っていなくても仕方がないと思います。私たちが質問して「あっ、そうか」と、考えてもらえばいい。

  ――「人生最大の挑戦」を問う質問もありますね。
達成する意欲を見たい。困難をどうとらえて、どう行動したのかを聞きたいんです。多くの人は大学の話ですが、高校、中学のことを書く人もいますね。

 ――事務系以外の職種には、勉強の話や「心がけているデザインのこだわり」といった質問があります。
 何に着眼しているか、興味や関心の視点を知りたいですね。なぜそれに興味を持ったか、それを起点に今後どう幅広く関心を持っていくかも参考になります。
私たちの仕事は、お客様や世の中のニーズを広く感じ取ることが大事です。ニーズとシーズ、どちらで勝負するかというと、ニーズです。世の中に幅広く関心を持って、何が求められているのかをくみ取ることが大切という意味合いです。

 ――「今まで周囲と協力して取り組んだ経験」の設問はチーム作業が多いから?
 世の中には1人でする仕事もあるでしょうが、コクヨの仕事は全体で進めて価値が生まれます。周囲と協力したり貢献したりできるかを見ています。部活動やサークルのほか、勉強やアルバイト、課外活動などいろいろ書いてきますね。

■面接
 ――面接は何回ですか。
 コースによって違いますが、事務系は3回です。
 2017年卒採用では、1次面接は1対1の個人面接、2次は学生1人に対し面接官が3人でした。最終面接は学生1人に対し面接官2~4人くらいです。時間はいずれも20~30分くらいですね。

 ――それぞれの面接で見るところは?
 1次面接は基本的な能力、たとえばコミュニケーション能力や論理的な能力を見ています。この段階では、志望動機はそれほど見ていません。選考が進むにつれて志望動機が形成されるのもいいと思っています。2次では、主にコクヨで何をしたいのかを聞きます。そしてマッチングが進み、最終面接を経て「相思相愛」になれれば……という設計をしています。

 ――佐藤さんが面接で重視するポイントは?
 ESの最初に聞く「軸」を自分自身で考えようとしているか、またそれを私たちに伝えたい、という気持ちが強いかどうか。その気持ちをしっかり受け止めたい。その「軸」をコクヨと重ねて考えを聞きます。まだ入社していないので、分からないことや間違いがあっても構いません。コクヨという場を通じて、自分は何を得たいとか、世の中に対してこう貢献していきたいという思いを聞きたいですね。
面接では、話し方がうまい人が有利だと思われがちですが、3語か4語でも伝わるときは伝わってきます。饒舌に滑舌よく話すだけではなく、自分なりに思いを伝えてもらえればいい。私たちも聞き逃さないように気をつけています。目的意識が伴わず、しゃべりだけ良くても仕方ありません。

 ――言葉に詰まってしまった学生から、どうやって話を引き出しますか。
 「何でもいいですよ」と。身近な表現でも抽象的でもいいから、自分のペース、自分の言葉で話してくださいと言います。

 ――話がうまくなくても内定した人はいますか。
 いますよ。結果としては、話が上手な内定者が多いのですが、言葉は足りないけれど自分なりに目的意識や軸があって、コクヨで取り組みたいことをしっかり持った人です。

 ――「世の中への関心」との話がありましたが、ニュースについて聞くことは?
 ときおり聞きます。たとえば「働き方改革」について。コクヨを志望して会社のことを知っていくと、オフィス事業に関心を持つ学生も多くなります。「働き方に貢献したい」と。「関連のニュースで気になっていることは?」などと聞いています。学生にとっては難しい質問のようですが。

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