ニュースのポイント
円安ドル高が進み、円相場が一時7年4カ月ぶりに1ドル=120円台に下がりました。輸入食材の値段が急騰し、食品メーカーは続々と加工食品の値上げを発表しています。「値上がりは嫌」という消費者目線だけでなく、食品業界、関連企業にとってどんな影響があるのか、「ビジネス目線」でニュースを読み、業界・企業研究につなげてください。
今日取り上げるのは、経済面(9面)の「円安 輸入食材が高騰/サケ 2年で8割値上がり/加工食品に連鎖拡大」です。1面には「円安 一時120円台/NY市場 7年4カ月ぶり」が載っています。
記事の内容は――円安で魚や肉が値上がりしている。円安は輸出企業の利益を高める一方、輸入が多い食材は高くなるからだ。大手スーパーではサケが2年前より8割も値上がりした。2年前の1ドル=80円から急に円安が進んだことに加え、ロシアのウクライナ侵攻も影響した。欧州の経済制裁に対する報復でロシアがノルウェーからのサケ輸入をストップしチリから調達。サケ輸入の6~7割をチリに頼る日本と競合した。総務省の
小売物価統計調査をみると、サケ、エビ、牛肉、レモンなど輸入に頼る食材の値上がりが目立つ。加工食品でも値上げ表明が相次ぐ。メーカーにとっては利益が改善する一方、消費者心理が冷え込んで販売減にもつながる諸刃の剣だ。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
円安が止まりません。そもそも円安って何なのかのイロハについては「円安ってなんだ?原因と企業への影響を知ろう」(9月10日の「今日の朝刊」)で書いたので読んでみてください。今日の1面の記事から、一時120円台になった要因をまとめます。
◆米国経済の動きを示す最新データで良い数字が多く、米国の景気回復への期待感からドルを買って円を売る流れが強まっている
◆景気対策として日本銀行が追加の量的金融緩和に踏み出し金利が低い日本と、政策金利引き上げに向かう米国の金融政策の違いが明確になり、円売りドル買いに
◆衆院選で自民党が勝ち、大規模な金融緩和を柱の一つとするアベノミクスが続くとの見方が強まり、流れに拍車をかけた
円安は、10月末に日銀が追加緩和に踏み切ってから加速し、その直前と比べ10円以上の下落となっています。耐えきれなくなった食品メーカーが、加工食品の値上げを続々表明しているわけです。記事からピックアップします。
【日本水産】枝豆や若鶏の竜田揚げなど家庭用冷凍食品を来年1~2月出荷分から3~15%値上げ
【日清食品】即席袋面やカップ麺を来年1月から5~8%値上げ
【三井農林】「日東紅茶」ブランドの家庭用ティーバッグ17品目を来年3月から5~15%値上げ
ほかにも【江崎グリコ】アイスクリーム、【ハウス食品】カレールー、【昭和産業】パスタ……など、幅広い品目で値上げが予定されています。
食品メーカー、食品輸入に関わる総合商社や専門商社、流通、小売りなど多くの業界、企業が対応に追われています。食品に限りません。円安の影響はあらゆる業界に及びます。ウクライナ問題がサケの価格に影響を与えているように、世界の情勢からも目が離せません。「ビジネス目線」を忘れずに、ニュースに接するようにしましょう。
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