2014年12月04日

はやぶさ2打ち上げ成功!宇宙ビジネスが得意な企業は?

テーマ:科学技術

ニュースのポイント

 小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げが成功し、往復52億キロの長旅が始まりました。小惑星の地下にある物質を採取して2020年、東京五輪の年に地球に戻る世界初の挑戦です。機体や搭載装置には日本のモノづくりの技術の粋(すい)が結集。大手メーカーから町工場まで100社以上が携わりました。「はやぶさ2」や宇宙ビジネスから、企業研究をしてみましょう。

 今日取り上げるのは、1面の「はやぶさ2 宇宙へ」、総合面(7面)の「宇宙探査へ続く航海/研究者、火星に照準/政府は安保・産業重視」です。
 記事の内容は――「はやぶさ2」を載せたH2Aロケット26号機が3日、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。2018年に小惑星1999JU3に到着して有機物を含んだ石や砂を採取、6年後に地球へ帰ってくる計画だ。小惑星に銅板を衝突させて人工クレーターをつくり、太陽の熱などの影響を受けていない地下の物質を採取する。太陽系が誕生した頃の姿をとどめる小惑星の有機物は、生命の起源解明の手がかりにつながる可能性がある。小惑星との往復探査を成功させているのは日本だけ。総責任者の宇宙航空研究開発機構(JAXA)教授は「最終的な目標は火星探査」と言う。内閣府は新たな宇宙基本計画策定を進めており、宇宙産業の維持・育成のため10年間の長期的な打ち上げ計画を示して企業が経営計画を立てやすいようにする方針だ。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 いくつもの苦難を乗り越え、3億キロ離れた小惑星イトカワから微粒子を持ち帰った初代「はやぶさ」の奇跡の帰還。覚えていますか。日本中が盛り上がり映画にもなりましたね。あれから4年。さらに高度な技術が求められる「はやぶさ2」が旅立ちました。
 
 今日は「はやぶさ2」を企業の目線から見てみます。以下は開発に携わった代表的な企業と担当分野です。
【NEC】機体の設計・製造、イオンエンジン、小惑星からの熱放射を調べる中間赤外カメラ
【三菱重工業】探査機の姿勢を制御する装置
【富士通】軌道決定システム、地上データ伝送システム
【IHIエアロスペース】小惑星の表面に人工クレーターを作る衝突装置、岩石などのサンプルを入れる特殊カプセル
【住友重機械工業】岩石や砂などの試料採取装置
【古川電池】リチウムイオン電池で電源を供給するバッテリー
【明星電気】水や有機物の存在を調査する近赤外線分光計、衝突実験を撮影する理学観測分離カメラ
【日本工機】クレーターをつくる衝突装置の心臓部にあたる円錐(えんすい)形の「爆薬部分」

 日本工機(東京都港区)は破砕薬をつくる中堅のメーカーで福島県西郷村の工場が担当しました。ほかにも精密部品メーカーの石川製作所(福島県鏡石町)、東成イービー東北(同県郡山市)、下平製作所(横浜市金沢区)など中小のメーカーが関わった苦労話も記事になりました(下記リンク参照)。

 日本の人工衛星事業の「2強」はNECと三菱電機。通信、映像撮影、電波による観測、太陽電池による発電など、たくさんの電気技術が必要なため、電機メーカーが中心を担っています。かつては東芝もつくっていましたが、2001年にNECと事業統合しました。NECは「はやぶさ」「はやぶさ2」のほか、月面探査機「かぐや」や金星探査機「あかつき」など比較的小型で研究目的の衛星を多く手がけています。三菱電機は気象衛星「ひまわり」や通信衛星など、比較的大型で実用目的の衛星が得意です。衛星の組み立てはこの2社が中心ですが、一つひとつの部品は企業や大学、研究機関が開発します。人工衛星は1機あたり数十万個の部品でできているので、下請け企業も含めると数百社が関わっているのです。

 「はやぶさ2」を打ち上げたH2Aロケットの開発、打ち上げ業務を担ったのは三菱重工です。打ち上げ後の記者会見は、JAXAと三菱重工が行いました。国民的関心事ですからメーカー以外の企業も無関係ではありません。「はやぶさ2」関連の広告とりまとめや、応援するオフィシャルサポーター企業の募集や関連広告の取り扱い、広報活動は電通が担っています。志望業界や企業が関わっているかもしれませんよ。調べてみましょう。

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