ニュースのポイント
衆議院選挙が公示され、選挙戦がスタートしました。14日の投開票日まで、新聞紙面やテレビ、街頭で、各党が主張を繰り広げます。今回の衆院選の特徴をまとめ、選挙制度のポイントをおさらいします。
今日取り上げるのは、1面の「国の行方 問う/経済・安保・原発 幅広い争点/衆院選公示 安倍政治に審判」など各面にある衆院選関連の記事です。
記事の内容は――第47回衆議院選挙が公示された。安倍晋三首相が最優先課題に掲げる経済再生のほか、閣議決定で集団的自衛権の行使を認めた安全保障政策のあり方、原発再稼働の是非、国会の定数削減など争点は多い。国の行方を誰に託すのか、その選択が問われる。期日前投票は3日から始まり、14日に投票、即日開票される。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
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2009年にあった前々回の衆院選は自民・公明連立政権から民主党政権への、2012年の前回は逆に自公への政権交代が起きた「政権選択選挙」でした。でも今回、民主党の候補者数は198人。全員当選しても単独では過半数に届かず、「今回の次の選挙で政権の選択肢として認めてもらえる議席を獲得したい」(枝野幸男幹事長)という姿勢です。与党が過半数割れの惨敗をすれば、現在の野党による連立政権ができるかもしれませんが、「安倍政治の2年を問う選挙」というのが大方の見方です。前回圧勝し公示前に自公で355議席を占めていた「巨大与党」ですから議席を増やすのは困難です。議席を維持するのか、少し減らすのか、大きく減らすのか。今回の選挙結果は、これまでの安倍政権の経済や安全保障などの政策や路線に審判を下すことになります。勝敗の線引きは難しいのですが、与党が安定して政権を運営できる議席数を取れば、安倍首相による長期政権の道が開かれることになるでしょう。
衆議院の投票は初めてという人も多いと思います。ポイントを整理します。まずは「公示」という言葉の解説から。
【公示】一般の人に広く知らせるために発表すること。国など公の機関が行うものに、選挙に関する公示,地価公示などがある。選挙の期日を知らせる場合、衆議院議員総選挙と参議院議員通常選挙は天皇が国事行為として行う「公示」といい、選挙管理委員会が行う補欠選挙や地方選挙では「告示」が使われる。
【小選挙区比例代表並立制】全国295(前回までは300)の小選挙区ごとに最多得票を得た候補者1人が当選する「小選挙区制」と、全国を11ブロックに分けて政党に投票する「比例代表制」(定数計180)を同時に選挙する制度。大政党に有利で政権交代が起きやすい小選挙区制と、中小政党も議席を確保しやすい比例代表制を組み合わせた。有権者は小選挙区では候補者名を、比例区では政党名を、別の投票用紙に書いて2票を投じる。1994年の公職選挙法改正で衆院選に導入され、1996年に初めて行われてから今回が7回目。比例区では、政党があらかじめ順位をつけた候補者名簿を提出。得票数の多い順にドント式と呼ばれる方式で政党に議席が配分され、名簿順に当選者が決まる。
【重複立候補と復活当選】政党公認の候補者は小選挙区と比例区に重複して立候補できる。重複候補は小選挙区での当選を優先し、落選した場合でも名簿順位が政党に配分された当選圏にあれば、「復活当選」する。比例区の名簿には、重複候補者を同じ順位に並べることができる。その場合、小選挙区で当選者の得票に対して何%を得たかを示す「惜敗率」の高い候補から順に、比例区で当選が決まる。小選挙区での最多得票者に対する得票率(惜敗率)が高い方から当選となる。
【衆院定数の「0増5減」】最高裁は2011年、一票の重さが選挙区により違う「格差」が最大2.30倍だった2009年衆院選を「違憲状態」と判断。これを受けて国会は2013年、福井、山梨、徳島、高知、佐賀の選挙区を3から2に減らし、議員定数を5減らす「0増5減」の新区割り法を成立させた。480だった衆院の定数は今回から475となる。2010年の国勢調査に基づけば0増5減で一票の格差は最大2倍未満に収まるが、その後の人口変動で新区割りでも2倍を超える選挙区が続出している。
【期日前投票】投票日に仕事や旅行、冠婚葬祭などの予定がある場合、公示・告示の翌日から投票日前日まで、市町村の役所などに設けられる期日前投票所で投票できる。2003年に導入された。それまでも事前に投票できる不在者投票制度があったが、投票用紙を封筒に入れて立会人の署名をもらうなど面倒な手続きが必要だった。新制度では、投票用紙を投票箱に入れるだけでよくなったこともあり、利用者が急増。2005年衆院選は896万人、2009年は1398万人と増えたが、2012年は1203万人とやや減った。旅行先で投票する場合などのために不在者投票制度は残る。洋上の船員がファクスで投票する「洋上投票」の制度もある。
衆院の選挙制度は複雑です。とくに重複立候補と復活当選がわかりづらく批判も多くあります。それでも、小選挙区では候補者名、比例区では政党名を選ぶことさえわかっていれば、投票で戸惑うことはありません。新聞には連日、各党、候補者の主張や政策が載ります。投票日までじっくり吟味して決めてください。期日前投票も気軽に利用しましょう。
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