2014年09月09日

錦織 準優勝に見る「中身×語学=成功」の方程式

テーマ:国際

◆ニュースのポイント

 日本人で初めて、テニスの全米オープンで準優勝を果たした錦織圭選手の表彰式インタビューに感動しました。英語の巧さはもちろんですが、その言葉の中身に、です。自身のプレーについての「反省」を、次に優勝した相手に「祝福」を、そして自らのチームや、観客、スポンサーに「感謝」を、最後に「来年も戻ってきたい」と「抱負」を。わずか数分のコメントに、伝えたいことのすべてが詰まっていました。
 TOEICのスコアは就活の必需品と言われますが、「中身」あっての「語学」だな、としみじみ感じました。(副編集長・奥村 晶)

 今日取り上げるのは、国際面(11面)の「ベトナム、日本語熱沸騰/日系企業急増「就職の近道」/留学生 前年度比4倍」です。
 記事の内容は――ベトナムで空前の日本語ブームが起きている。2013年度の日本への語学留学生は前年度の4倍の8000人を超えた。きっかけは日中関係の悪化で中国からベトナムへ拠点を移す日系企業が増えたこと。ベトナム人学生にとって、日本語習得が「就職への近道」になっている。日本語能力試験のベトナムの受験者数は2013年2万6696人で東南アジアで1位。2位のタイ(1万6800人)を大きく引き離している。 

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
 

◆就活アドバイス

 グローバル人材の確保、組織のダイバーシティー(多様化)が、日本企業が生き残るための「命題」になっています。採用担当者や経営トップに話を聞くと、成長を続けている企業ほど、「国内だけでなく世界の市場に対応できる人材・技術がほしい」、そして「性別、年齢、国籍など多様な人材を組織に入れることで、単一ではない、新たな視点で技術革新をしていきたい」と言います。求めるものは「イノベーション」です。

 今回のニュースはベトナム人の日本語学習ブームを取り上げたもので、その目的は主にベトナムに進出した日系企業への就職だとしています。おそらく、彼らの中には、ベトナムにある現地法人にとどまらず、日本国内の企業に就職していく人も、今後は増えていくことでしょう。
 
 企業の形態にもよりますが、グローバル展開に積極的な企業に就職した場合、みなさんの同僚が外国人、というケースはますます増えてくると思います。もちろん上司も、です。たとえば、「ポテトチップス」などスナック菓子大手のカルビーの場合、会長、社長を除く、5人の取締役のうち、1人はトルコ人女性、1人が中国人男性です。経営の中枢でも、ダイバーシティーは進んでいます。 

 イノベーションは「ノイズ」、もともとその世界にいる人にとって、耳慣れない、一種の不協和音、「常識外れ」から誕生するといいます。日本企業に就職した場合、多様な立場の同僚からの「ノイズ」をしっかり受け止め、そして、外国企業に就職し、ダイバーシティーを担う一員になったときは、ただ、その企業の色に染まるのではなく、自信をもって、しっかり「ノイズ」を発信してください。英語に限らず、外国の言語を学ぶ醍醐味はそこにあるのではないでしょうか。

 語学力は履歴書に記入するためにあるのではありません。「語学」に「中身」が伴ってこそ、あなたの就活、人生が「成功」に近づくのです。 
 
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