2014年08月05日

慰安婦問題と日韓関係

テーマ:政治

ニュースのポイント

 日韓関係が冷え込んだままです。大きな原因の一つが、戦時中の韓国人慰安婦の問題です。難しく重いテーマですが、避けて通るわけにはいきません。今日の朝刊では、大きなスペースを割いて慰安婦問題を特集しています。そもそも慰安婦とは何かを知るところからはじめましょう。

 今日取り上げるのは、16、17面の「慰安婦問題を考える㊤慰安婦問題 どう伝えたか/読者の疑問に答えます」のうち、「慰安婦問題とは」です。
 記事の内容は――慰安婦とは戦時中、日本軍の関与の下で作られた慰安所で、将兵の性の相手を強いられた女性。政府は1993年に河野洋平官房長官が発表した談話(河野談話)で「当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」と指摘した。日本人のほか、植民地だった朝鮮半島や台湾出身者らが慰安婦にされた。慰安婦の総数を示す公式記録はなく、日本の専門家には「2万人前後」「5万人以上」との推計があるが、韓国や中国ではさらに多い数字をあげる人もいる。慰安所は1932年、日本兵による強姦(ごうかん)事件での反日感情の高まりを防ぐために始まったといわれ、性病蔓延(まんえん)による戦力低下や機密漏洩(ろうえい)防止、軍人の慰安のためなどの理由が加わった。慰安婦は多くの場合、軍の意向を受けた業者がまず日本国内で、さらに植民地の朝鮮や台湾で集めた。「仕事がある」とだまされたり、親に身売りされたりした場合も多いことがわかっている。政府は1993年の調査で、「戦地では常時軍の管理下で軍とともに行動させられ、自由もない生活を強いられた」と説明した。1990年以降、植民地時代の朝鮮半島で日本の軍人・軍属とされた韓国人らから日本に謝罪と補償を求める声が高まり、日韓間で問題となった。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 「過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目になる」。ドイツのワイツゼッカー元大統領の有名な演説の一説です。慰安婦問題は何十年も前の出来事ではありますが、この問題や日本が植民地化していた歴史の上に今の日韓関係があります。これからの日本を、日韓関係を築いていくみなさんの世代も、「知らない」で済ますわけにはいきません。基本的な歴史を押さえたうえで、これからについて考えてみてください。

 この問題は、「強制連行」や「強制性」の有無など、日韓間や日本国内で長年多くの議論が起こってきました。軍や警察がどの程度関与したのかは大事な問題ですし、歴史上、他国でも似たようなことはあったのになぜ日本だけがずっと責められるのか、という人もいます。ただ、慰安婦として自由を奪われて、女性としての尊厳を踏みにじられた人たちがいるという事実は変わりません。この本質を忘れないことが大切だと思います。「足を踏んだ側は忘れても、踏まれた人は痛みを忘れない」と言われます。どんな議論も痛みを受けた側の気持ちをくむところからスタートしたいものです。日韓は深い経済関係にあり、多くの企業も関係改善を望んでいます。過去を知ったうえで、これからの時代の日韓関係について考えてみてください。

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