2014年07月25日

「好きを仕事に……」を夢物語で終わらせないために

テーマ:就活

◆ニュースのポイント

 みなさんは、『それでも僕は夢を見る』(水野敬也/文響社刊)という本を知っていますか? 200万部超のベストセラー『夢をかなえるゾウ』の作者の文に、パラパラ漫画で人気の鉄拳のイラストがついた、少し風変わりな本です。春に出版され、すでに20万部を超えました。主人公は自分に寄り添い、励まし続けてくれた「ユメ」(全身タイツ姿)を、「一緒にいると苦しいから」とあるとき捨ててしまいます。さあ、主人公はどうなったのでしょう……。(副編集長・奥村 晶)

 今日取り上げるのは、総合面(2面)の「ひと/サッカーベトナム代表監督に就任/三浦俊也さん(51)」です。
 記事の内容は――今春、ベトナムのサッカー代表監督に就任した三浦さん。学生時代は無名選手で、大学卒業後は岩手県の養護学校教諭になったが、サッカーをあきらめきれず、27歳でドイツへ留学した。約6年間かけて指導法を習得し、帰国後、Jリーグ監督の資格を取った。2004年に大宮、2007年に札幌をそれぞれJ1に昇格させた。FIFAランキング129位と伸び悩むベトナム。今回も「不振が続けばクビもある」と妻子を残して単身赴任中だ。「サッカー途上国」を躍進させた先に「本場欧州で」と夢を見すえる。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

◆就活アドバイス

 就活をしていると、「好きを仕事にする」ことがいかに難しいか、感じるときがあると思います。
 私自身も、志望していた企業・職種にことごとく落ち、結局、大学のキャリアセンター職員に「向いていると思うから、だまされたと思って受けてみて」とマスコミ受験をすすめられ、今に至っています。適性は自分ではわからないので、他者のアドバイスに素直に耳を傾けることも大事です。

 それでも、「もし自分がもう一つの道を選んでいたら」と思うことはあります。きっとみなさんも就活だけでなく、これからの人生で、何度も「もし……たら」に出合うでしょう。

 私たちが何度も発信していることですが、就活の正解は「一つ」ではありません。

 「好きを仕事に……」をかなえた三浦さんの人生からは、強い思いがあれば、人生は軌道修正できる、ということがわかります。あきらめた夢を、後で取り戻すこともできるのです。

 三浦さんは岩手県釜石市出身。駒沢大学を卒業した後、教員になりますが、サッカーへの情熱を捨てきれず、ドイツのケルンスポーツ大学に留学します。といっても帰国後、すぐに花形J1チームの監督になれたわけではありません。
 三浦さんが初めて監督に就任したのは1997年、旧JFL加盟のサッカーチーム、まだJ2ですらない「ブランメル仙台」です。翌年、同じく旧JFLの「水戸ホーリーホック」へ。J2「大宮アルディージャ」のヘッドコーチを経て2000年に監督へ。4年がかりでJ1昇格を果たします。2007年、当時J2の「コンサドーレ札幌」の監督に就任、J1復帰を果たすも、翌年には再びJ2降格が確実となり、不振の責任をとって自ら退任します。
 2009年から「ヴィッセル神戸」、2011年からは「ヴァンフォーレ甲府」の監督となりますが、いずれも成績不振で辞任したり、解任されたりしています。
 そして今春、「サッカー途上国」とはいえ、ナショナルチームを預かる立場になったわけです。書いているだけで「ヒリヒリ」するような緊張感にあふれた経歴です。

 三浦さんは51歳。でも満足していません。ここで、「成果」を挙げて、さらなる高みを目指しているのです。

 みなさんにはまだまだ時間があります。就活に疲れたら、一回フーッと深呼吸してみてください。

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