2014年06月17日

ホンダが室内電動車開発 シニア市場ねらえ!

テーマ:経済

ニュースのポイント

 自動車大手のホンダが、お年寄りが住宅内で乗る1人乗り電動車を開発し積水ハウス、東芝と共同で実験しています(写真)。ちょっと意外な組み合わせだと思いませんか。高齢化が進む中、シニア向けの新たな商品やサービスがどんどん出て来そうですね。

 今日取り上げるのは、経済面(8面)の「家の中 車でスイスイ/ホンダ・積水ハウス・東芝 高齢者向け実験」です。

 記事の内容は――ホンダは1人乗り電動車「UNI-CUBβ(ユニカブ ベータ)」の住宅内での実証実験を積水ハウス、東芝と共同で進めている。座ったまま移動できるため足腰の弱ったお年寄りでも手軽に乗れるのが売り。ホンダは高齢化社会の到来をにらみ、早くから室内でも使える電動車の開発に取り組んできた。実験用住宅は段差をなくし、自動ドアを設け、部屋の角を円くして曲がりやすくするなど工夫している。他にも、弱った足腰を支え歩行を助ける機器「歩行アシスト」の実験も進めている。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 グラフ(2012年発表の人口推計)を見てください。日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに減り、国の将来推計では、少子高齢化の流れが止まらない場合、2060年には8700万人を割ります。

 一方で65歳以上の高齢者の人口は、昨年9月時点で約3200万人。総人口に占める割合が初めて25%を超え4人に1人が高齢者という時代です。2060年には40%になる見込みですが、注目してほしいのは人口に占める割合だけでなく、数も約3500万人に増えるということです。総人口は減り続けても高齢者の数は当分増え続けるので、高齢者向けの市場は確実に大きくなるわけです。

 高齢者向けの商品やサービスというと、すぐ思い浮かぶのは、介護ロボット、配食、見守りサービス、健康食品、医薬品といったところでしょうか。「業界トピックス」の最新記事「ビジネスチャンス!シニア世代向け商品開発」では、高齢者向け宅配食市場が急成長していて、ニチレイフーズなどの食品会社のほか、コンビニや生協、薬局も参入している――と書きました。

 高齢者の数が増えれば「元気なお年寄り」も増えます。しかも、シニア世代は教育費や住居費の負担が少なく、所得を消費に回せる人の割合が高い。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストの推計では、2012年の60歳以上の消費支出額は108兆7000億円。2011年に100兆円を超え、消費全体のほぼ半分を占めるようになり、これから消費支出がさらに膨らむのは間違いありません。この「100兆円市場」をねらって新たな取り組みを始めた企業を、1年前の朝日新聞名古屋版の記事(現場発 成熟するシニア市場 企業、100兆円ビジネスに照準)から紹介します。

◆イオン=朝型のシニアを意識し、一部の店で開店時刻を通常より2時間早い午前7時に
◆家庭教師派遣のトライグループ=語学や資格取得などの生涯学習「大人の家庭教師」を開始
◆セントラルスポーツ=一部のフィットネスクラブにデイサービス施設を併設
◆TSUTAYA運営のカルチュア・コンビニエンス・クラブ=「代官山蔦屋書店」(東京)には本やCD選びの相談に応じるコンシェルジュが常駐。ウイスキーが飲めるラウンジも
◆ファンケル=肌のシワやたるみ、シミなどを短期集中で改善する高級美容液を発売

 「高齢化」「シニア向け」は、あらゆる業界にとって最大のキーワードの一つです。志望する業界・企業の取り組みや、今後の可能性について考えてみてください。

アーカイブ

テーマ別

月別