2014年03月26日

G8崩壊!G7、G20、Gゼロ…世界はどうなる?

テーマ:国際

ニュースのポイント

 主要8カ国(G8)の枠組みが崩壊しました。ロシアのクリミア併合に反発する7カ国(日米英仏独伊加)がロシアの参加停止で一致したためです。ただG7にかつての力はなくなっています。Gゼロ(無極化)の時代が来るのでしょうか? 世界の秩序が揺らいでいます。

 今日取り上げるのは、総合面(2面)の「時時刻刻/G8崩壊 新秩序模索/現実味を帯びる『Gゼロ』」です。1面コラムの天声人語、オピニオン面(18面)の社説も関連の内容です。
 記事の内容は――ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を併合したことに対抗し、日米などG7は、G8からのロシア排除で合意した。しかし、今は中国やインドも加わる主要20カ国・地域(G20)の役割が増えてG8の存在感は薄れており、インパクトは絶大とは言えない。米国は対ロ追加制裁を主張するが、欧州は天然ガスなどの資源輸入、自動車などの輸出でロシアとの関係が深く、痛手を負う覚悟がないと踏み込めない。安倍首相はG7の首脳に対話の継続と平和的・外交的解決を訴え、ロシアへの配慮を示した。北方領土問題を抱えて良好な関係を保ちたい思いに加え、ロシアが中国との連携を深めることを懸念してのことだ。一方で尖閣諸島を念頭に「力を背景とした現状変更は断固として許せない。この問題はウクライナにとどまらず、アジアなど国際社会全体の問題」とも発言。日米同盟が揺らげば尖閣問題などで中国につけいる余地を与えることにもなるため、G7に同調する以外の選択肢はなかった。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

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 G7、G8、G20、Gゼロ……、さらに一時、米中の2大国を「G2」と呼ぶ言い方もありました。わけがわからないですよね。「G」はグループのG、G7は「グループ・オブ・セブン」の略です。G7を中心とする世界の主要国首脳会議(財務省・中央銀行総裁会議も開きます)の枠組みの歴史を振り返ってみます。

1975年【G6】石油危機を機に日米英仏伊と西ドイツ(現ドイツ)が首脳会議
1976年【G7】カナダが加わる(その後、欧州連合=EUもメンバーに)
1991年    ソ連崩壊で東西冷戦終結、米国が唯一の超大国となり「世界の警察官」を自任
1994年    ロシアが一部の討議に参加
1998年【G8】ロシアがほぼすべての日程に参加
2000年代   イラク戦争などを経て米国の力低下、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国)など新興国が経済的に台頭
2008年【G20】リーマン・ショックを受けG8に新興国を加えた首脳会議スタート(G8、BRICS、韓国、オーストラリア、メキシコ、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチンを加えた20カ国・地域で構成)
2010年    中国の国内総生産(GDP)が日本を抜き、世界2位の経済大国に

 それぞれの構成国については紙面の図表も見てみてください。G7各国のGDPの合計は、1995年には世界経済の67%を占めていましたが、2011年には50%を割りました。2012年のGDPの順位は、①米国②中国③日本④ドイツ⑤フランス⑥英国⑦ブラジル⑧ロシア⑨イタリア⑩インド――です。G8の枠組みでは、2位中国、7位ブラジル、10位インドが議論に加われません。それでは効果的な対策を打ち出せないのでG20がつくられました。G20を合わせれば世界経済の80%超を占めるからです。

 ロシアはG8の枠組みに執着していません。G20や国連安全保障理事会(常任理事国は第2次世界大戦の戦勝国である米ロ英仏中の5カ国)の方が重要との姿勢です。ロシアがクリミアを手放すことはなさそうですから、G7との対立緩和の糸口は見えません。それでも、20世紀の冷戦時代とは異なり今はグローバル化の時代。貿易、投資、エネルギー、文化などが国境を越えて行き交い、相互依存関係はかつてなく深まっています。どう展開していくのか先は読めません。でも、その行方が日本の企業に大きな影響を与えるのは間違いありません。みなさんが面接で話をする企業の人たちは、こうした国際情勢を注視しています。基本的な構図だけは押さえておいてください。

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