2014年03月27日

「羽田国際線大増便!」航空・旅行業界どう変わる?

テーマ:経済

ニュースのポイント

 羽田空港の国際線の便数が30日から大幅に増えます。羽田は都心に近く、日本中から国内線が乗り入れるため、国際線利用者にとっては朗報です。でもエアラインや旅行業界を目指すみなさんは、消費者目線ではなく、業界への波及効果や事業拡大の可能性などを考えてみましょう。

 今日取り上げるのは、経済面(8面)の「世界の羽田 離陸間近/国際線30日から拡大/全日空、増便を強調/日航、深夜便PR」です。
 記事の内容は――羽田の国際線が大幅に増え、ドイツ・ミュンヘン、インドネシア・ジャカルタなどへの新路線ができて1日55便から77便に増えるほか、深夜発だったロンドンやパリ便が昼間に移る。1日当たりの国際線の便数は、全日本空輸(ANA)が23便、日本航空(JAL)17便に。ANAは「羽田大増便!」などの広告を大量に出す。JALが目玉に据えるのが深夜に羽田を出て、現地の早朝に着くベトナム・ホーチミン便。深夜便を他都市に広げる可能性もある。一方、101都市に1日約200便が飛んでいる成田空港は、格安航空会社(LCC)を積極的に誘致するなどして便数を増やしている。両空港の共存も課題だ。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 かつて羽田は国内一の国際空港でしたが、1978年に新たな成田空港(新東京国際空港)が開港してからは「国際線は成田」が原則で国内線専用空港に。国際線はチャーター便などに限られました。その後、航空需要の増加にともなって2010年に4本目の滑走路をつくってから、再び国際線の乗り入れを始め発着枠を段階的に増やしてきました。今回、羽田の国際線は成田の約4割にまでなり、本格的な国際空港として「再デビュー」するわけです。羽田の昨年の旅客数(国内線・国際線の合計)は6873万人で開港以来最多となりました。発着枠の増加で、今年7000万人の大台を突破すると、米アトランタや中国・北京に次ぐ世界3位の旅客数になる可能性があります。

 今回最も大きく変わるのは、これまで深夜・早朝に限られていた中長距離線が昼間でも飛べるようになること。紙面の表にあるように、パリ、ロンドン、バンクーバーなどの欧米をはじめ、シンガポール、バンコクなど東南アジアへも昼間に飛び立ちます。羽田は都心に近いだけでなく、毎日200便以上の国内線が到着するため地方に住む人にとっても便利になります。成田空港への国内線は限られているため、成田発の国際線に乗るには出国前に首都圏に泊まる人が多かったのですが、羽田発ならすぐに海外に飛び立てます。

 羽田の変化が関係するのは航空会社だけではありません。JR東日本は東京駅と羽田を結ぶ新路線計画を発表、羽田へのアクセスが便利になります。旅行会社は羽田発着の海外ツアーを大幅に増やします。たとえば、ANAセールス福岡支店はすでに九州発着で羽田を経由する北米や欧州行きの新商品を発売しています。

 今後の見通しはどうでしょう。羽田と成田の発着枠は、現在合わせて年間68万回。運用の工夫などで2015年3月までに74万7000回に増やします。ただ、それ以上に需要が増えるため2022年には1万5000回分、枠が不足すると国土交通省は試算しています。急成長するアジアからの訪日が増えるのが主な要因で、1日20便が着陸したくてもできない計算です。しかも2020年東京五輪が決まる前にはじいた数字なので、もっと増える見通し。羽田に5本目の滑走路を新設する案は五輪には間に合わないため、国交省は都心上空の飛行を認めたり管制を効率的にしたりして、発着能力を上げることを検討しています。

 いずれにせよ、航空業界とその周辺業界は今後さらに大きくなることが確実な成長産業です。日本を訪れる外国人は昨年初めて1000万人を突破しましたが、政府はさらに「2020年に2000万人」「2030年に3000万人」という目標を掲げています。こうした大きな流れを頭に入れておき、数年後その業界で自分がどんな事業でどんな役割を果たしているのか考えてみてください。これからの面接で、そんな大きな夢を語れるといいですね。

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