2014年03月03日

歴史の教科書に載る⁉世界が注視するロシア軍の動き

テーマ:国際

ニュースのポイント

 ロシア軍がウクライナ南部のクリミア半島で活動を始め、欧米が反発するなど国際情勢がにわかに緊張しています。「新冷戦」という言葉も新聞に登場しはじめ、今後の動きによっては世界史の教科書に太字で書かれることになるかもしれません。歴史が今まさに動いているのです。この出来事で、私は自分が新聞記者を志したころのことを思い出しました。

 今日取り上げるのは、1面のコラム「天声人語」です。ウクライナ情勢については、ほかにも1面「ロシア、クリミア掌握へ/ウクライナ/米、経済制裁を示唆」、総合面(3面)「強硬ロシア 狙いは『聖域』」、国際面(7面)「クリミア 基地取り囲む兵」に載っています。
 天声人語の内容は――旧ソ連(ソビエト連邦)の戦車の記憶はオリンピックに重なる。1968年にチェコスロバキアで高まった民主化の動き「プラハの春」を軍事介入でつぶしたのはメキシコ五輪の直前だった。79年にはアフガニスタンに侵攻し西側諸国は翌年のモスクワ五輪をボイコット。ソ連崩壊後の北京五輪でも、ロシアとグルジアの軍事衝突が平和の祭典を曇らせた。そして今、ソチ五輪が終わり、パラリンピックを目前にして軍事介入の危機だ。欧米は反発し、新冷戦ともいうべき図が姿を現した。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

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 1979年の12月、ソ連軍がアフガニスタンに侵攻しました。長く続いた東西冷戦の中でも「デタント」と呼ばれる緊張緩和の時代は終わり、世界情勢は一気に緊迫しました。当時高校生だった私は、ソ連の戦車が侵攻する映像や、大見出しが連日並ぶ新聞記事を食い入るように見続けました。東西の非難合戦は日に日にエスカレート。天声人語にもあるとおり日本を含む西側諸国のモスクワ五輪ボイコットにつながり、のちに世界史の教科書にも太字で書かれることになりました。

 私にとって「プラハの春」は、教科書で知った歴史上の出来事です。一方で「ソ連のアフガン侵攻」は、リアルタイムに起きていた出来事でした。当たり前のことなのですが、「歴史が今動いている」ことを初めて実感し、興奮したことを鮮明に覚えています。一連の報道に触れながらこう思うようになりました。「こんな世の中の激動を現場で直接見て伝えたい」。新聞記者を志す大きなきっかけになりました。

 今回のロシア軍のクリミアでの動きは、ウクライナの主権を無視したもので、欧米を中心とする国際社会は厳しく批判しています。ロシアがこのまま強硬な姿勢を続ければ、欧米対ロシアが新たな対立時代に突入する国際情勢の歴史的転換点になるかもしれません。みなさんにも、ニュースをそんな大きな視点で見てほしいと思います。

 世界の構図の変動は、経済にも大きな影響を与えます。商社や金融だけでなく、多かれ少なかれ、みなさんが目指す様々な業界に波及します。報道機関志望者はもちろんですが、それ以外の人も、今後の報道を注視してください。クリミア半島を含むウクライナ情勢については、日を改めて解説しようと思います。

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