2014年01月20日

味の素とポッキーのアジア進出物語

テーマ:国際

ニュースのポイント

 味の素とポッキー。日本では誰もが知っている定番商品ですが、東南アジアの国々でも愛され根付いています。文化も、味の好みも、商習慣も違う外国に浸透するまでには、営業マンや開発部門の地道な努力の積み重ねがありました。

 今日取り上げるのは、オピニオン面(7面)の記者コラム「風 バンコクから/味の素とポッキー/クールジャパンの先達」です。
 記事の内容は――味の素は、東南アジア各国のどんな田舎の雑貨屋にもある。1962年にタイで現地生産を始め、食品店一軒一軒を回る現金直売方式はフィリピンで確立され受け継がれた。同社は各国に計3000人以上の現地営業社員を擁し、今も毎日、各国の隅々まで歩き回っている。アミノ酸の「うまみ」を持つ魚醬(ぎょしょう)や海老醤を使うアジアの料理は味の素と親和性が高い。ただ所得は日本より少ないため、3グラムずつ分包し、20袋ひとつながりで店頭にぶら下げる「カレンダー」と呼ぶ方式を考案。カレンダーを一つひとつ売って、うまみ調味料トップの地位を築いた。江崎グリコは72年にタイでポッキーの生産を開始。途上国の菓子市場は腹を満たすビスケット類が中心で、甘すぎる菓子は敬遠される。ポッキーの適度な甘さと手軽さが受けた。日本のポッキーより少ない47グラムで販売、暑い国で溶けにくいチョコを使い、甘みが広がる速度が遅い点も人々の口に合うという。タイのビスケット部門1位を走り続ける。タイグリコの日本人幹部は「欧米勢がまだ席巻していないアジアは早い者勝ちの市場」と話す。二つの商品に共通するのは、早い時期にアジアに飛び込み、各国の事情に合わせて工夫を重ねてきたこと。「クールジャパン」の先達だ。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 味の素と江崎グリコは、現地の国民の好みに合わせた商品開発、商品の小分けや値付け、売り方など各国の事情に合わせて工夫を重ね、さらに長年の地道な営業があって初めて、東南アジアで今の地位を築いたのです。両社の社員たちの心意気が伝わってきますね。

 食品は学生に人気の業界です。商品が身近でなじみがありテレビCMも多いため、イメージが湧きやすいからでしょう。派手で明るい印象を持つ人が多いと思いますが、営業や開発の現場は甘くありません。どんな商品でも同じでしょうが、食品の場合、自動車や家電製品と比べると桁がいくつも違う安価な商品だけに、より細かな配慮や工夫が必要なのかもしれません。

 サントリーホールディングス人事部の竹田雄平課長は、「人事のホンネ」でこう語っています。
 「サントリーは宣伝のイメージが強く、いいイメージを持ってくれている学生が多い。ひょっとしたら、きらきらとして楽しそうに見えるかもしれませんが、仕事は相当ハードです。例えば、私個人の経験からお酒の営業の話をすると、ビールのシェアは第3位で、上位2社の商品を取り扱う店にサントリーが行っても用事はない。そこに入っていくのは大変です。仕事は意外に泥臭く、厳しいものです」
 竹田さんは、その中で工夫し人間関係を築きながら市場を開拓していくやりがいについて話してくれました。

 会社の歴史や商品、仕事内容についての基本的な情報は、企業のホームページや会社案内、説明会などで知ることができます。ただ、これらはエントリーする学生のほとんどが目を通しています。企業が自ら発信する情報に加えて、今日のような新聞記事を読んでおくと、企業の見方が広がるうえに他の学生にちょっと差をつけられますよ。エントリーシートや面接で活用してください。

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