2014年01月21日

「戦わない会社」エドウインのこだわり

テーマ:経済

ニュースのポイント

 売れ筋の商品は作らない、価格競争はしない――。そんな会社があります。小さなオーディオメーカー・アキュフェーズと、ジーンズ大手のエドウイン。まったく違う業界ですが、共通するのは「戦わない」姿勢と、こだわりの商品づくりです。

 今日取り上げるのは、①オピニオン面(15面)の「リレーおぴにおん 老舗の流儀9/オーディオメーカー・アキュフェーズ会長 斎藤重正さん/『会社大きくせず』で40年」と、②第3社会面(37面)の「ニュースQ3/日本人とデニムに深い関係?」です。
 記事の内容は――①大手オーディオメーカー副社長らが辞めて作ったアキュフェーズの主な製品はアンプとCDプレーヤー。40年間、会社を大きくしない、たくさん作ろうとしないということを掲げ、世界的に知られるブランドに成長した。年に5000台作って約21億円を売り、社員は七十数人。アンプは29万円から250万円。売れ筋の安い価格帯の製品は作らない。製品作りでは趣味性を追求し、徹底的にとことん作り込んでいきたいという。
 ②証券投資で多額の損失を出し経営再建を目指すジーンズ大手エドウインだが、同社幹部は「本業のジーンズ販売は順調」という。リーマン・ショック後に西友などで低価格ジーンズが売られた時、同社は「戦わない姿勢」を貫いた。価格競争では勝てないが、顧客に戻ってきてもらえるための開発力を高め、夏はひんやり、冬は温かい商品が定番になった。日本のデニム加工技術は世界から注目され、いまや「デニム加工王国」だという。岡山発の純国産「桃太郎ジーンズ」は「一生穿(は)ける」を売りに、原綿からこだわった作りで海外でも売り上げを伸ばす。国の「クールジャパン」事業でも国産デニムは注目されている。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 多くの会社は、常に売り上げを伸ばして成長することを目指しています。「サントリーが米蒸留酒大手を巨額買収」を14日に書きました。世界企業に飛躍しようとするサントリーは、その典型例でしょう。でも、今日紹介した二つの会社はまったく別の道を目指しています。

 「売れ筋の、安い価格帯には行きません。あそこは価格競争のジャングルです。ぼろぼろになって消えてしまった専業メーカーはいくつもあります」。アキュフェーズの斎藤さんの言葉が象徴的です。かつてテレビ市場で世界の上位を占めていたパナソニック、ソニー、シャープといった日本メーカーが、すぐれた技術力を持ちながらも韓国や中国のメーカーとの価格競争に敗れ、事業を縮小したり、撤退したりして経営不振に陥ったケースを思い起こします。ジーンズも、西友やユニクロの低価格ブランド、ジーユーで買えば1000円でお釣りがくる時代。1万円前後の商品が多いエドウインはあえて同じ土俵では戦わない戦略です。

 価格競争に巻き込まれず、生き残ってきた企業に共通するのは、他にはまねのできない商品開発力と高い技術力、そして何より強いこだわりがあることです。こだわりを持っているモノがある人は、会社の大きさに関わらず調べてみてください。志望企業の選択肢が広がるかもしれません。

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