2014年01月14日

サントリーが米蒸留酒大手を巨額買収 世界を攻める

テーマ:経済

ニュースのポイント

 サントリーホールディングス(HD)が、「ジムビーム」などのブランドを持つ米蒸留酒大手「ビーム社」を総額160億ドル(約1兆6500億円)で買収すると発表しました。日本企業の海外企業買収では過去最大規模。両社の蒸留酒部門の売上高は約43億ドル(約4400億円)で世界第3位になります。国内市場が伸び悩む中、攻めの経営で世界を目指します。

 今日取り上げるのは、1面トップの「サントリーが1.6兆円買収/米『ジムビーム製造元』」と、経済面(4面)の「世界に照準 攻めの買収/サントリー、蒸留酒3位に」です。
 記事の内容は――サントリーHDは、「ジムビーム」などのブランドを持つ米蒸留酒大手「ビーム社」を買収することで合意したと発表した。日本企業の海外企業買収では、日本たばこ産業による英ギャラハー社買収などに匹敵し過去最大規模。蒸留酒の売上高世界4位のビーム社を、世界10位のサントリーが買収することで、両社をあわせた事業規模は世界3位になり、サントリーグループの海外売上高比率は21%から32%に上がる。日本国内では酒類市場が伸び悩んでおり、サントリーは世界に通用するブランドをそろえることで、海外市場で事業を伸ばす狙いがある。国内の酒類メーカーはこれまで、キリンHDがブラジルやオーストラリアで、アサヒグループHDがニュージーランドなどで買収を重ねてきた。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 サントリーの年間の売り上げに匹敵する巨額の買収です。サントリーは国内市場で主力のビール、蒸留酒事業とも好調です。それなのに、なぜ世界に打って出るのでしょうか。そのあたりの事情は、経済面の記事で解説しています。国内市場は、人口減少やアルコール離れで先細りは確実。一方、蒸留酒の世界市場規模は前年比6%増の伸びで、そのうち米国は約25%を占めます。規模や成長性で上回る世界市場に力を入れるのは必然だったようです。

 中核子会社のサントリー食品インターナショナルは昨年、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)の飲料事業を約2100億円で買収すると発表。欧州の有名飲料ブランドを次々に傘下に収めることで、海外戦略を加速させています。2009年に約3000億円を投じ、オレンジ炭酸飲料として世界的に有名な「オランジーナ」を展開する仏飲料大手オランジーナ・シュウェップス・グループを買収しました。昨年7月には、サントリー食品インターナショナルの東証1部上場時に新株を発行して2800億円を調達し、欧州での企業買収などに充てました。

 キリンHDやアサヒグループHDなど他の大手ビール・飲料各社もこの数年、競うように海外企業を買収しています。各社とも主力だった国内のビール・飲料事業は市場縮小で成長が見込めず、海外を含めたグループ戦略が生き残りのカギを握っている事情があります。

 1面記事には、他の業界の大型買収が一覧表になっています。企業研究の一環として、気になる業界の買収による海外展開について朝日新聞デジタルの検索機能や大学の図書館の朝日新聞記事データベース「聞蔵Ⅱ ビジュアル」などで調べてみましょう。各企業の戦略が見えてくるはずです。
 
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