ニュースのポイント
就活にあたり「ブラック企業」を気にしている人も多いと思います。今年の新語・流行語大賞候補にもなりました。それほど関心を集めている問題です。厚生労働省は、ブラック企業かどうかを判断する材料の提供に取り組んでいます。情報を集めて、自分なりに判断しましょう。
今日取り上げるのは、経済面(7面)の「シューカツ就職活動/『ブラック企業』の物差し公表へ/厚労省が要請」です。
記事の内容は――厚労省は2014年度から、大学生や大学院生を採用する企業に、3年以内の「採用者数」「離職者数」の公表を求める。ブラック企業に関心が集まるなか、「離職率」を就職先選びの判断材料にできるようにする狙いだ。企業がハローワークに出す求人票に、学卒で直近3年に採った人数と、そのうちで辞めた人数を書く欄をつくる。書くかどうかは企業任せだが、「学生は数を書かない企業を敬遠するのでは」(若年者雇用対策室)という。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
各企業の採用ホームページには、自社に都合のいいデータしか載っていない場合が多いので注意が必要です。「ブラック」かどうかの一つの目安になるのが、新卒者の「3年後離職率」です。厚労省が始める求人票に記載がない場合は、「就職四季報」(東洋経済新報社)などに載っている平均勤続年数や、従業員数に対する毎年の採用実績数の比率をチェックしてみましょう。従業員数に比べて採用数があまりに多い企業は、大量採用・大量離職で新入社員を使いつぶしている可能性があります。
このほか厚労省は今年度から、「若者応援企業」の認定も始めました。①過去3年分の新卒者の採用実績や定着状況を開示②前年度の有給休暇や残業時間の実績を公表③事業主都合による解雇や退職勧奨をしていない④採用内定の取り消しをしていない――など七つの認定基準を同省が審査し、すべてを満たして認定された企業は、「若者応援企業」と宣言しPRできます。いわば「非ブラック企業」の認定で、10月末までに約4400社が宣言しました。ほとんどが中小企業で、企業名は以下の厚労省ホームページから全都道府県別に見ることができます。
中には離職率が高くても、ベンチャー精神にあふれ、独立して起業する社員が多い企業もあるので、情報を集めてケースバイケースで判断してください。自分で判断がつかない場合は、大学のキャリアセンターに相談に行きましょう。キャリアセンターは就活支援のプロであり、若者の就職状況についてはよく知っています。いろいろアドバイスしてくれるはずです。OB・OG訪問で社員から本音を聞いてみることも大切です。
このほど、法政大学教授・上西充子、NPO法人POSSE代表・今野晴貴、人材コンサルタント・常見陽平の3氏が「ブラック企業の見分け方」という冊子を作成しました。以下の「ブラック企業対策プロジェクト」のHPで無料公開されています。参考にしてください。
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