2013年11月27日

秘密保護法案で「考える力」養おう

テーマ:政治

ニュースのポイント

 特定秘密保護法案が衆院で可決され、参院に送られました。国民の「知る権利」を侵害するなど、多くの問題を抱えたままです。今後、参院での審議の間も日々報道されます。問題点を材料に、この法案への賛否を考えてください。「考える力」は就活でもとても大切です。

 今日取り上げるのは、1面トップの「秘密保護法案 衆院通過/自公が採決強行/みんな賛成、維新棄権/修正案 審議2時間のみ」です。
 記事の内容は――特定秘密保護法案の修正案が衆院本会議で、自民、公明両党とみんなの党の賛成多数で可決された。衆院特別委員会の地方公聴会で意見陳述者が全員反対の立場を取るなど反対意見も多い中、採決を強行して参院に送った。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 この法案については11月8日の「今日の朝刊」で、なぜ法案ができたのか、法案の内容、問題点などについて整理しました。今日はあらためて二つの材料から考えてみてください。

 一つは、諸外国の制度との比較です。2面に記事が出ています。米国では秘密情報は一定の時間がたつと自動的に格下げされ、25年で原則公開される仕組みです。国家安全上の理由で再び秘密指定する際は政府から独立した情報保全監察局が審査します。さらに、裁判官が記録に目を通して妥当性を判断するなど情報自由法に基づく行政・司法のチェックの仕組みも日本より厳しいといいます。日本の法案では、秘密指定の期間が「60年を超えることができない」と極めて長いうえに、その後も秘密のままにしておいたり、秘密のまま廃棄できたりします。しかも、秘密指定が妥当かどうか判断する第三者機関はなく、法案の付則に「検討」が盛られただけです。与党なのに法案の採決を棄権した自民党の村上誠一郎氏は「米国には第三者監視機関があるのに、日本はない。一番ひどいのは(秘密の指定期間が)最長60年。俺たちが生きている間に正しいかどうかも判断できない。問題がいっぱいある。政治家として法案に自信がもてない」と記者団に語りました。

 もう一つは、今日の社説でも取り上げた「ツワネ原則」と呼ばれる文書です。今年6月、南アフリカのツワネで、国連や70カ国以上の専門家500人が安全保障に関する情報と国民の権利の関係をまとめたものです。テロ対策などを理由に秘密保護法制を整える国が増える中、国が情報を制限する際の指針を示しました。
 国家は安全保障に関する情報の公開を制限できると認めたうえで、秘密指定には期限を明記する▽監視機関はすべての情報にアクセスする権利をもつ▽公務員でない者の罪は問わない――などの内容で、今回の法案はこの原則にことごとく反しています。

 就活ニュースペーパーの「人事のホンネ」のインタビューで、三井物産の中野真寿・人事総務部人材開発室長は「『考える力』を持っている人が必要。自分で考える努力をする、そのクセをつける必要がある。新聞を読むと知識は付きますが、それを読んで自分で考え、いろんな人と議論して自分の考えとどう違うのか、それで自分の軸を持つことが大事」と話しています(本日アップしました)。

 安倍首相をはじめ法案成立を推し進める側の意見も読みながら、考えてみましょう。朝日新聞デジタルの特集ページには、2000人以上が賛否を表明しコメントを寄せています。参考にしてください。

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