ニュースのポイント
パナソニックが2013年9月中間決算で過去最高の純利益を出し復調しています。ただ、まだリストラ効果に支えられた数字。本格的な成長軌道に乗れるかどうかは、赤字のテレビやスマホ事業を縮小し、自動車部品や住宅関連の企業向け事業にかじを切る「変身」の成否にかかっています。さまざまな関連業界にも影響を与える巨大企業の動向から目が離せません。
今日取り上げるのは、経済面(9面)の「パナ復調 地味路線/車載電池など企業向けに活路」です。
記事の内容は――開催中の東京モーターショーにパナソニックが6年ぶりに出展した。会場の片隅でリチウムイオン電池を展示する地味な内容だが、これこそ同社の「変身」の象徴だ。パソコンやデジカメ向けの技術を転用し、米ベンチャー企業テスラ・モーターズの電気自動車(EV)用に大量に受注した。9月中間決算は本業のもうけにあたる営業利益が前年同期比68%増の1465億円だったが、支えたのは給与カットなど約1200億円のリストラ効果。だからこそ電池にも注力する。津賀一宏社長は地味でも利益が出れば「黒衣でいい」と言う。安値競争に負けたデジタル家電を縮小し、自動車部品や住宅関連など「BtoB」と呼ばれる企業向けに力を注ぐのが新戦略。消費者を直接相手にする「BtoC」より安定しやすいこの2事業の売上高を、それぞれ今の2倍の2兆円にするのが目標だ。家電の売り方も一変し、テレビも冷蔵庫や洗濯機と同じ「白物家電」と位置づける。キーワードは「家電のインテリア化」だという。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
国内のグループ従業員数でみると、パナソニックは29万人で、トヨタ自動車、日立製作所に次ぐ3番目の規模。その動向は日本経済に大きなインパクトがあります。
近年のパナソニックの動向をみると――2001年にITバブル崩壊で大きな損失を出した後は順調に回復していましたが、08年のリーマンショックで打撃を受けます。同年に「松下電器産業」から社名変更、翌09年には三洋電機を子会社に。しかし、デジタル家電で韓国企業などとの価格競争に敗れ、11、12年と2年連続で巨額の赤字を記録しました。
そこで今年取り組んだのが、給与カット、工場集約などのリストラ、プラズマテレビからの撤退などデジタル家電の思い切った縮小、そして「BtoB」事業への転換です。この10年、家電の国内市場は年8兆円程度で頭打ち。一方で自動車分野は電動化、電子化が進み、電子部品の需要が急増しています。テスラのEVに使うリチウムイオン電池は車1台あたり7000本。ノートパソコン1000台分です。いま車1台数万円の電子部品の利用が次世代車では10倍以上になるとも言われています。しかも、自動車や住宅関連の「BtoB」事業は、量販店が価格決定権をもつ家電事業と異なり値崩れしにくい特徴があります。
グローバル化、デジタル化が進み、電機業界はダイナミックに動いています。こうした記事から最新の動きを把握しておかないと、面接で「プラズマテレビのパナソニック」などと時代遅れのことを言ってしまいますよ。
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