ニュースのポイント
有名ホテルや大手百貨店で、メニューと異なる食材を使う「偽装表示」の広がりが明らかになりました。「食」の話題だけに世間の関心が高い問題です。外食を扱う企業を目指す人に限らず、就活に取り組むみなさんは、「とんでもない」などという消費者目線だけではいけません。こうした消費者に不利益をもたらす問題はどの業界でも起こりうることです。新聞記事から背景、業界の体質などを知り、企業の対応にも注目しましょう。
今日取り上げるのは、1面の「食の偽装 際限なし/高島屋・東急ホテルズでも発覚」、2面の「利益優先 偽装メニュー/業界の慣習 消費者とずれ/『高級志向につけ込む』/背景にあいまいな基準」です。
記事の内容は――食品の偽装表示問題は、高島屋でも明らかになったほか、全国の有名ホテルなど外食産業全体に広がっています。風通しが悪い業界の構造を指摘する声がある一方、背景には外食のメニュー表示に明確な規制がないことがある。食材の表示は「JAS法(日本農林規格法)」で規制されるが、飲食店の食事は対象外。JAS法など食品表示に関する三つの法律は2015年に施行される「食品表示法」にまとめられるが、同法でも外食は対象に含まれない。原産地や品質を誤解させるような表示をすると「不正競争防止法」違反にあたるが、経済産業省によると飲食店のメニューに適応された例はほとんどない。そのため、今回のような偽装があった場合には「景品表示法」が適用されることが多い。実際より著しく良いものだと装って間違った認識を与える「優良誤認」に当たるかが問われる。ただ、「鮮魚」など定義があいまいな表示もあるため、直ちに優良誤認とはいえない。