2013年10月23日

電子部品メーカー、スマホで追い風

テーマ:経済

ニュースのポイント

 日本の電子部品メーカーに追い風が吹いています。スマートフォン(スマホ)の世界的な普及で、小型で高機能の部品の需要が増えているためです。米アップル、韓国サムスン電子に続き、世界市場で台頭する中国のスマホメーカーからの引き合いが急増しています。普段は表に出ない黒衣(くろご、くろこ)役ですが、世界の先端機器を高い技術力で支えている電子部品メーカーに注目してみましょう。

 今日取り上げるのは、経済面(10面)の「電子部品 日本に熱視線/中国 スマホ用調達拡大/台湾 低価格品売り込み」です。
 記事の内容は――中国の通信機器大手・華為(ファーウェイ)が日本の電子部品メーカーとの取引拡大に期待を寄せている。華為は新興国などでシェアを伸ばし、世界のスマホ市場でもサムスン、アップルに次ぐ3位の座をソニーや韓国LG電子などと争う。その最新モデルは部品の約50%が日本の電子部品メーカーからの調達だ。スマホ生産ではアップルのiPhoneなどにおされ日本メーカーの苦境が目立つが、高機能なスマホに日本の部品メーカーの最先端技術は欠かせない。カメラのピントを動かす部品をつくるアルプス電気は「中国メーカーの引き合いがこの1年で急増した」、電気を一時蓄える積層セラミックコンデンサーなどを世界のスマホメーカーに納める村田製作所も「スマホ部品の受注拡大は、業績押し上げ効果が大きい」と話す。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

 電子部品メーカーは、ラジオ、テレビ、パソコン、携帯電話など日本が得意としてきた電化製品を陰で支えてきました。世界のスマホ市場で日本の大手電機メーカーは苦戦していますが、中身は日本製の部品がなければ作れません。iPhoneにはパナソニック、ソニー、東芝、シャープといった大手電機メーカーに加え、部品メーカーのものが多数使われ、半分以上が日本製と言われています。

 「電子部品大手」と言われる会社は7社あります。最大手の京セラ(本社・京都市)や村田製作所(京都府長岡京市)は、セラミックスを使った製品から事業を始めました。セラミックスは焼き物の歴史に連なるもので京都に有力企業が生まれたのも偶然ではありません。TDK(東京都)は日本で発明された磁性素材「フェライト」を事業化するために設立された会社です。ローム(京都市)は抵抗器から半導体に、日東電工(大阪市)は絶縁材料から工業用テープ、工学フィルムへと領域を広げてきました。日本電産(京都市)はモーター技術を軸に積極的な企業買収で規模を拡大中です。ラジオ用スイッチから始めたアルプス電気(東京都)は電子機器や自動車のスイッチが強みです。

 以下は、大手7社の2013年3月期決算の売上高と営業利益(▼は赤字)、カッコ内は主な製品です。
・京セラ:1兆2800億円/769億円(セラミックパッケージ、携帯電話、太陽電池)
・TDK:8515億円/216億円(コイル、ハードディスク駆動装置用磁気ヘッド)
・日本電産:7092億円/176億円(精密小型モーター、一般モーター、カメラ用シャッター)
・日東電工:6756億円/686億円(光学フィルム、工業用テープ、水処理膜)
・村田製作所:6810億円/586億円(積層セラミックコンデンサー、無線通信部品)
・アルプス電気:5464億円/68億円(スイッチ、タッチパネル)
・ローム:2924億円/▼9億円(大規模集積回路、トランジスタ、ダイオード、抵抗器)
                                                                   
 パソコン向けの半導体部品の割合が多いロームを除き、前の年より売上高が伸びました。ハイテク化が進む自動車向けの部品も好調で、今年度に入ってさらに売り上げを伸ばしていると言われています。興味のある人は、各企業のホームページなどで、得意分野などをさらに調べてみてください。

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