ニュースのポイント
もうすぐ就活本番ですが、まだ志望業界も企業も絞れず、何から始めればいいかわからない人はいませんか? そんな人は、まず「自分の軸」を探してください。就活で希望の企業から内定を得た先輩の多くは、しっかりと自分の軸を持っていました。でも、自分の軸って何でしょう。「仕事を選ぶにあたって、絶対に譲れないこと」です。
今日取り上げるのは、19~22面の進学特集「大学・短大をめざすあなたへ」のうち、21面の「就職活動 進め方は?/留学+笑顔=航空界/落ちた面接をバネに」です。
記事の内容は――来春に卒業を控えた首都圏の学生4人の座談会。就活の進め方は?
◆法学部4年の長谷川さん(女性):早く慣れようと、1~2月はベンチャー企業などと受けたが、考えが練られておらず約20社落ちた。コンサルタント業を志望するようになり、3社から内定をもらった。
◆経営学部4年の鈴木さん(女性):自己分析をする中で、留学などの経験を生かしてグローバルな環境で働くことと、自分が好きな仕事を通じて周りの人を笑顔にすることを自分の中に掲げた。航空会社を志望し、大手から内定をもらった。企業研究のために、業界についての新聞記事を1年分読んだ。
◆大学院総合化学研究科2年の庭山さん(女性):友達が早々と内定を決める中で不安になり、職種に関係なくいろいろな企業を受けたが、面接で志望動機が言えず落ちた。面接のやりとりを全部パソコンに書き出して反省。研究で関わったレーザー機器大手の研究職に内定。
◆美大工芸工業デザイン学科4年の日野さん(男性):小さい頃から大好きなバイクメーカー3社だけを受け、大手二輪車メーカーに決めた。自動車メーカーが開くインターンシップや学生向けワークショップに参加して乗り物をデザインする作業を体験。実際の選考に生かせた。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
12月1日の就活スタートで、多くの企業が会社説明会を開き、合同企業説明会も一斉に始まります。多くの先輩が「先入観を持たずに、できるだけたくさんの会社の説明を聞いた方がいい」とアドバイスすると思います。たしかに、多くの会社の説明を聞いて可能性を広げるのは大切なことです。でも、各企業は一生懸命自社の魅力を語ります。何の基準、軸も持たずに手当たり次第に説明を聞いていくと、「この会社もいいなあ」「あの会社も魅力的だなあ」と、業種も職種も際限なく広がりかねません。記事の座談会に出てくる庭山さんが当初陥ったパターンです。
目標が明確な人は別ですが、そうでない人はぜひ鈴木さんの業界選びを参考にしてください。鈴木さんは「留学経験を生かしてグローバルな環境で働きたい」「好きな仕事を通じて周りの人を笑顔に」という二つの軸を見つけ、航空会社に狙いを定めました。これだけで受かるわけではありませんが、さらに新聞の業界関連記事を読み込むなどしっかりした企業研究をすることで内定を勝ち取りました。みなさんも自己分析を通じて、仕事をする際に「これだけは譲れない」という「自分の軸」を見つけてください。「人が好きだからたくさんの人に会える仕事」「旅に関わりたい」「文章が好き」「クリエーティブな仕事」「英語力を生かしたい」「とにかく海外」「地元で働きたい」「子どもが好き」「常に新しいことを追い求めたい」……などなど、十人十色でしょう。自分の軸さえ持っていれば、考えていなかった業界、知らなかった企業の説明を聞いたときに、戸惑うことなく可能性を広げることができます。「教えて!編集長」にある「教えて!先輩」コーナーにも、先輩内定者の業界選びの体験談を載せています。ご一読ください。
また、今日の進学特集の22面「地域で活動し成長」では、キャンパスを飛び出して街に出て学ぶ「アクティブ・ラーニング」に取り組む大学を紹介しています。「大学で学んだこと、面接で語れますか」(8月22日の「今日の朝刊」)でも書きましたが、自ら企画立案して現場で実践するこうした経験は、エントリーシートや面接でのアピールポイントになります。体験した学生も「授業を通じて自分に自信が持てるようになった。就職活動でもアピールできる経験も得られた」と語っています。
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