2013年09月27日

伊藤忠が深夜残業禁止 働き方を考えよう

テーマ:経済

ニュースのポイント

 伊藤忠商事が10月から夜10時以降の深夜残業を禁止します。何時から何時まで働くのか。労働時間も、企業選びや仕事選びの大事なポイントの一つです。

 今日取り上げるのは、経済面(9面)の「残業禁止 朝勤のススメ/伊藤忠商事、来月からスタート/報奨金で後押し/禁止掲げる企業は少数」です。
 記事の内容は――伊藤忠商事の深夜残業禁止の対象は、海外駐在員を除く約2600人。夜8時以降の残業は事前申請が必要な「原則禁止」、10時以降は電気を消して「禁止」にする。代わりに始業前の朝5~9時に働く社員には給料を25%割り増しする時間外手当に加え、25%割り増しの「インセンティブ」(報奨金)を払う。人事・総務部は「深夜残業には疲れに加え、時間の区切りがなくて非効率になりがち。家庭との両立をめざす女性社員も支えられる」と期待する。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 残業禁止を掲げる企業として、記事では伊藤忠のほかに、女性下着メーカーのトリンプ、衣料品販売のしまむら、「無印良品」の良品計画、衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイを紹介しています。多くの会社の労働時間は、午前9時~午後5時や午前10時~午後6時の8時間(休憩1時間を含む)ですが、スタートトゥデイは午前9時~午後3時までの6時間。放課後の部活動に参加していない中高生と同じ時間に帰れるわけですから、充実したプライベートライフを過ごせそうです。午前8時~午後4時36分にした千代田化工建設のケースは、「一色清の世の中ウオッチ」の第5回「残業減らそうと電気が消える会社」で取り上げています。

 休日が年に140日あり「日本一休みが多い企業」とも呼ばれる岐阜県の電気設備資材メーカー、未来工業も残業禁止です。勤務は午前8時半~午後4時45分。創業者の山田昭男相談役は「平均的なサラリーマンの場合、午前7時に家を出て午後7時に帰宅する。睡眠は8時間とすれば、残りは4時間しかない。1日のうち、せめてこの4時間くらいは『自分のため』に使うべきだ。この4時間まで残業で会社のために使ってしまえば、その人の生活は『食って、働いて、寝る』だけになってしまう。これでは、豚や牛と大差ない。働く意欲が出てくるはずもない。残業は間違っている。やってはならないのだ」と語っています。

 24時間稼働で残業や時間外勤務が多い新聞社に勤める身には、耳の痛いご意見です。一方で、「人事のホンネ」に登場していただいたテレビ朝日人事部の高野安隆さんは「ドラマの撮影が始まると睡眠時間を削って毎日撮影に臨む日々。私も撮影中、週に1回しか家に帰れないことがありました。ただドラマ撮影はワンクール、3カ月で一段落します。この期間中、大変だけどドラマのことだけを考えて日々仕事をする。好きなことを仕事にして昼夜邁進する。こんな楽しい仕事はない。幸せなことだと思います。ですから『僕は必ず毎週休みがほしい』とか『土日休みじゃなきゃ』という人は向いていないと思います」と率直に話してくれました。

 仕事と私生活のワーク・ライフ・バランスをどう考え、どこに重きを置くか。企業選び、仕事選びの過程で一人ひとりが考えるしかありません。ただ勤務時間の実態は、表に出ている資料からはわからない場合が多いので、OB・OG訪問などで社員に尋ねてみるといいですよ。

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