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2023年は就職活動の「早期化」が加速した1年でした。すでに内定をとった大学3年生の数も増えています。ただ、現在の3年生が就職活動の「解禁」を迎えるのは2024年の3月。就活のスタートが早まっても、終わりが早くなったというわけにはいかないようで、早期化=「長期化」となっているのがいまの就活です。学生優位の売り手市場とはいえ、就活にかなり労力、時間を割かなければいけないようになっているのです。SNSには就活情報があふれ、その選択も大変になっています。
やることが多く感じてうんざりしたり、周りの学生が内定を取っているのをみて焦ったり…… そうなってしまうのも無理はありません。でも、就職活動で「焦り」は禁物です。これから場合によっては十何年も働くことになる企業を選ぶのですから、自分で納得して進むことがなによりも就活では大切です。どうすれば「納得」のいく就活をすすめられるのか。今年最後の就活ニュースペーパーで考えてみたいと思います。(編集部・福井洋平)
(写真=PIXTA)
やることが多く感じてうんざりしたり、周りの学生が内定を取っているのをみて焦ったり…… そうなってしまうのも無理はありません。でも、就職活動で「焦り」は禁物です。これから場合によっては十何年も働くことになる企業を選ぶのですから、自分で納得して進むことがなによりも就活では大切です。どうすれば「納得」のいく就活をすすめられるのか。今年最後の就活ニュースペーパーで考えてみたいと思います。(編集部・福井洋平)
(写真=PIXTA)
早期化と長期化が同時に進んでいる
まずは「早期化」について確認しておきましょう。就職・転職情報会社の学情が12月に公表した2025年卒(大学3年、大学院1年)の内々定率は11.8%。就活早期化を受けて始めた12月度の調査はまだ4年目ですが、内々定率が2ケタになったのは初めてのことで、学情は「超早期化」と表現しています。原因はインターンシップの定着です。2025年卒採用からインターンシップを一定の条件下で採用に直結することがOKとなり、インターンの重要性がさらに増しました。「夏のインターンシップやオープン・カンパニー(=短時間の企業説明会イベント)参加者を選考に呼び、9~11 月の最終面接を経て内々定という早期選考フローが定着したようだ」と学情は分析しています。そのため、就活は大学3年夏のインターンシップ選考が実質スタートとなっているのです。
自分が会社を選ぶ基準をはっきりさせる
早期にスタートしても早期に就活が終わるならまだよいですが、就活は「長期化」もすすんでいます。ある都内私立大学のキャリア支援担当者は、「早期に内々定をとった学生も結局悩んでいる」と語ります。採用に結びつくインターンは5日以上行うことが条件で、たくさん受けるのは大変です。インターンに参加して内々定をゲットしても、もしかしたらほかにいい会社があるのではないか、他の会社もチェックしたほうがいいのではないかと悩み、就活を継続することになるというのです。いまも就活の正式解禁は4年生の3月で、そこにあわせて採用を始める会社も少なくありませんから、結局は就活が長く続くことになるわけです。エントリーシート(ES)もたくさん書かないといけない、場合によっては自己PR動画を撮影することも、面接対策も必要、SPI対策も手を抜けないし――やることが多くてうんざりしてしまうのも無理はありません。うんざりしたときには、原点に戻るといいかもしれません。
就活は、自分がこれから場合によっては何十年働くことになる会社を選ぶイベントです。会社が自分を選ぶのではなく、自分が会社を選ぶのです。ESとか面談とか会社のペースで就活は進むため、ついこのことを忘れがちですが、主体はあくまで「自分」なんです。早期化しているからと焦ったり、就活が長くてうんざりしたりして適当に会社を選んでも、「自分」にマッチしない会社なら結局意味はありません。一見よさそうな会社に入ったとしても働き方がブラックだったり、コロナのような大激変に巻き込まれて売り上げが一気に落ちたり、永遠にいい会社でありつづけるかどうかはわからないのです。
だから大切なことは、自分が会社を選ぶ理由、基準をはっきりさせることです。そのために大切なことが「自己分析」です。
自分はどういうときに一番力を出せるのかを考える
就活に関しては「自己分析」が大切とよく言われます。自己分析のためのツールやノウハウ本もたくさん出ていますね。ただ、なんとなく必要そうだからといって自己分析をやっても、「いったい自分ってなんなんだ?」と悩みが深くなってしまうだけかもしれません。私小説を書くわけではないので、過度な深入りはおすすめしません。就活時の自己分析で一番考えてほしいのは、「自分がどういう環境、シチュエーションなら一番力を発揮できるか」についてです。せっかく会社に入っていろいろな仕事をやるわけですから、嫌々やるよりも自分の力が発揮できる環境でやりたいですよね。だから、そういう環境に近い企業を探すわけです。ここをあいまいにしていると、何の基準で会社を選べばいいかわからなくなりますし、就活全体に徒労感が出てきます。
自己分析では過去の自分を振り返ろう、自分史をつくろうとよく言います。面接でしゃべるエピソードを探す目的もありますが、一番の目的は過去自分がどういうときに一番力を出せたかを思い出すためだと私は思います。それもできる限りウソのないよう率直に思い出すことが大切です。
たくさんの会社と接することで基準はブラッシュアップされる
たとえば同僚がたくさんいて賑やかなアルバイト先が一番楽しかったのなら、そういった職場環境で働けることを優先課題としてみる。オンラインのゲームでスコアを伸ばすことが何よりも楽しかったのなら、一人で作業に打ち込める仕事が多い業種を探してみる。自分のなかで仕事や会社を選ぶ基準をしっかり持つことで、就活そのものを前向きにとらえられるようになるのです。「好き」だけではなく「これはやりたくないなー」と思ったことやエピソードから逆に自分にとってのベストな環境を考えるアプローチもあります。そういった観点から、自分の行動をぜひ思い返してみてください。この基準は、会社を実際に訪問したり社員に会って話を聞いたりすることでどんどん変わっていくでしょう。たくさん会社と接点をもつことで、自分のなかでより納得できる基準ができあがり、ブラッシュアップされていきます。基準がしっかりしていれば就活での悩みも減りますし、何より会社や業種全体に逆風が吹いたり仕事がつらかったりするときに、「あと少しがんばろう」という勇気を持つことができます。
冬インターン などで忙しい日々を送っている方もいれば、就活にはまだなにも手をつけていないという方もいると思います。学校の試験も近づいてきています。不安が高まってきたら、これまで自分がやってきた経験をひとつひとつ思い返してみてください。それが最終的には、よりよい社会人人生につながると確信しています。「就活ニュースペーパー」では、昨日からより具体的な自己分析の方法についても適宜発信をスタートしました。ぜひ、そちらもご覧ください。
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