2022年11月25日

WEBテスト替え玉事件 冬休み中に必ず適性検査対策を【イチ押しニュース】

テーマ:就活

 採用試験でいまや必須となっている適性検査のWEBテストをめぐる事件が起きました。女子大学生(22)の依頼を受けて替え玉受検をした疑いで京大大学院卒の会社員の男(28)が逮捕され、学生も共犯容疑で書類送検されました。以前から「替え玉受検」など不正が横行し受検の代行業者もあるといわれてきましたが、代行行為が摘発されるのは全国で初めて。容疑者はグループでの活動後に独立し、これまでに「4000件くらいのテストを代行した」と供述しています。コロナ禍でテストセンターでの受検ができなくなり自宅でのWEBテストが主流になって以降、より広まったとみられます。採用担当者インタビュー「人事のホンネ」でWEBテストの不正対策について質問すると、「面接すれば実力はわかりますから」という企業が大半でしたが、今後はテストセンター受検を必須にしたり、不正監視対策を強化したりする企業が増えるでしょう。年が明けて選考本番が始まれば、説明会やエントリーシート、面接に追われて適性検査対策に時間を割く余裕はありません。性格検査は無理に良く見せようとすると逆効果ですが、学力を問う能力検査は、「正解」がない採用試験において、やれば必ず成果が出る数少ない分野です。大学生のみなさんなら、必ず一定レベルの得点は得られます。まだの人は、冬休みまでに対策を済ませておくようにしてください。(編集長・木之本敬介)

(写真は、摘発された男が使っていたツイッターアカウントの画面)

容疑の男「やりがい感じた」 学生は「今後は自分で」

 警視庁サイバー犯罪対策課によると、私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで逮捕されたのは関西電力の男性社員。今年4月、東京都内のクレジットカード会社に就職活動していた女子学生の依頼を受け、学生が受け取ったIDとパスワードを使ってなりすまし、代わりにWEBテストを受検した疑いです。2人とも容疑を認めています。男はツイッター上で京大院卒という学歴をアピールして依頼者を募集。この学生から23社分のWEBテストの代行を計約10万円で依頼されていたといいます。中には不正対策のために受検中の様子をカメラで映すものもありましたが、テストが表示されたパソコン画面と容疑者のパソコンとを遠隔でリンクさせワイヤレスイヤホンで容疑者から口頭で解答を聞いていたそうです。女子学生は調べに「自分で受検したがWEBテストを突破できず不採用ばかりだった。そんな時にツイッターで代行を見つけた」と経緯を説明。「私の軽はずみな行為で企業に迷惑と無駄な労力をかけさせてしまった。今後は自分の力で頑張る」と供述したといいます。

 捜査関係者によると、男は約4年前に友人に誘われて受検の代行を請け負うグループのメンバーとして活動を始め、その後独立して1科目2000円程度で受検を代行していました。ツイッター上では自身の学歴をアピールし、「通過率95%以上」などと実績をうたっていました。警視庁は、男が今年7月に家宅捜索を受けるまでの約半年間で、約300人から計約1000社分のテストを代行し、報酬として計約400万円を得たとみています。男は「学生から感謝されたり就活の相談を受けたりしてお金をもらえることに非常にやりがいを感じていた」と話しています。

本人確認や不正対策強化

 知っての通り、適性検査にはSPI、CAB、玉手箱などがあり、主に能力検査と性格検査で構成されます。本試験の前に志望者を絞り込むほか、面接の補助資料としても用いられます。コロナ禍で対面の面接がやりづらくなって以降、適性検査をより重視する企業が増え、9割以上の企業が導入しているといわれます。以前から友人に受けてもらう、一緒に解くといったケースは聞きましたが、WEBテストが当たり前になりビジネスとして行う業者が増えたようで、SNSで「WEBテスト代行」と検索すると受検代行をうたうアカウントが数多く存在します。朝日新聞の取材に応じた関東地方の大学に通う女性(21)は、エントリーした2社からWEBテストの受検を求められ、ツイッターで見つけた業者に代行を依頼したといいます。もともと教員志望で「WEBテストのために勉強する時間はなかった」と話しました。

 一方、WEBテストの運営側も対策を急いでおり、SPIを提供するリクルートマネジメントソリューションズは、自宅受検の場合は受検前に監督職員と映像をつなぎ、顔写真付き身分証を手に持たせて本人確認をするほか、受検する部屋に他の人物がいないか確認するといった対策を講じています。AI(人工知能)による監視を導入している業者もあります。大学側も問題視し、東大生や京大生を名乗る代行業者がいることについて、両大学は昨夏、ホームページ上で「不正行為」「社会通念上、到底認めがたい」などとし、関わらないよう注意を呼びかけました。

(写真は、WEBテストの代行は「不正な行為」だとして注意を呼びかけた京都大のホームページ)

慣れとスピードが必須

 能力を偽って入社しても、きっとミスマッチが起きます。今回の事件でもう不正を考える人はいなくなると思いますが、だからといって何も対策をしないでテストに臨むのはお勧めしません。大学入試のような難問は出ませんが、問題数に対し制限時間が短く、慣れとスピードが必須です。自信のある人以外は今のうちに対策本を1冊はこなし、弱点分野対策もしておきましょう。人気企業は成績順でばっさりふるいにかけたり、特定の分野が極端に悪い学生を落としたりします。とくに私立文系で数学が苦手な学生は非言語分野に要注意です。まだ間に合います。適性検査で落ちたらもったいないですよ。

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