2022年06月24日

NTTが「勤務場所は自宅」に大転換 働く場所で企業を選ぼう【イチ押しニュース】

テーマ:経済

 NTTが「勤務場所は社員の自宅」とすると発表し、話題になっています。出社は「出張」扱いになり、飛行機での出社もOKです。これまでずっと働く場所といえばオフィスでしたが、これを基本的に自宅にするという大転換です。地方出身で東京で単身赴任をしている社員は、地元で働きながら家族と一緒に生活できるようになり、転勤や単身赴任の解消にもつながりそうです。居住地を自由に選べる制度は、ヤフーメルカリミクシィなどIT企業ですでに広がっていて、リゾート地に住みながら東京と同じように仕事をしている社員もいます。国内グループ従業員18万人の巨大企業NTTが同様の制度を導入することで、他の大企業にも波及する可能性があります。ワーク・ライフ・バランス(WLB)がますます重視されるようになり、業界や企業によってはどこでも働ける時代がやってきました。みなさんの企業選びでは、仕事内容だけでなく働き方も大切なポイントだと思います。時代を先取りする企業の動きを参考にしてください。(編集長・木之本敬介)

(写真は、NTT本社の看板=東京・大手町)

飛行機での出社もOK

 NTTが6月24日に発表したニュースリリースには、「NTTグループは、『住む場所』の自由度を高め、ワークインライフ(健康経営)をより一層推進していく観点から、リモートワーク(テレワーク)を基本とする新たな働き方を可能とする制度を導入します」とあります。新制度では、住む場所について「会社への通勤時間が2時間以内」という制限をなくし、国内ならどこでも自由に選べるようになります。出社が必要な場合の交通費は、基本的には上限を設けず、飛行機での出社を認めるほか、必要に応じて宿泊費も会社側が負担します。すでにテレワークが進んでいる部署で働くグループ会社の約3万人を対象に7月1日から始め、対象者を広げていく方針です。NTTドコモNTTデータなど主要子会社も含め、テレワークが原則となる職場を部署ごとに決めます。

 NTTは2021年秋、転勤や単身赴任を段階的に減らす方針を打ち出しました。コロナ禍を受け、テレワークを基本とし、働く場所を自ら選べるようにしたもので、持ち株会社であるNTTのテレワーク実施率は2022年4月時点で7割に上りました。制度上の勤務場所は会社のままでしたが、今回は一歩進めて、コロナの状況にかかわらず原則自宅とすることで、社員の意識改革を促すほか、競争が激しくなっている優秀なIT人材の確保にもつなげる狙いがあります。

(写真は、コロナ禍で従業員の7割近くがテレワークとなって空席が目立つNTTコミュニケーションズ本社=2020年3月、東京・大手町)

小笠原に移住したメルカリ社員

 働く場所をすでに自由にしているヤフーでは、今年1月時点で従業員約8000人のうち約9割が自宅などで仕事をしています。4月からは居住地や通勤手段の制限を撤廃し、離島やリゾート地でもOKになりました。

 メルカリも国内ならどこに住んでもよく、月15万円まで交通費を支給します。2021年9月に制度を導入してから約3カ月間で東京本社の約80人が引っ越すなどしたそうです。小笠原諸島(東京都)の父島に今年3月に移住した大山奈津美さんは島への移住が夢だったそうで、勤務の合間に島内を散歩したり、夕日を見に行ったりできるといいます。東京の本社には週1便ほどの定期船で24時間以上かかりますが、出社しなければいけない仕事は半年に1回ほど。大山さんは朝日新聞の記事で「気持ちの切り替えができるようになり、メリハリのついた働き方ができるようになった」と話しています。

 ミクシィも今年4月から居住地の制限を緩めました。「出社が必要な日に正午までに通勤できる」という条件を満たせば全国どこでも住めます。飛行機や新幹線でも通勤でき、5月からは月15万円まで交通費を出します。出社回数は部署ごとに決める仕組みで、全部署のうち約4割がフルリモートを選んでいます。

(写真は、父島に移住したメルカリの大山奈津美さん。海が見渡せる場所で仕事をする日もあるという=本人提供)

20代「転勤のない企業」希望が8割

 背景には、コロナ禍を経て、20代の転勤に対する意識の変化もあります。学情の20代向け転職サイトRe就活が5月に行ったアンケートによると、「転勤のない企業」を希望する人が「どちらかと言えば」を含め、8割近くにのぼりました。「環境を変えたくない」「実家の近くに住みたい」「家族や友だちといつでも会える環境で生活したい」といった理由です(グラフ)。

 「コロナ禍で『転勤』への意識が変化したか」との質問では、「転勤を希望しなくなった」との回答が「どちらかと言えば」を含めて7割を占めました。「都道府県をまたぐ移動が制限されると、規制しにくい」「家族の近くに住みたいと思うようになった」「リモートでできることが増えたので、わざわざ転勤する必要性を感じにくくなった」との声があるなど、コロナをきっかけにした意識の変化がうかがえます。

「若いうちは様々な土地で働きたい」人も

 一方で、コロナ感染が落ち着いてきたことから、コロナ前のように社員の出社を促す会社もあります。、ホンダはコロナ禍でテレワークを中心としてきましたが、5月からオフィスへの出社を原則とする働き方に切り替えました。育児や介護などの必要に応じてテレワークも活用しつつ、社員同士が対面でコミュニケーションをとることで議論を活発にするなど、業務の活性化につなげるねらいです。

 もちろん、テレワークが難しい業種・職種もあります。パーソル総合研究所の今年2月の調査によると、テレワークの実施率はIT関連や企画職、コンサルタントなどの職種で5割を超えた一方、建築や製造作業員、介護職員や幼稚園教諭・保育士などでは5%を下回りました。小売業も対面が原則ですね。

 コロナ禍でこの数年、入社式もリモートで行う会社が多くあり、「せっかく入社したのに同期にも会えない」との嘆きが聞かれました。コロナ後には出社したいという社員も多くいます。Re就活のアンケートでは、「どちらかと言えば」を含めて「転勤のある企業」を希望するとの解答は5.1%でしたが、この中には「海外赴任を希望している」「若いうちは、様々な土地で仕事をしてみたい」といった声もありました。「転勤があっても許容するようになった」との回答も3割。「オンラインでできることが増えたので、住む場所へのこだわりは低くなった」「必ずしも首都圏に住んでいなくても良いと思うようになった」といった意見があり、どこでも同じ仕事ができるとの意識も広がっているようです。オフィスで働くか、自宅がいいか……どこで働くかの選択肢が増えたとも言えます。業種・職種、会社によって考え方も方針も違います。しっかり企業研究して自分に合った働き方を選択してください。

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