(写真は、OB訪問でのセクハラ被害を語った就活生〈画像を加工しています〉=東京都内)
(写真は、OB訪問でのセクハラ被害を語った就活生〈画像を加工しています〉=東京都内)
相次ぐセクハラ事件
就活セクハラは今に始まったことではありません。事件や裁判になった例を挙げます。
・大手銀行の社員が、リクルーターを装って女子学生3人にわいせつな行為や性的暴行を加えたとして逮捕(2007年)
・大手通信社の人事部長が、就活中の女子学生に不適切な行為をしたとして逮捕(2013年)
・大手部品メーカーの選考を受けていた女子学生が同社の幹部に不適切な関係を迫られたとして慰謝料の支払いを求めて提訴(その後、和解)(2016年)
(写真は、就活解禁日の合同企業説明会=3月1日、大阪市)
半数が被害にあったとのアンケートも
金融志望の女子学生は昨年5月ごろ、部活動の関係でつながった大手銀行の男性社員をOB訪問。大学近くの居酒屋で会ったが、仕事の話の後、「彼氏はいるの?」と聞かれたり、頭をなでられたり、やたらとお酒をすすめられたり。午後9時半ごろに店を出て「帰宅する」と伝えると、「君の就活がかかっている」「俺は人事とかかわりがある」と言われ、やむなく2次会へ。飲食店と思ってエレベーターを降りるとカラオケ店。やばいと感じ、スマホを録音状態にして入室。男性に無理やりキスをされたが、拒否し続けてようやく男性はあきらめて帰宅に応じた。女子学生は「人事権なんてないのはわかっていたけど、就活を始めたばかりで、どうしても一抹の不安が消えなくて」と語った。
ニュースサイト「ビジネスインサイダージャパン」が行った緊急アンケートでは、約300人のうち就活中にセクハラにあったとの回答が約5割、そのうち約7割が誰にも相談できずにいるとの答えでした。被害の4割がOB訪問中でした(2月15日の記事から)。
(写真は、就活解禁日の合同企業説明会=3月1日、千葉市)
OB・OG訪問のメリットは
「OB・OG訪問はたくさんさせていただき、約20人にお会いしました! 就活おいて一番やっておいて良かったなと思うことでもあります。出版社の方はそもそも人数が少ない上にみなさんとても多忙なので、基本的に友人や先輩など知り合いのつてをたどってお願いした場合が多かったです。またOB・OG訪問アプリのMatcherもかなり利用していました」(大手出版社に内定した女性の「就活体験レポート」)
「OB訪問はめちゃくちゃしました。人数は計56人にのぼります。就活でもっとも大切なことだと思います。最初は『OBに話を聞くなんて怖い』『評価に関わる』と漠然とした不安がありました。でもOBの人はとんでもなく優しく、自分が社会のどの位置にいるのかを知る上でかなり役立ちました』(放送局に内定した男性の「就活体験レポート」)
(イラストは、2018年3月19日の朝日新聞から)
マッチングサービスもうまく活用すれば…
「OB・OG訪問は、紹介とVisits OBというマッチングアプリを活用しました。大学の名簿から依頼した訪問は時期が遅かったためか、返事がありませんでした。自分から探さずとも、今どきは座談会や交流会があちこちで開催されています。そういう機会も活用すると良いかもしれません。マッチングアプリでは、深夜まで(メールなどで)丁寧に質問に答えてくださる社員さんや、実際に会ってくださる方がいて、非常にお世話になりました」(シンクタンクに内定した女性の「就活体験レポート」)
(写真は、就活解禁日の合同企業説明会=3月1日、福岡市)
防衛策と対処法
OB・OG訪問のメリットはわかったと思います。では、被害を未然に防ぐには、あるいは被害にあいそうになったときにはどうすればいいのでしょうか。女子学生は女性社員にだけ会うようにすれば安心ですが、男性社員にしか会えない会社も多いでしょう。主に女子学生が男性社員に会ってもらうケースで考えます。
◇時間・場所は、できれば日中、社内や喫茶店、ファミレスなど人の多い場所にしてもらう
◇もし夜しか都合がつかない場合も酒席は避ける。居酒屋やバーを指定されたら、「お酒が飲めない」「その後に大事な用事がある」などと伝え、場所や日時の変更をお願いする。相手が酒席にこだわるようなら他の社員を探す。
◇自分や相手の自宅はもちろん、自分が宿泊しているホテル、カラオケボックスなどの個室は絶対に避ける(断る)
◇住所などの個人情報、恋愛関係などプライベートなことは聞かれても言わない
◇リスクを感じたら、事後の対処に備えてスマホで録音して証拠を残す(「お話を今後に生かしたいので」と言って最初から録音させてもらえば、役に立つうえ予防策にも)
◇複数回会ううちにリスクを感じたら、「多忙」などを理由に連絡を絶つ
◇大学のキャリアセンター、行政のハラスメント相談窓口などに相談する
何らかの被害にあった、あるいは被害にあいそうになった場合でも、できればその企業の人事部に連絡・通報するようにしましょう。「#Me Too」運動でも言われましたが、泣き寝入りが新たな被害者を生みかねません。まともに対応してくれなかったら、そんな会社には行かないほうがいいと思います。もし入社したとしても、入社後に苦労しかねません。問題のOBを拒否したがために選考で落とされた場合も、あなたが行く価値のない会社です。スッキリ切り替えて、次の会社を目指しましょう。
◆人気企業に勤める女性社員のインタビューなど、「なりたい自分」になるための情報満載。私らしさを探す女子就活サイト「Will活」はこちらから。
※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから。
2022/05/28 更新
- 島耕作さん74歳、いつまで現役続けますか? 弘兼憲史さんに尋ねた(17:00)
- 住宅ローン、固定金利を選ぶ人が増えているわけ 専門家のおすすめは(15:00)
- 「2台目も売れ」高齢の客みて無線で指示 スマホ「無理販」の実態(14:00)
- バラのトゲに老化抑える効果 発見につながった一言「若いうちに…」(12:19)
- コロナ禍3年、花火大会どうなる? 分かれる判断、大曲・長岡は復活(10:15)
※就活割に申し込むと、月額2000円(通常3800円)で朝日新聞デジタルが読めます。