2019年03月29日

初の100兆円超! 国の予算で業界研究しよう【今週のイチ押しニュース】

テーマ:政治

 新年度の国の予算が成立しました。国の基本的な活動にかかわる一般会計の総額は101兆4571億円となり、当初予算として初めて100兆円を超えました。国の予算と言われても、額が大きすぎてピンと来ないと思いますが、私たちの日々のくらしに直結するだけでなく、みなさんが目指す業界・企業の事業にも大きく関わります。日本の現状やこれからの課題について考える材料もたくさん詰まっています。ポイントをわかりやすく解説します。(編集長・木之本敬介)

(写真は、新年度予算が可決、成立した参院本会議=3月27日)

3分の1は社会保障費

 グラフを見てください。上が歳出(支出)、下が歳入(収入)で帳尻があっています。歳出の3分の1を占めるのが社会保障費です。高齢化が進んで年々膨らんでおり、今回も前年度より1兆円以上増えました。10月1日に上がる予定の消費増税分をあてる幼児教育無償化などにも計4808億円を計上。3~5歳児全員と市町村民税の非課税世帯の0~2歳児を対象に、認可保育園などの保育料が無料となります。防衛費は5兆2574億円と5年連続で過去最大になりました。

 歳入を見ると、税収は62兆円と見込んでいます。消費増税もあって、過去最大だったバブル期の1990年度を上回る数字です。でも、それだけでは全く足りません。国は国債という債権を発行して借金します。新たな国債の発行額は減らしましたが、歳入の3分の1近くは借金で賄っているわけで、厳しい財政状況に変わりはありません。

消費税ポイント還元策に2兆円

 今回の予算で異例なのは、消費増税に備えた対策費を2兆円も計上したことです。増税で多くの人が買い物を控えると景気が一気に悪くなりかねません。その影響を減らすための対策で、目玉はキャッシュレス決済へのポイント還元策です。客が電子マネーやクレジットカードなどで支払うと、中小の小売店や飲食店では5%相当分、コンビニなどのチェーン店なら2%分のポイントをもらえる仕組みです。期間は10月から来年6月末までの9カ月で、ポイントを付ける決済事業者への補助などが盛り込まれました。ただ、制度の詳細はまだ決まっておらず、混乱も心配されています。

人材、通信、IT、電機、旅行、食品…

 具体的にどうお金が使われるのかは、「主な事業」のを見てください。事業の多くを担うのは民間企業です。どんな業界と関連するのでしょう。上のほうの項目から順に、人材サービス、通信、IT、電機、電子機器、交通機関、旅行、食品、建設、航空機、造船といった業界が関わることが分かりますね。

 志望企業のコーポレートサイトにある事業内容のページや、株主向けのIR情報のページで、官の業務にどのくらい関わっているのかを調べてみましょう。面接などで話題が広がりますよ。

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