2019年03月08日

祝「国際女性デー」! 女性が(男性も)働きやすい会社の見つけ方【今週のイチ押しニュース】

テーマ:社会

 きょうは国連が定めた「国際女性デー」。多くの苦難を乗り越えて権利を勝ち取ってきた女性たちをたたえ、さらなる地位向上を目指す日です。女性の働き方は大きく変わりました。結婚や出産で仕事をやめるのが当たり前だったのは過去の話。こうしたライフイベントを経ても働き続ける女性が増えました。ただ、働きやすさは会社によって大きく異なります。もちろん、男性の働き方や子育てにも大きく関わるテーマ。女性が働きやすい会社の多くはワーク・ライフ・バランスを重視するので、男性にとっても働きやすいでしょう。女性にとっても男性にとっても、働き続けやすい会社選びのポイントを紹介します。(編集長・木之本敬介)

(写真は、国際女性デー関連のインタビューに登場した俳優の中村アンさん)

「夫も妻も仕事と家庭」

 「夫は仕事、妻は家庭」の価値観はまだまだ根強いものの、働く女性は増えています。2017年の就業構造基本調査によると、25~39歳の女性のうち働く人の割合は75.7%と過去最高を更新しました。人手不足が深刻になる中、企業が短時間勤務など多様な働き方を認めて育児世代の女性を雇用しているからです。

 結婚・出産後も働き続けるか、専業主婦になるかは、一人ひとりの生き方の選択ですが、共働き世帯はぐんぐん増えてきました。育児休業法が施行された1992年に専業主婦世帯を初めて上回ってから差が開き、今は共働きが1200万世帯。倍近い差がつきました。女性が職業を持つことに対する意識も大きく変わり、内閣府の調査では2016年に「子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい」の割合が男女ともに初めて5割を上回りました。「夫は仕事、妻は家庭」という役割分担が薄れ、いまや「夫も妻も仕事と家庭」が当たり前です。

正社員にこだわって!

 一方、結婚や出産でキャリアが断たれた女性が、正社員に戻るのは容易ではないという現実も知っておきましょう。厚生労働省の2015年の調査によると、結婚後も仕事を続ける女性は7割を越えるものの、その半数が第1子の出産後に退職しました。「夫の収入が安定していれば問題ない」と思う人が多いでしょうが、今は3組に1組が離婚する時代です。「絶対安心」なんてありません。

 早稲田大学の橋本健二教授(社会学)の分析では、夫と離婚した女性は、結婚前に53.8%が正社員でしたが、離婚3年後までに17.1%に落ち込み、7割以上が非正規労働者になっていました。橋本教授は「いったん離職(退職)すれば再び正規に戻るのは絶望的に難しい」と語ります。転職は盛んになっていますから、ずっと一つの会社にしがみついていることはありません。でも、離婚してもしっかり自立できる収入を得るために、「正社員」にはこだわってください。

女性活躍企業データベースで検索

 育児休業をとったあと復帰するのが当たり前の会社、子育てと仕事を両立しやすい環境を整えている会社を選びましょう。企業の具体的な取り組みをどうやって調べればいいか。いくつか紹介します。

 2016年に「女性活躍推進法」が施行され、国や地方自治体、従業員300人超の企業に、女性の採用や登用などに関する数値目標と達成のための取り組み、実施時期を盛り込んだ行動計画づくりを義務づけました。推進法に基づいて各企業が公表している女性管理職の割合、平均勤続年数などのデータは、厚生労働省のホームページで見ることができます。1万社以上が登録しています。

「女性の活躍推進企業データベース」はこちら

「なでしこ銘柄」「ダイバーシティ経営企業100」

 経済産業省と東京証券取引所が、女性活躍推進で優れた上場企業を毎年共同で選定しているのが「なでしこ銘柄」です。女性活躍に積極的な企業は、「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとっても魅力的。投資を促進して各社の取り組みを加速することも狙っています。2018年は48社を選定しました。

「2018年度 なでしこ銘柄」はこちら

 経済産業省は、性別に限らず、国籍、年齢など、多様な人材を積極的に活用している企業を「新・ダイバーシティ経営企業100選」も選んでいます。

「新・ダイバーシティ経営企業100選」はこちら

 厚生労働相が「子育てサポート企業」として認める「くるみん認定」、より高い水準を満たした企業への「プラチナくるみん認定」もあります。ちなみに、朝日新聞社もプラチナくるみんに認定されています。

「くるみん認定、プラチナくるみん認定企業名一覧」はこちら

 志望企業については、個々の企業の具体的な取り組みにしっかり目を通してください。

女性登用する企業

 実際の職場では、働く女性の先輩も会社も、仕事と家庭の両立に試行錯誤を続けています。積極的に女性を登用している3社の取り組みを朝日新聞が取り上げました。ざっと紹介すると――。

◆ニトリ
 横浜市のニトリ港北ニュータウン店のフロアマネジャー古賀朋子さん(37)は30人のスタッフを束ねる管理職。短時間勤務制度を使って午前9時から午後5時まで働き、2児の子育てと両立している。ニトリホールディングスは管理職に占める女性比率は28%。朝日新聞の主要100社アンケートで25%を越えた企業7社のうちの1社だった。店舗数が右肩上がりで、必要な管理職の人数も増え続け、女性管理職の必要性は高まる。古賀さんの当時の上司はこう言う。「優秀な人が出産・育児で休職することに対して、応援できない方が企業としてはマイナスだと思います」

◆りそなホールディングス
 銀行界では長年、男性は総合職、女性は一般職に就くのが当たり前だったが、金融危機で実質国有化された2003年の「りそなショック」で男性行員が大量離職。性別、職種に関係なく能力を発揮しなければ生き残れないと2008年、同じ等級ならどんな働き方でも基本給が同額のしくみを導入。2015年には育児などにあわせて勤務時間を限定できる「スマート社員」制度も。賞与は正社員の7割だが、約360人が利用し、正社員やパート社員との行き来は本人の意思しだい。管理職に占める女性比率は昨年3月末時点で26.4%。3メガバンクの14~21%をリードしている。男性社員の「配偶者出産休暇」取得率は2017年度、100%になった。

◆井村屋グループ(津市)
 「一般職」「エリア総合職」「総合職」に分かれていたが、現副会長の中島伸子さん(66)の音頭で2015年春に一体化。転勤には家庭の事情を考慮する。2013年に3.4%だった管理職の女性比率は、2018年に6.5%になり、「2020年に15%」の目標も達成見込み。一般職採用で、もともとは管理職への道が閉ざされていた北友紀さん(37)は、2015年に管理職一歩手前の「主任」に。2人の子育てをしながら、出張したり社内プロジェクトに参加したりしている。アルバイトから25歳で社員になり、3人の子育てをしつつ営業で力を発揮してきた中島さんはこの春、社長に昇格する。

(写真は、商品配置の相談をする古賀朋子さん=横浜市都筑区のニトリ港北ニュータウン店)

「Will活」も読んで!

 「あさがくナビ」の関連サイト「Will活」では、人気企業で働く女性社員のインタビューが読めます。働き方や1日のスケジュール、日々の生活、子育て、ワーク・ライフ・バランス、将来やりたいことなどを語っています。「なりたい自分」になるための意思(Will)をもって就職活動をする女性に向けたサイトです。ぜひ、ご覧ください。「Will活」はこちらから。

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