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安倍晋三首相が自民党総裁選で石破茂・元自民党幹事長を破り、連続3選を果たしました。今は「自民党総裁=日本の首相」ですから、このままいけば、なんと「歴代最長の首相」になります。安倍氏が首相に返り咲いてからまもなく丸6年。学生のみなさんにとっては中学生のころからずっと「安倍首相」ですから長いですよね。「1強」の弊害が指摘され、森友・加計学園問題で批判にさらされたのに、なぜ続くのでしょう。就活に影響はあるのでしょうか。やさしく解説します。(編集長・木之本敬介)
(写真は、自民党総裁選を終え壇上で手をつなぐ安倍首相(右)と石破茂・元幹事長=東京・永田町の党本部)
(写真は、自民党総裁選を終え壇上で手をつなぐ安倍首相(右)と石破茂・元幹事長=東京・永田町の党本部)
1年2カ月後に歴代トップに
国会議員による投票で決める首相には、任期や回数の制限はありません。一方、自民党のトップである総裁の任期は3年間です。これまで連続2期までしかなれませんでしたが、「安倍1強」を背景に昨年の党大会で「連続3期まで」に党則が変更されました。安倍氏の総裁3期目の任期は2021年9月まで。自民党は衆議院でも参議院でも圧倒的な多数を占めているので、国政選挙で負けない限り自民党総裁が日本の首相です。安倍氏の首相在職日数は、第1次内閣の366日と合わせて2461日で、歴代5位です(20日現在)。
①桂太郎 2886日
②佐藤栄作 2798日
③伊藤博文 2720日
④吉田茂 2616日
⑤安倍晋三 2461日
⑥小泉純一郎 1980日
歴代1位は、戦前の1901年から1913年まで断続的に首相を務めた桂太郎(写真)。安倍政権が2019年11月20日まで、つまりあと1年ちょっと続けばトップになります。もちろん、政界は「一寸先は闇」。2019年は春に統一地方選挙、夏に参院選がありますから、果たしてどうなることか……。
「おごり」に批判
自民党総裁選は、1人1票の投票権を持つ国会議員票405票と、党員・党友による地方票(議員票と同数の405票)で争われ、553票の安倍氏が254票の石破氏を破りました。一見、7割近くを得た安倍氏の大勝に見えますが、地方票の獲得率は安倍氏55%対石破氏45%。事前の予想を大きく上回った石破氏の「善戦」との見方が大勢です。「権力は腐敗する」と言われます。「1強」が続く中、森友・加計学園問題はいつまでたっても真相が解明されず、財務省が公文書を改ざんしても政治家は誰も責任をとらず、強引な国会運営を繰り返す――。国会議員票82%の安倍氏が地方票で圧勝できなかった原因は、地方議員や党員から政権の「おごり」に対する批判が表れたものだとみられています。
(写真は、自民党総裁に選ばれ一礼する安倍首相=東京・永田町の党本部)
国民の期待は「景気」
それでも、安倍政権の内閣支持率は9月の朝日新聞の世論調査で41%。不支持は38%で、2月の調査以来7カ月ぶりに不支持を上回りました。「総裁選で争点として一番議論してほしいこと」を聞いた質問には「景気や雇用などの経済政策」が23%でトップ。みんな、なんといっても日々の暮らしが大事なんですね。安倍首相は総裁選で、「生産年齢人口が減少する中、経済は12.2%成長し、47都道府県で有効求人倍率は1倍を超えた。初めてのことだ」と、安倍政権になって景気が良くなったことを盛んにアピールしました。就活生にとってはどうでしょう? 「売り手市場」が続き、大卒求人倍率は7年連続上がって1.88倍(リクルートワークス調べ)。今春卒業した大学生の4月1日現在の就職率は98.0%で、調査を始めた1997年卒以来の過去最高を更新しました。これ以上はないくらい就活生にはいい数字です。「おごり」や「忖度(そんたく)」ばかりが目につく安倍政権の支持率が決定的に下がらない要因は、景気にあるわけです。
これからどうなる?
では、これからはどうか。安倍政権の成長戦略「アベノミクス」の柱の一つである日本銀行の「異次元の金融緩和」は行き詰まり、銀行の経営が厳しくなるなど副作用のほうが目立つようになりました。安倍首相は総裁選中に緩和政策の「出口」戦略に触れましたが、日銀が目指す物価上昇率2%のデフレ脱却目標は遠く、実現は簡単ではありません。来年10月には消費税を10%に上げることになっていて、総裁選でも首相は「予定通り引き上げたい」と語りました。増税が景気を冷やすのは間違いなく、その対策も注目です。国と地方の借金は1000兆円を超していますが、財政健全化は先送りされたまま。もし日本が国際的な信用をなくすような事態が起これば、財政破綻につながりかねません。対外情勢も課題山積です。トランプ米大統領は日本の対米貿易黒字を繰り返し批判。日本との間で2国間の自由貿易協定(FTA)を結ぼうとしています。「米国第一」を掲げるトランプ氏と中国との「貿易戦争」も保護主義がさらに強まれば、日本の企業に大きな影響を与えるのは確実。ロシアや北朝鮮との関係も見通せません。日々のニュースで、これからの安倍政権の対応をチェックしてみてください。業界・企業研究にもつながりますよ。
(写真は、共同記者会見でトランプ米大統領と握手する安倍首相=6月7日、米国ワシントンのホワイトハウス)
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