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Key Figure#5 初任給

グラフは、2017年の新規大卒者の平均初任給を業界別に示しています。いちばん高いのが情報通信業の21万5000円、逆に低いのが飲食サービス業等(宿泊業を含む)の19万4500円と、約2万円の開きがあります。企業規模別に見ても、常用労働者1000人以上の大企業が21万1000円、100人未満の小企業が19万9600円と、1万円強の格差。ちなみに、大学院修士課程修了者の平均は、大卒者平均よりも2万7100円高くなっています。
「超売り手市場」といわれる就職戦線。人手不足から、初任給の高さをアピールする企業もあるようです。ネットではさまざまな「初任給ランキング」も目にします。初任給の額に目を奪われているあなた、ちょっと待った! その数字の中身を見てみましたか?
グラフの数字を調査した厚生労働省は、初任給の定義を「所定内給与額(所定内労働時間に対して支払われる賃金であって、基本給のほか諸手当が含まれているが、超過労働給与額は含まれていない)から通勤手当を除いたもの」としています。ポイントはカッコ内の「超過労働給与額は含まれていない」という部分。わかりやすく言えば、残業代は含まれていないということです。
給与明細の読み方を「予習」!
就職して初めて給与明細を目にすると、うれしい半面、戸惑う人も多いはずです。学生時代のアルバイト代とは違って、いろいろな項目や手当があり、しかもその後にあれやこれやと「控除」されて、手取りはたったこれだけ!と、少々がっかりするかもしれません。まずは、給与明細の読み方を「予習」しておきましょう。
給与明細は一般的に「勤怠」「支給」「控除」の三つのパートに分かれています。このうち「勤怠」は、1カ月間の出勤や有給休暇の日数、残業時間などの記録です。「控除」は、給与から「天引き」される項目で、所得税、住民税(新卒社員は通常、2年目から徴収されます)、健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険料のほか、任意で団体加入した生命保険料や社内預金なども含まれます。
さて、問題は「支給」の中身です。まずは「基本給」。カイシャが定める所定内労働時間(例えば1日7時間、週35時間など)の労働に対する対価です。これにさまざまな「手当」が加わります。新卒社員は、「通勤手当」や「住宅手当」、それに「家族手当」(最近は廃止の動きが出ています)ぐらいでしょうか。さらに「時間外手当」、いわゆる残業代が加わります。
先の厚労省調査の初任給には、通勤手当と時間外手当は含まれていませんでした。ところが、各社がホームページなどで公表している初任給には、時間外手当が含まれているケースがあるのです。最近は、残業の有無にかかわらず一定時間分の残業代を「固定残業手当」などとして支払うカイシャが増えているためです。例えば20時間分を固定でもらえる企業の場合、残業を計20時間した月も、全くしなかった月も、給与の支給額は変わりません。固定給的な側面があるのも事実ですが、時間外手当をすべて別枠として初任給を公表している企業と比較しても意味がないのです。
Key Figure#6 平均年間給与

問題は“数字のトリック”だけではありません。そもそもカイシャの給与体系がどうなっているかにも、注意が必要です。かつては年齢や勤続年数がものをいう「年功序列型」でしたが、最近は「能力・成果主義」の給与体系が主流になっています。伝統的な大企業は前者の性格を残しており、初任給は低めでもある程度の年齢までは比較的順調に給与が上がる傾向があります。一方、ベンチャーや外資系には、年功色を一切廃したフラットな給与体系をとる企業もあり、初任給こそ高いものの昇給するか否かは社員の能力・成果次第ということになります。
そこで、社員の「平均年間給与」をチェックしてみましょう。上場企業が公表している「有価証券報告書」には、従業員数、平均年齢、平均勤続年数と並んで、平均年間給与が掲載されています。前回記事の解説に従ってトヨタ自動車の有価証券報告書を探し、「従業員の状況」欄を見てみると、852万3317円(2017年3月末現在、賞与と基準外賃金を含む)とありました(写真)。民間サラリーマンの平均が422万円(2016年)ですから、さすがは「世界のトヨタ」といえそうですね。
『就職四季報』などには「25、30、35歳賃金」を掲載している企業もありますので、キャリアセンターでページを開いてみましょう。年齢とともに給与がどう増えていくか、イメージをつかめるはずです。ただし、「能力・成果主義」の給与体系が増え、同じ35歳でも個人間の格差は広がってきているようです。
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