2018年04月27日

大手はより「狭き門」に!入りやすいのは流通・建設【今週のイチ押しニュース】

テーマ:就活

 学生優位の「売り手市場」がさらに進んでいます。2019年3月卒予定の大学生・大学院生を対象にした民間企業の大卒求人倍率(学生1人に対する求人数)は1.88倍で、前年より1.10ポイント上がりました。でも、従業員5000人以上の大企業に限ると、0.37倍で前年より少し下がり狭き門になりました。みなさんの「大手志向」が強まっているからです。業種別では流通と建設は極端な人手不足で入りやすく、金融は難関です。苦戦している人は、会社の規模や業種を広げれば内定ゲットの可能性が高くなりますよ。(編集長・木之本敬介)
 就活ニュースペーパーは、連休中は休載し、5月7日に再開します。

(写真は、今年の就活解禁日の合同企業説明会=3月1日、福岡市中央区)

7年連続アップ

 リクルートが発表した大卒求人倍率調査によると、企業の求人総数は81万4000人と前年比7.7%増えました。これに対し民間企業への就職を希望する学生は前年並みの43万2000人。大卒求人倍率の上昇は7年連続です。1.88倍ということは学生1人に椅子が2個近く用意されているということ。選り好みをしなければ、余裕で全員が椅子に座れる計算です。この時期に就活ができるのはとてもラッキーなことです。

中小10倍、大手0.37倍

 でも、1.88倍という全体の数字だけを見て安心してはいけません。企業の規模別に見ると、甘くないことがわかります。従業員5000人以上の大企業は0.37倍と過去最低を記録しました。なんと、3人に1個しか椅子がない「超買い手市場」なんです。一方で、300人未満の中小企業は過去最高の9.91倍。大企業と中小企業の倍率差は拡大しました。

◆大手と中小で求人倍率こんなに違う!
従業員規模    2017年卒 2018年卒 2019年卒
300人未満    4.16倍 ↗ 6.45倍 ↗ 9.91倍
300~999人   1.17倍 ↗ 1.45倍 ↘ 1.43倍
1000~4999人 1.12倍 ↘ 1.02倍 ↗ 1.04倍
5000人以上   0.59倍 ↘ 0.39倍 ↘ 0.37倍

(リクルート調べ)

 従業員1000人未満と1000人以上で分けると、3.97倍と0.70倍です。どうしてこんなことが起きるのかわかりますか? 「売り手市場」になると、「自分も人気企業に入れるかも」と思う学生が増え、「大手志向」が強まるからです。企業が採用数を増やしても、それ以上に人気の大企業にエントリーが集中して、競争率が高まるんですね。大手人気企業ばかり受けていると痛い目にあいかねません。中堅・中小企業に視野を広げることが大事です。

流通12倍、金融0.21倍

 業種別の求人倍率にも注目してください。
◆業種で求人倍率こんなに違う!
流通業 12.57倍
建設業 9.55倍
製造業 1.97倍
サービス・情報業 0.45倍
金融業 0.21倍

(リクルート調べ)

 流通、建設業は学生1人に椅子が10個もある「超売り手市場」。これに対して、金融は5人に1個、サービス・情報業は2人に1個しか座る椅子がない「買い手市場」です。これも、全体としては買い手市場が続いているため、人気の業種を希望する学生が増えているためだと思われます。でも、流通にも建設にも優れた企業がたくさんありますし、職種も多様です。就活がうまくいっていない人は、選択肢を増やすことをお勧めします。

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