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年明けから、大手企業での社長交代の発表が目立っています。新入社員にとって大企業の社長は雲の上の存在かもしれませんが、変化の激しい今の時代、トップの存在はますます重要になっています。社長の舵取り次第で、業績不振から復活する会社もあれば、転落してしまうケースもあります。社長がどんな経歴のどんな人で、会社をどんな方向に導こうとしているかを知ることは、大切な企業研究の一つです。(編集長・木之本敬介)
(写真は、日航の植木義晴現社長=左=と赤坂祐二新社長)
(写真は、日航の植木義晴現社長=左=と赤坂祐二新社長)
社長交代でV字回復した会社
創業者社長の会社では何十年もトップが変わらないこともありますが、多くの企業の社長は平均すると7年ほどで交代するといわれます。すぐれた経営手腕を発揮して業績を上げた社長は長く続け、業績が傾けば交代となりますが、あまりに長い間、同じ社長だと新鮮味はありませんから、業績が好調でも新陳代謝のために交代することもあります。業績不振のときに交代した社長がV字回復を果たした例としては、日産自動車のカルロス・ゴーン氏、長崎県のテーマパーク、ハウステンボス(HTB)の沢田秀雄氏、ソニーの平井一夫氏、日本マクドナルドのサラ・カサノバ氏らが有名ですね。2010年に経営破綻(はたん)した日本航空(JAL)は、京セラ創業者の稲盛和夫会長(当時)のもと、生え抜きの大西賢氏、続いて植木義晴氏が社長として再建を果たしました。
東芝は歴代社長も関与していたと指摘される不正会計問題で経営危機に陥っています。一方で、日立製作所は、リーマン・ショック後、パソコン、携帯電話といった消費者向けの不採算事業を見直し、原子力などの発電や鉄道などのインフラ事業中心の会社に転換し、業績を上げています。経団連次期会長に決まった中西宏明氏ら歴代社長の舵取りの結果です。社長の力量が両者の明暗を分けたといっていいでしょう。
(写真は、伊藤忠の岡藤正広現社長=右=と鈴木善久新社長)
社長交代続々
今年になってから、朝日新聞で取り上げた主な社長交代を紹介します(年齢は発表時点)。◆みずほフィナンシャルグループ(FG) 佐藤康博氏(65)→坂井辰史氏(58)=現みずほ証券社長。グループ証券会社社長からメガバンクトップに就くのは異例。体制を若返りさせる。
◆JR東海 柘植康英(つげ・こうえい)氏(64)→金子慎氏(62)=現副社長。金子氏はリニア中央新幹線を担当しており、2027年の品川-名古屋開通に向け万全の態勢をとる。柘植氏もその前任も4年で退いており、交代は既定路線とみられる。
◆アイリスオーヤマ(仙台市) 大山健太郎氏(72)→長男の大山晃弘氏(39)=現取締役。約50年ぶりの社長交代で若返りをはかる。
◆伊藤忠商事 岡藤正広氏(68)→鈴木善久氏(62)=現専務執行役員。岡藤氏は代表権のある会長CEO(最高経営責任者)に就き引き続き舵を取る。鈴木氏は社長兼COO(最高執行責任者)として新規事業などを担う。
◆日本航空 植木義晴氏(65)→赤坂祐二氏(56)=現常務執行役員整備本部長。経営破綻から8年で収益力は改善、新体制でさらなる成長をめざす。
◆ヤフー 宮坂学氏(50)→川辺健太郎氏(43)=現副社長。「変化の激しいインターネット業界を勝ち抜くために、新たな挑戦と経営幹部の若返りこそが重要」(宮坂氏)。「蓄積してきたデータを利活用してビジネスをより大きくしたい」(川辺氏)
◆日本生命 筒井義信氏(63)→清水博氏(56)=現取締役専務執行役員。海外事業買収やグループ拡大にめどがつき、若返りをはかる。清水氏は保険商品設計の専門家「アクチュアリー」を長く務めた。日生初の「理系社長」に。
◆積水ハウス 阿部俊則氏(66)→仲井嘉浩氏(52)=現取締役常務執行役員。仲井氏は同社取締役の中で最年少。
このほか、リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件で捜査を受けている大林組、不正融資問題を起こした商工組合中央金庫(商工中金)でも、社長が交代します。こちらは不祥事の責任をとって社長が辞任するケースです。
(写真は、ヤフーの宮坂学現社長=左=と川辺健太郎新社長)
会社の未来を知ろう
社長交代の事情はさまざまです。交代の理由、新社長の経歴などから、会社の置かれている状況が見えてきます。新社長の年齢も大事な情報ですね。それぞれの記事から、新社長がどんな抱負を語っているか、チェックしてください。その会社が、今後どんな方向を目指していくのかがわかります。朝日新聞デジタルの「新トップ2018」で検索すると、新社長の経歴や人となりを紹介する記事が載っています(有料会員限定)。こうした記事から、会社の今と未来を読み取ってください。
(写真は、JR東海の金子慎新社長=手前=と柘植康英現社長)
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