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衆院が解散され、10月22日投開票の日程で総選挙が行われることになりました。小池百合子・東京都知事が新党「希望の党」を立ち上げ、野党第1党の民進党が事実上解党して多くの議員が希望の党公認で出馬するという異例の事態になり、政界は大騒ぎです。選挙の対決構図は「自民・公明vs.民進・共産」から「自公vs.希望vs.共産」に変わり、自公と希望の「政権選択選挙」の様相になってきました。就活で政治的な立場や考えを問われることはあまりありませんが、日本のこれからを決める大事な選挙。基本的なポイントを押さえておきましょう。(編集長・木之本敬介)
(写真は、臨時国会の冒頭で衆院が解散され万歳する議員。冒頭解散に反発する民進党など野党4会派は欠席した)
(写真は、臨時国会の冒頭で衆院が解散され万歳する議員。冒頭解散に反発する民進党など野党4会派は欠席した)
なぜ、いま解散?
前回の衆院選から、まだ3年経っていません。衆院議員の任期は4年間ですから、1年以上を残しての解散です。安倍首相(写真)はなぜ今解散したのでしょうか。首相は、以下の二つについて国民の信を問うと話しました。①消費税率の10%への引き上げを予定どおり2019年10月に行い、借金返済に充てるとしていた使い道を変更して教育無償化などに回す
②北朝鮮情勢への対応
消費税アップの是非については論争がありますが、教育無償化や北朝鮮情勢は与野党の対立軸にはなりにくいテーマです。首相の本音は、「いま選挙をすれば勝てる」と思ったからに違いありません。安倍氏はまだまだ首相を続けたいわけですから、来年末の任期満了までの間で、いつ選挙をすれば与党が有利かを考えてこの時期を選びました。
解散を決めた時点では、
◆森友学園・加計学園問題などで一時急落した内閣支持率が回復してきた
◆民進党からの離党者が相次ぎ、野党第1党が弱っている
◆小池氏の新党ができそうだが、まだ体制が整っていない
◆北朝鮮情勢は緊迫しているが、来年になるとさらに緊張が高まって選挙どころではなくなる可能性がある
といったところだと思います。
そもそも解散って?
衆院の解散は、憲法7条で実質的に内閣の権限として認められています。このため、解散は「首相の専権事項」「伝家の宝刀(でんかのほうとう)」とも言われます。しかし、任期を1年以上残し、与野党が対立してきたテーマでもない①②を掲げての解散には、「大義がない」「森友学園・加計学園疑惑逃れ」「党利党略だ」との批判が噴出しています。朝日新聞の世論調査でも、消費増税分の使い道変更の信を問うとの解散理由に「納得しない」が70%にのぼりました。国政選挙は2000年からの18年間で、3年ごとにある参院選が6回、衆院選が今回を含めて7回、計13回行われています。3年に2回以上ですから、目先の選挙に勝とうと国民に受けのいい政策が優先され、長期的な視野に立った政治ができていないといわれています。
世界では、与党が自分に有利なタイミングで選挙をするために議会を解散できる国は珍しいそうです。日本の国会がお手本にした英国では2011年、総選挙を原則5年ごととする法律が成立し首相が握っていた下院の解散権を制限しました。「首相の都合で解散できるのは不公平。短期的な視点に立った政治しかできない」との声が高まったためです。日本では1990年代以降の政治改革などで首相の権限が格段に強くなりました。それなのに首相が好きなときに解散権はそのままですから、与党が有利すぎて政権交代が起きにくくなっているとの指摘もあり、野党からは解散権を制限すべきだとの主張が出はじめました。
「希望の党」誕生と民進党の解党のなぜ?
今回の最大の注目は「希望の党」です。これまでの流れをざっと説明します。今年7月の東京都議選で、小池知事が立ち上げた都民ファーストの会が自民党に代わる「受け皿」となって圧勝。この勢いがあれば国政でも一定の議席を得られるとみて、小池氏に近い国会議員と民進党を飛び出した議員を中心に新党の準備を始めました。ところが、小池氏は自分が乗り出したほうがはるかにインパクトがあるとみて「希望の党」を結党、自ら代表になりました。一方、支持率が低迷し都議選でも惨敗した民進党は解散を前にして離党者が相次ぎ、このまま衆院選を戦っても厳しい情勢でした。希望の党ができると、「安倍政権打倒」では一致できるため、前原誠司代表(写真)は民進党を事実上解党して希望の党に合流することを決断。百数十人規模の野党第1党が、現職議員十数人のできたばかりの新党に飲み込まれるという前代未聞の野党再編となりました。
できたばかりの希望の党にとっては、全国に候補者を立てられる、民進党の選挙資金や地方組織が使える、民進党の支持組織である日本最大の労働組合「連合」の組織力が使えるといったメリットがあります。民進党の議員にとっては、結党直後の朝日新聞の世論調査で支持率が13%と自民党に次いで2位となった希望の党の看板で戦えるのが最大のメリットです(民進党の支持率は8%)。
選挙の構図が一変!
これで選挙戦の構図が一変しました。首相が解散を決めた時点では、自公の与党で過半数を割る可能性は低く、安倍首相の続投は間違いなかったと思います。まだ政策も明確ではない新党ですが、希望の党が「政権の受け皿」と受け止められれば、自民・公明に対抗する勢力となる可能性が出てきました。仮に小池氏(写真)が都知事を辞めて衆院選に出馬すれば、「自民党・公明党の安倍首相」か「希望の党の小池首相」か、を選ぶ「政権選択選挙」になります。今後の展開に注目してください。※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから。
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