ニュースのポイント
楽天の三木谷浩史会長兼社長率いる経済団体「新経済連盟」(新経連)が安倍政権に急接近し、政治的影響力を増しています。自民党が長く蜜月関係にあった経団連に代表される企業・産業は「オールドエコノミー」と揶揄されています。ニューエコノミーの台頭で、経済界も変革の時代を迎えています。
今日取り上げるのは、1面と経済面(9面)の「けいざい深話/三木谷氏と新経連①/解散3日後、安倍氏と急接近」です。
記事の内容は――安倍首相が成長戦略で発表した「インターネットによる市販薬のネット販売」「参院選からのネット選挙」の解禁は、新経連が強く求めてきたテーマだった。市販薬のネット販売には、日本薬剤師会が反発し、厚生労働省などは妥協点を探ったが、産業競争力会議メンバーの三木谷氏は少しも譲らなかった。首相と三木谷氏は昨年11月の初対面で意気投合。12月、総選挙圧勝後に最初に会った経済団体トップは、経団連の米倉弘昌会長ではなく三木谷氏だった。首相は新経連のイベントで「自民党はオールドエコノミーと組んでいる印象を持たれますが、それは違う」とあいさつ。事業拡大につながる要望を働きかける三木谷氏には「我田引水」との見方があり、安倍首相も政権のイメージアップに利用していると指摘される。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
日本の経済界(財界、実業界)は長く日本経済団体連合会(経団連)が仕切ってきました。経団連会長はかつて「財界総理」と呼ばれ、自民党政権に強い影響力を持ってきました。9面の表にあるように、経団連の会員には、重電、素材、エネルギー、化学、金融、自動車など戦後の産業を支えてきた日本を代表する大企業が名を連ねています。
一方の新経連は、2010年にできたITベンチャーの経営者による「eビジネス推進連合会」が前身。新経連となったのは昨年6月で、東京電力福島第一原発事故の対応を批判して経団連を離脱した三木谷氏が代表理事に就任しました。発足から1年しかたっていない新興団体ですが、安倍政権ができて新経連会員が政府の産業競争力会議、規制改革会議のメンバーになり、具体的な政策に影響力を及ぼし始めました。
その力を見せつけたのが市販薬のネット販売解禁です。自民党の有力支持団体でもある日本薬剤師会が強く反対したにもかかわらず、「原則解禁」で押し切りました。新経連は「既得権益を保護する政策に反対する」と掲げています。規制改革で古いしがらみを断ち切り、新しい産業の創出や拡大への期待感があります。一方、薬のネット解禁で「安全性」が懸念されているように、規制改革による負の影響については常に注視していかなければなりません。
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