2017年07月07日

G20のニュース見ると世界の現状がよくわかる!

テーマ:国際

ニュースのポイント

 7日からG20首脳会議が開かれます。世界の主要20カ国・地域の首脳がドイツ北部のハンブルクに集まって,世界が抱える問題について協議します。世界には主要7カ国の首脳が集まるG7(通称サミット)がありますが、G20は新興国も参加するため、より多様な意見がたたかわされる場になります。どんなテーマが取り上げられて、どの国がどんな意見を言うかを注意してみていると、世界の現状をおおざっぱに理解することができます。(朝日新聞社教育コーディネーター・一色清)

 今日取り上げるのは、総合面(2面)の「いちからわかる!/今日からG20首脳会議 何を話し合うんじゃ?」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。

GDPは世界の8割

 G20の「G」はグループのGです。「20」は国・地域の数です。G7のカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリス、アメリカに、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、トルコ、欧州連合(EU)の13カ国・地域を加えたのがG20です。世界における割合をみると、G7は人口で世界の1割、国内総生産(GDP)で世界の4割強ですが、G20となると、人口で世界の7割弱、GDPで世界の8割を占めます。
(写真は、G7サミットで記念撮影に臨む各国首脳=5月26日、イタリア南部シチリア島タオルミナのギリシャ劇場)

新興国の急成長で定例化

 G20は、アジア通貨危機をきっかけに1999年に20カ国・地域の財務相や中央銀行総裁が会議を開いたのが始まりです。誰が20カ国・地域を選んだのかははっきりしませんが、人口やGDPが基準になったのは間違いなさそうです。首脳に格上げされて開かれたのは、2008年が最初です。この年の9月にアメリカの投資銀行リーマン・ブラザースが破たんし、世界経済が大混乱に陥りました。いわゆるリーマン・ショックです。この危機を乗り超えるためには、G20の首脳が集まることが必要でした。なぜなら、21世紀に入ってBRICS(ブリックス)とよばれるブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカなどの新興国が急成長しました。こうした国々抜きで世界経済の危機からの脱出を協議しても無意味だと考えられたからです。これ以降、少なくとも年1回はG20の首脳会議が開かれるようになりました。
(写真は、2016年9月に中国・杭州で開かれたG20記念撮影で並ぶ各国首脳ら=代表撮影)

貿易、環境、テロ、北朝鮮…

 今回話し合われるテーマは、いくつかあります。まずは貿易問題。アメリカのトランプ大統領は環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を決めたように保護主義的政策をとっています。これに対して、貿易を促進させようというEUや日本、中国などの国々との溝が深まっています。トランプ大統領に保護主義的考え方を改めるように求める意見が出ると思われます。環境問題もテーマになりそうです。こちらもパリ協定から離脱を表明したトランプ大統領に対してその他の国が翻意を促すという構図になります。テロ対策もテーマです。サイバーテロも含めたテロ問題は欧米の関心事です。一方、日本、韓国、アメリカ、中国、ロシアの関心事は北朝鮮問題です。大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射までおこなった北朝鮮をどうやって抑え込むかの議論になります。全体会合だけでなく、2国間会談も様々な組み合わせでおこなわれていて、北朝鮮へのスタンスの違いが見えてきます。

国連は「G193」

 世界には、G7、G20のほかに国際連合(国連)があります。国連には、現在世界のほとんどの国にあたる193カ国が加盟しています。「G193」といってもいいでしょう。ただ、今、世界で何が問題になっていて、その解決にどういうスタンスをとろうとしているのかをみるとき、G7では成熟国ばかりで偏りがあり、G193では国の数が多すぎて拡散してよくわからない、といえます。その点、G20は世界の意見をかなり反映するメンバー構成になっていて、数としても集約可能な範囲にあります。G20に関する新聞記事やテレビニュースに接していると、世界の現状がよくわかると思います。
(写真は、国連総会で一般討論演説する安倍晋三首相=2016年9月21日、米ニューヨークの国連本部)

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