2017年03月08日

「国際女性デー」…女子も男子も働き方を考えよう

テーマ:社会

ニュースのポイント

 今日は「国際女性デー」。女性の権利を訴え、女性であることを楽しむ日です。朝日新聞は、次世代の女の子たちがもっと自分らしく生きられる社会をめざす企画「Dear Girls」に取り組んでいて、今日の紙面には関連の記事がたくさん載っています。就活では、出産、育児などのライフプランと働き方について考える機会が多いと思います。男子学生のみなさんにとってもひとごとではありません。働き方や男女平等について考えてみましょう。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、各面の「Dear Girls」関連記事です(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)。
・1面「性差解消『社会全体に恩恵』/国連総長寄稿」「天声人語」
・総合面(2面)「いちからわかる! 国際女性デーとは」、同(4面)「政治の世界に飛び込んで」
・国際面(10面)「パレスチナ人起業家の挑戦」
・オピニオン面(14面)「声・女性を優遇しすぎ?」
・特集面(20、21面)「黒柳徹子さんインタビュー」など
・スポーツ面(26面)「スポーツ指導者を増やすには」
・生活面(32面)「乳がん検診で気をつけること」、同(33面)「『女の子だから』にサヨナラ」
・社会面(39面)「共働き家庭でインターン」

日本の男女格差指数は世界111位

 2面の記事によると、国際女性デーは国連が1975年に定めました。多くの苦難を乗り越え、権利を勝ち取ってきた女性たちをたたえる日です。1908年3月8日、米国で女性たちが賃上げなどを求めてストライキをしたのが理由とされています。

 日本は男女平等なのか。世界経済フォーラムが昨年発表した男女格差(ジェンダーギャップ)指数で、日本は144カ国中、なんと111位。前年の101から順位を下げました。グラフにある14項目を比べた指標です。教育や健康は比較的高い水準ですが、政治や経済はひどい数字です。中でも、国会議員の比率や管理職の比率の順位が特に低いことがわかります。

出産は「リスク」?

 生活面では、「男女平等は、教育現場だけの幻想だった」という東京の大学4年の女性(22)の就活体験を紹介しています。女性は10社の最終面接に臨みましたが、面接する役員は男性ばかり。「育児と両立しやすい」とアピールする企業でも、男性たちの端に女性役員が1人だけでした。不採用だった企業の採用担当者に理由を尋ねると「長く働いてくれそうな人を採用しているんです」。出産を「リスク」とみる企業では、女性であるだけで採用のハードルがあがる、と感じました。唯一内定をくれた会社で4月から働きますが、総合職約200人のうち女性は4人目。会社には「営業でバリバリ働きたい」と伝えました。「仕事で結果を出したいんです。自分より後の世代の女性が『あの先輩が働き続けているから、私もやってみよう』と思えるように」

目標は2020年の女性管理職3割

 後述の「女性にまつわる10の数字」にも出てきますが、日本の上場企業の役員に占める女性の割合はたったの3.4%ですから、これが多くの日本の会社の現実です。ただ、安倍政権が女性の活躍を促す環境づくりを成長戦略の目玉に据え、女性管理職の割合を2020年までに30%以上にする目標を掲げるなど、官民あげて取り組みはじめたところ。グラフ(2015年6月23日朝日新聞朝刊)のように、女性管理職も徐々に増えてはいます。

「仕事と子育ての二兎を追って」

 出産・育児を経ても働き続けられる環境があるかどうかが最大のポイントです。社会面では、東京の昭和女子大と津田塾大の学生が共働き家庭を訪問して育児を体験し、夫婦で仕事と子育てをどう両立しているかを学ぶインターンシップを取り上げています。昭和女子大の現代ビジネス研究所によると、1年生の授業で将来のキャリアについて尋ねたところ、「子どもができたら、仕事を辞めて家庭に入る」と書いた学生が3分の2にのぼりました。同大の坂東真理子理事長は「仕事と子育ての両立は無理なんだという思い込みにとらわれている学生が多いが、二兎(にと)を追ってもらいたい」と話しています。

男子も自分ごとに

 「人事のホンネ」で採用担当者に話を聞くと、男女の区別なく採用する企業が多くなっていますし、働き続ける女性も格段に増えています。私の職場でも、最近では子どもができたために退職する女性はほとんどいません。産休、育休を取って職場に復帰します。子どもが小さい間は保育園に迎えに行かなければならないため、定時より早く帰る時短勤務をとる人もいますが、夫との役割分担が重要です。

 社会面の記事で、男性の育児を支援するNPO法人「ファザーリング・ジャパン」の安藤哲也代表理事は「ワーク・ライフ・バランスは女性だけの問題ではない。共働き家庭の多くは父親も家事、育児を担っているという実態を、女子学生だけでなく男子学生にも見てもらいたい」と言っています。男子も自分ごととして考えてください。

女性にまつわる10の数字

 最後に、今日の特集面に掲載された「女性にまつわる10の数字」を並べます。これらの数字から、いろいろ思いを巡らせてみてください。

111位 経済、政治、教育、健康の男女格差ランキングの順位(144カ国中)。日本は、特に経済と政治で格差が大きい〈世界経済フォーラム、2016年〉

47.4% お手伝いで料理をする小学4~6年の女子。男子は29%。食器並べ、掃除などでも女子が上回り、ゴミ出しだけ男子が上回る〈ベネッセ、2015年〉

66.9% 娘に「4年制大学卒業まで」の学歴を望む母親の割合。息子に望む母親は79.7%。調査対象は乳幼児を育てる母親〈ベネッセ、2015年〉

73.0 フルタイムで働く男性の賃金を100とした場合の女性の賃金。比較できる76年以降で男女差は最小に〈賃金構造基本統計調査、2016年〉

21.4% 職場で妊娠や出産をめぐり不利益な扱いや嫌がらせ(マタニティーハラスメント)を受けた女性の割合〈労働政策研究・研修機構、2015年〉

46.9% 第1子出産を機に仕事を辞めた女性の割合(2010~2014年)。約6割が辞めていた1985年~2009年に比べて減る傾向〈出生動向基本調査、2015年〉

461分 6歳未満の子をもつ妻の1日の家事・育児時間。夫は67分。夫は1996年の38分から増えたが、妻の時間はほぼ同じ〈社会生活基本調査、2011年〉

3.4% 上場企業の役員に占める女性の割合。女性役員の数は、630人(2012年)から1388人(2016年)と4年間で倍増した〈内閣府、2016年〉

4人に1人 配偶者からDV被害を受けたことがある女性。10人に1人は何度も受けている。交際相手から被害を受けた女性は5人に1人〈内閣府、2014年〉

16万8000人 育児と介護を同時に担う「ダブルケア」をする女性。男性は8万5000人。「育児」の対象は未就学児。実際はさらに多いとみられる〈内閣府、2016年〉

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