ニュースのポイント
ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問兼外相が来日しました。きょう安倍晋三首相と会談します。長年の民主化運動を経て、新政権が今年発足したミャンマーは「アジア最後のフロンティア」と呼ばれ、日本企業が続々進出しています。注目のミャンマーの「基本のき」を押さえておきましょう。(編集長・木之本敬介)今日取り上げるのは、1面の「ようこそ スーチー国家顧問」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。
(写真は、羽田空港で在日ミャンマー人の出迎えを受けるアウンサンスーチーさん )
スーチーさんは、独立運動指導者で「建国の父」と敬愛されたアウンサン将軍の長女です。民主化運動が広がった1988年、スーチーさんは国民民主同盟(NLD)を結成。軍が武力で鎮圧し、スーチーさんは家の外に出ることを禁じる自宅軟禁の状態に置かれますが、軟禁中の1991年にはノーベル平和賞を受賞しました。
総選挙で圧勝した与党の党首で、国民の間で圧倒的な人気があるのですが、憲法の規定で大統領にはなれません。軍事政権がつくった憲法に「外国籍の家族がいると大統領になれない」との決まりがあり、スーチーさんの亡くなった夫や息子は英国籍のためです。そこで「国家顧問」という「大統領の上」の役職を新設して就任。今のミャンマー政府は事実上の「スーチー政権」と言われます。
2011年の民政移管後、日本政府はミャンマーへの援助を急増させ、日本企業の進出も加速しました。人件費が安いため、モノづくりの拠点として工場をつくる会社が多いのですが、ミャンマーの人口は5000万人超。ASEAN10カ国の中で5番目の規模があり、市場としての潜在力もあります。
住友商事とKDDIは2014年から現地の事業者と共同で通信インフラの整備を進め、現地企業とも組んで100店ほどのサービスショップの運営もしています。イオンは9月に現地企業と合弁でスーパー1号店を最大都市ヤンゴンにオープンさせました。進出した日本企業は今年2月末で約300社と5年前の6倍になりました。
今日の会談で安倍首相は多額の経済支援を表明するとみられます。電力などのインフラ支援を通じて日本企業がさらに進出しやすい環境作りを促す狙いです。
スーチーさんは、留学していた京都大学も訪問する予定です。来日中の言動にも注目してください。
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2024/12/04 更新
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