ニュースのポイント
経団連が来年の就活スケジュールに関する新たな指針を発表しました。すでに報じられているとおり、3年生の3月1日に企業広報が解禁され(プレエントリー開始)、面接などの選考活動は今年より2カ月早い6月1日スタートとなります。6月は大学の授業の真っ最中のため、選考については、授業に影響しない土日祝日や夕方以降の時間帯に行うよう企業に求めました。こうなると、内々定を「6月1日夜」に出す企業が多くなるかもしれません。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、社会面(37面)の「就活 学業配慮を明記/経団連/1300社に順守求める」です。
記事の内容は――経団連は7日、来年の就職活動の日程を定めた新たな「指針」などを公表した。面接など選考活動の開始時期を6月に前倒しするほか、会員企業に留学経験者を含む学生の学業に配慮を求める規定を新たに盛り込んだ。会員約1300社に順守を求める。選考日程は、学生に余裕をもって通知することや授業に影響しない土日祝日の活用を求める。学生に提出させる成績証明書の有効活用も促す。政府は全ての企業が新ルールを順守するよう経団連以外の経済団体にも文書で周知する。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
まず、指針をもとに言葉を整理します。
◆3月1日解禁の「広報活動」とは
企業が、採用に関する会社説明会を開き、採用ホームページをオープンし、プレエントリーを受け付けることです。ウェブテストやテストセンターで学生に受検させ、エントリーシート(ES)受け付け、ESで書類選考をするのは「広義の選考活動」なのですが、特定の時間・場所に学生を拘束せず学事日程への影響は少ないため、この時期に実施してもいいことになっています。
みなさんは、3月1日からプレエントリーを始め、3~4月は会社説明会に参加しつつ、5月初めにかけてESを提出しウェブテストを受けるという忙しい日程になりそうです。テストとESによる書類選考に通過した人は6月の面接に呼ばれることになります。
◆6月1日解禁の「選考活動」とは
時間と場所を特定して学生を拘束して行う面接や筆記試験のことです。6月上旬が大手企業の面接のピークになりそうです。
新指針の主なポイントは上の
表のとおりですが、中でも企業に対して大学の学事日程への配慮を求めたのが最大の特徴です。具体的には、面接や試験は「授業やゼミ、実験、教育実習などの時間と重ならないような設定とすることや、土日・祝日、夕方以降の時間帯の活用なども含めた工夫を行う」と書いてあります。
今年までの大手企業の動きから、「選考活動」の実態を予想してみます。企業は他社よりも早く優秀な学生を採りたいので、できるだけ早く内々定を出そうとします。選考解禁の前に「面談」などと称して事実上の面接を進め、解禁日に形式的な面接をして内々定を出す企業もあるでしょう。来年の6月1日は水曜日ですから、「6月4、5日の土日まで待っていられない」という会社は、6月1日の朝や日中に来られる学生に面接をして即「内々定」を出す、あるいは1日夜に呼び出して「内々定」を出すという企業も出そうです。次の内々定のピークは土日の4、5日でしょうか。経団連加盟の大手企業を狙う人は、6月前半の夜には面接があると考えておいたほうがよさそうです。
「大学等の履修履歴(成績証明書等)について一層の活用を検討することが望ましい」という表現も盛り込まれたので、成績表を事前に提出させる企業が増えるかもしれません。年明けの大学の後期試験も手が抜けませんね。6月選考開始になると帰国が間に合わない留学生のために、夏採用や秋採用を実施する会社が増える可能性もあります。
ただ、このスケジュールに縛られるのは経団連加盟の大手企業約1300社。政府は全ての企業に順守を求めますが、従う義務はありません。先日、東京都のある区が主催する就活支援セミナーがありました。若手社員によるパネルディスカッションに参加した中堅・中小企業の採用担当者に来年の採用スケジュールを尋ねたところ、3社のうち2社はまもなく会社説明会やエントリー受付を始めるとのこと。年明け早々には面接も始めるそうです。外資系やIT、ベンチャーもすでにエントリーを受け付けているところが多くあります。こうした企業を志望する人は、すぐに動かないと間に合いませんよ。
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