ニュースのポイント
エントリーシート(ES)の「学生時代に打ち込んだこと」でもっとも多いのは、飲食店などのアルバイト、次いでサークルです。大学で取り組んだ学業のこと、とくに調査・研究などを書く学生は多くありませんが、調査・研究などに積極的に取り組んだ経験は大きなアピールポイントになりますよ。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、進学特集面(22面)の「住民と 共に考える/『水俣学』現地でインタビュー/夏祭り・銘菓作り…企画から参加」です。
記事の内容は――熊本学園大学(熊本市)で生まれた「水俣学」は、水俣病事件を通して社会の不正義を見抜く目を養い、「地域で、地域を学習して地域に返す」を目的にしている。2002年度からの選択科目で社会福祉学部を中心に今年は160人が登録する人気講義だ。福祉環境学科は必修科目で、1泊2日の現地合宿を漁師や市役所、地域のリーダーなどにインタビューをする。大学によると、「水俣学」を学ぶことで学生の社会性が広がるメリットがあり、卒業生は福祉分野だけでなく、銀行への就職など多様な進路を切り開いている。
愛知大地域政策学部で2011年から続く「地域貢献事業」は、地域振興につながる自主活動を学生が考えて実行する。学生グループがつくる企画を教授会などで審査・承認し、経費を学部が出す。学生は年度末に教授陣や協力してくれた住民らを前に事業成果を発表する。担当教授によると「課題解決能力が鍛えられる」といい、単位認定はされないが、1~3年生の3割近い約220人が参加。3年生から必修のゼミでも地域研究が必要なため、慣れる目的で参加する学生が多い。ゼミでは実際の公共事業計画による影響など自治体から委託された調査にも取り組む。今春は1割の約30人が公務員になった。担当教授は「公務員試験に合格する力ではなく、公務に必要な力をつけたい」と話す。
(写真は、熊本学園大の「水俣学」の講義)