2015年10月20日

大学での調査や研究 就活でアピールできる!

テーマ:就活

ニュースのポイント

 エントリーシート(ES)の「学生時代に打ち込んだこと」でもっとも多いのは、飲食店などのアルバイト、次いでサークルです。大学で取り組んだ学業のこと、とくに調査・研究などを書く学生は多くありませんが、調査・研究などに積極的に取り組んだ経験は大きなアピールポイントになりますよ。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、進学特集面(22面)の「住民と 共に考える/『水俣学』現地でインタビュー/夏祭り・銘菓作り…企画から参加」です。
 記事の内容は――熊本学園大学(熊本市)で生まれた「水俣学」は、水俣病事件を通して社会の不正義を見抜く目を養い、「地域で、地域を学習して地域に返す」を目的にしている。2002年度からの選択科目で社会福祉学部を中心に今年は160人が登録する人気講義だ。福祉環境学科は必修科目で、1泊2日の現地合宿を漁師や市役所、地域のリーダーなどにインタビューをする。大学によると、「水俣学」を学ぶことで学生の社会性が広がるメリットがあり、卒業生は福祉分野だけでなく、銀行への就職など多様な進路を切り開いている。
 愛知大地域政策学部で2011年から続く「地域貢献事業」は、地域振興につながる自主活動を学生が考えて実行する。学生グループがつくる企画を教授会などで審査・承認し、経費を学部が出す。学生は年度末に教授陣や協力してくれた住民らを前に事業成果を発表する。担当教授によると「課題解決能力が鍛えられる」といい、単位認定はされないが、1~3年生の3割近い約220人が参加。3年生から必修のゼミでも地域研究が必要なため、慣れる目的で参加する学生が多い。ゼミでは実際の公共事業計画による影響など自治体から委託された調査にも取り組む。今春は1割の約30人が公務員になった。担当教授は「公務員試験に合格する力ではなく、公務に必要な力をつけたい」と話す。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

(写真は、熊本学園大の「水俣学」の講義)

就活アドバイス

 理系の研究内容は、会社の業務内容に直結することも多くありますが、文系の大学生の研究内容が仕事に直結するケースは少ないと思います。それでも、記事で取り上げた熊本学園大、愛知大の例は、就職にも結び付いています。なぜだかわかりますか。

 記事に登場するキーワードを拾うと、「企画」「社会性」「インタビュー」「地域調査」「発表」「課題解決の立案能力」といったところでしょう。こうした自ら学ぶ研究は、自分で企画を立てて、どんな調査をするか、どこで誰に話を聞くかを決めて実行し、発表する。課題解決力が付くわけです。

 「すぐに役立つ能力は、すぐに陳腐化する」
と言われます。世の中も技術も常に進化、変化していますから、具体的な知識や手法はすぐに役立たなくなるということです。でも、両大学の授業のような課題解決力は、そのプロセスを身につけるわけですから、これからみなさんが直面するさまざまな課題に対応できるわけです。

 一連の課題解決力は、営業、企画、総務、マーケティング、あるいは記者でも、あらゆる仕事で求められる能力です。こうした研究などに一生懸命取り組んだ人は、ESに書き、面接で積極的にアピールしてください。きっと相手に響きますよ。

※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。

アーカイブ

テーマ別

月別