ニュースのポイント
全国の都道府県や市区町村の魅力度のランキングが、民間調査会社から発表されました。都道府県の1位は7年連続で北海道、最下位は3年連続で茨城県でした。あなたの住む県や市は何位だったでしょう? 県や市の魅力は、観光や旅行産業に大きく影響します。そこで各自治体は続々とわが県、わが町を売り出しはじめ、PR合戦の様相です。どう魅力度をアップさせるかを考えることは、広告などPR会社の仕事にもつながりますよ。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、社会面(33面)の「魅力度 茨城また無念」です。
記事の内容は――地域ブランドの調査・コンサルタント会社「ブランド総合研究所」(東京)が30日に発表した都道府県別の魅力度で、茨城県が3年連続の最下位になった。1位は北海道。茨城出身で県の魅力をPRする「いばらき大使」のタレント、アントキの猪木さんは「茨城県は農業大国で生活も豊か。現状に満足しちゃっている県民が多く、アピール下手がネックなんでしょうね」と話した。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
昨日に続きランキングの話題です。
観光や旅行業界を志望する人はもちろん、地方の地元で働こうという人、Uターン就職で地元に戻る人にも気になるランキングですね。自分の都道府県や市区町村の順位を、下のリンクから確認してみてください。
今年の調査は、47都道府県のほか、全790市と東京23区、地域ブランド戦略に熱心な187町村の計1000市区町村が対象。6月から7月にかけて全国の20~60歳代の男女にインターネットで、認知、魅力、情報接触、観光意欲、居住意欲など77項目を質問し、計約2万9000人が回答しました。
魅力度トップ10は以下の通りです。( )は2014年の順位。
1(1)北海道、2(2)京都府、3(4)東京都、4(3)沖縄県、5(5)神奈川県
6(10)長崎県、7(7)福岡県、8(6)奈良県、9(8)大阪府、10(9)長野県
東京五輪・パラリンピックを控えた東京都と、世界文化遺産に登録された軍艦島がある長崎県が順位を上げました。魅力度以外の項目では、今年3月の北陸新幹線が開業した富山県、石川県の「情報接触度」が急上昇、2016年の伊勢志摩サミット開催が決まった三重県の「観光意欲度」も上がりました。こうした話題性が順位に影響することがわかります。
市区町村の魅力度では、北海道函館市が2年連続の1位。2位札幌市、3位京都市のトップ3は変わりませんでした。北海道の市区町村は、函館、札幌のほかにも小樽市(5位)、富良野市(7位)と4市もベスト10入りしました。
都道府県ランキングで最下位が続く茨城県は2013年、一部に根強くある「茨城といえばヤンキー」のイメージを逆手に取り、「なめんなよいばらき県」をキャッチフレーズにしたキャンペーンを展開。県出身のお笑いタレント、ピースの綾部祐二さんと渡辺直美さんがリーゼントの髪形で「47位の県?上等でございます」と開き直るポスターを作りました。ところが、県議会が「けんか腰だ」などと反発したため、2014年はヤンキー色を大幅に薄め、JR上野東京ライン開業で乗り換えなしに都心と行き来できるようになった今年3月には「東京駅も品川駅も、もはや茨城です」とうたいましたが、魅力度ランクアップにはつながりませんでした。
自治体の観光キャンペーンでは、香川県の「うどん県」や大分県の「おんせん県おおいた」などが有名。「おしい!広島県」など自虐ネタもあります。
こうしたキャンペーンを見て「この県に旅行にいこうか」と考えるのは「消費者目線」ですが、就活で必要な「ビジネス目線」になって、住んでいる県や出身県のキャッチフレーズやPR方法を考えてみましょう。旅行・観光業界志望の人、地元企業への就職を考えている人、広告会社志望の人はぜひやってみてください。
※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。